第2話 入会から講習前半まで

 受講の意志を伝えると、営業のI氏から「カケルスクール」という公式アカウントに案内されました。5月22日のことです。

 まず、受講料の支払い方や、講座の申し込み方の説明を受けました。

 その中で「3カ月(最短)で卒業したいのですが、可能ですか?」と質問したところ、「順当にレッスンが進めば、問題なく3カ月で修了することができるのでご安心くださいませ!」との返信が。

 安心した私はその日のうちに名前、年齢、性別、生年月日、住所、メールアドレス、アンケートを記入した申込書をLINEで返送しました。

 翌23日に申込書の確認ができたと返信があり、受講料の振込先などの案内をされてすぐに送金。24日に受講料の入金確認の連絡がありました。しかし、あらかじめ伝えてあった希望する受講日は全て満席で、第一回の講習は私の希望よりもだいぶ遅れてしまいました。

 その後、実際に受講した授業スケジュールは以下の通りです。

2022/06/07 第1回目授業

2022/06/17 第2回目授業

2022/06/25 第3回目授業

2022/07/05 第4回目授業

2022/07/12 第5回目授業

2022/07/19 第6回目授業

2022/07/30 第7回目授業

2022/08/11 第8回目授業

2022/08/24 第9回目授業

2022/08/31 第10回目授業

2022/09/07 第11回目授業

2022/09/10 第12回目授業

 6月7日、授業の15分ほど前に第1回目の授業のURLが「カケルスクール」LINEから案内されました。お知らせがギリギリの時間になったので少々冷や冷やしたものの、無事に授業を終えることができて一安心です。

 終了後、LINEから「カケルスクール 受講生専用」というグループLINEに入るように案内がありました。以後、スクールからのお知らせが送られてきたのはそのグループLINEからです。


 この回から第9回までを担当した講師のN氏は授業中によく世間話をしました。

 それによると、スクールの講師をやるのは正直あまり乗り気ではなかったのだそうです。それでもY氏に誘われて、ようやく移動してきたと言っていました。前職は編集プロダクション勤務で、もう5年ほど同じところにいたそうです。

 別の日には、以前飼っていたアメリカンカールの話をしていました。数年前に亡くなったその猫は、生前よく耳の病気になったのだと懐かしそうに語っていたものです。

 授業中にとても暗い雰囲気だったことも数回ありました。どうしたのかと聞くと「なんだか暗い気分になって夜昨夜飲み歩いてしまって、家に帰って泣きながら歌っていたんです」と意味不明な話をされ、困惑したこともあります。

 07月30日の第7回授業後、「報酬が発生する第6回以降の講習の給料支払いを対象にした業務委託契約書を送りたいので、メールアドレスを教えてほしい」とLINEで連絡が来ました。

 この時、「カケルスクールへの申し込み書にもう私のメールアドレスが書いてあったので、そちらを確認すればすぐわかるはずなのに」と不審に思ったのをよく覚えています。

 メールアドレスを教えると、すぐに電子契約書が送られてきて、クラウドサインというサービスを利用して契約書にサインしました。

 その後、授業ではない8月3日に「個人事業主になるにあたり、様々なことを知らないので教えてほしい」とLINEで連絡。

 N氏と思われる講師から返信がありました。

「営業との認識のズレがあり、そのような重要な話をフォローするのは難しい状況です。すみません。無料相談などをおこなっている『税理士マッチング』というサービスなどを利用して質問した方がより正確な情報を得られるのでオススメです」

 営業のI氏の話と大きく違うので不安を抱きましたが、もう半分以上講習が進んでしまっているので今更やめられません。仕方なく、「たまにはこういう行き違いもあるだろう」と自分で自分を納得させるしかありませんでした。


※ ※ ※


ヴォーレ「いつも応援、ご愛読ありがとうございます。ヴォーレことヴィゴーレ・ヤシュチェです」

コニー 「コニーことコノシェンツァ・スキエンティアだ。我々が活躍する『ピンク頭の彼女の言うことには、この世は乙女ゲームの中らしい。』もよろしく頼む」

ヴォーレ「今回、契約しちゃったけど色々とおかしくない?」

コニー 「ああ。事前に営業から聞いていた話と実際のサービスに食い違いがあるようだな」

ヴォーレ「これって誇大広告だよね」

コニー 「ああ。特商法第54条で禁じる『実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示』に該当する可能性があるな」

ヴォーレ「営業個人のうっかりミスだとしても、会社としてきちんと対応しなきゃね」

コニー 「まったくだ。それに、申し込みの時点で契約内容を示した『概要書面』の交付がない」

ヴォーレ「これ、契約する前に必ず確認しなきゃいけないものだよね。」

コニー 「ああ。しかもスクール入会の申込書だって写真を送っただけだ。業務提供誘引販売の契約書は交わしていないな」

ヴォーレ「これ、契約そのものが成立していないんじゃない?」

コニー 「しかし、もうカリキュラムの半分以上を受講してしまった後だからな。つまり、既にサービスそのものを受け取った後なのが問題だな」

ヴォーレ「うん。この時点だと役務、つまり商品の本体であるスクールのサービスは半分以上提供されてるからね。しかも遅ればせながら契約書を交わしちゃったし」

コニー 「む?しかし業務提供誘引販売取引は紙の契約書交付を義務付けているからな。電子契約は成り立たんぞ」

ヴォーレ「うわ、本当だ。ちょっとあり得ないよね。Sさん、どうなっちゃうんだろう?」

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