隣りの席の美少女に好かれた件
ういうい
第1話 隣の席の美少女と仲よくなった
高校一年の夏休みが終わり、2学期になって初めてのホームルームが終わった
今年の夏休みは、ほとんどが部活だった。正直な話もっと遊びたかったが、部活は部活で先輩や顧問に恵まれていて楽しいので今年の夏休はまあ満足だった
ちなみに部活はサッカー部だ
「
「どしたー」
こいつは
「次の時間席替えだってさっき先生が言ってたぞ!」
「あー俺も聞いてた」
「晴はどこら辺がいい?」
「俺は一番後ろならどこでも。一番前とかになったら最悪だな」
「そうなんだよなー居眠りしてたらすぐばれるし……はあ」
樹は一番目の席だからかよく注意されている。それを思い出してか深いため息をついた
「あ、そうだ今日って部活なかったよな」
たしかに普段月曜は部活があるはずが今日に限ってはない
「ないな」
「なら帰りゲーセン寄ってかね?」
「いいね。最近遊んでなかったし行くか!」
「よし!今日が短縮授業でまじよかったー」
きーんこーんかーんこん
「それじゃあお互いの成功を祈って!」
ビジネスマンのような言葉を残して樹は席へと戻って行った
席替えはくじ引き制だった
俺が引いたのは一番後ろの窓側から2番目の席だ
どうせなら一番窓側の席だったらよかったが、くじ引きなので仕方ない
そして全員がくじを引き終わり席の移動を始めた
「はあーまた一番前ってふざけてんだろ!」
校舎を出てからゲーセンに着くまで樹はずっと同じことを言っている
「まあ仕方ない!次に期待しよう」
そう言って励まそうとはしたものの
「晴はいいよなー一番後ろだし居眠りしてても何も言われないんだもんなあーしかも隣は
「それを言われるとなんとも言い返せないな」
「くそー運がいい奴め。まあいいとりあえず今日は嫌なこと忘れるくらいいっぱい遊ぼうぜ!」
「おー」
次の日。6時間目の数学のこと
授業が始まって1分もしないうちに木花さんから話しかけられた
「教科書忘れちゃって一緒に見せてくれない?」
と小声で言われた
別に断る理由もなかったので教科書を見せることになった
お互いに席を寄せ真ん中に教科書を広げる
地味に距離が近いため緊張するが、変に意識しないように出来るだけ木花さんの方を見ないようにした
それから真面目に授業を受けていると
あるページにたどり着いてしまった
それは一学期の数学の時間、眠かった時に頭が回らない状態で落書きを書いたページだった
普段教科書を見せることもないので気にしていなかったが消すべきだったなと後悔する
「これなに?」
そう木花さんは聞いてくる
「ピカチュウだけど」
「え?ピカチュウのピの文字すら感じないよ?」
なかなかひどいことを言われた
「いやどう見てもピカチュウじゃん」
「ごめん何度見てもピカチュウには見えないかも」
そう言われて木花の方を向いてみると楽しそうに笑っていた
破壊力がやばかった
緩んだ表情が可愛すぎるし
近くで見た方が何倍も綺麗な髪で、綺麗な肌で、顔立ちも美人で
やばい、直視できない
綺麗な容姿をしてるなとは思ってはいたが近くで見た方が何倍も可愛いとか反則じゃない?
俺は今すぐにでも緩みそうな頬を我慢しながら
「まじかー結構自信あったんだけどなー」
「ちょっとまってね」
そう言うと木花さんは自分のノートに何か書いた
するとビリっと破いてそれを俺に渡してきた
「かわええ」
そこに書かれたピカチュウはかわいらしく自分が書いたものと比べてみても全然違かった
なんというか木花さんのと比べて分かったけど俺のピカチュウ、ピカチュウじゃなかったんだなあって。俺のピカチュウなんか怖い
「こんな可愛い生物だっけ、ピカチュウって」
「……ピカチュウはそんな怖くないと思うよ?」
そう言って俺の絵を指さす木花さん
「だよね」
それにしてもこんだけ話してても注意されないのって一番後ろの席の特権だよね
そんな風に初めて話してから一カ月が経った
「木花おはよーそれと山下もおはよ」
「水瀬君おはよー」
この一カ月で木花とはそれなりに話すようになった
元々趣味が合うこともあってか仲良くなるのは一瞬だった
「おはー」
こいつは
山下は小柄でお団子ヘアがよく似合ってる。小動物みたいで可愛い
「でなんの話してたんだ?」
「えーっとね昨日のサッカーの話なんだけど、もちろん水瀬君も見たよね?」
「もちろん」
そう。木花と趣味が合うというのはこういうことだ。俺たちはお互いがサッカーを好きということを知りそこから仲良くなっていった
「ねーねー水瀬。昨日の
「ビジュアルはいつも通りかっこよかったけどプレーがなー」
「うん。昨日は藤田選手あんまりだったよね」
山下はサッカーが好きというよりイケメンが多いから見てるだけなんだよなあ
俺と小花ががサッカーのことをよく話すようになってから山下もサッカーを見るようになったらしいが別の方向でハマってしまったらしい
でもサッカーファンとしては一人でもサッカーを見てくれる人が増えるのはありがたい
「ねね」
そう言って肩を突いてくるのは木花だ
「ん?」
「今度さ水瀬君の試合見に行ってもいい?」
「え、いいなー私も行きたーい!」
山下も賛同する
「まじで言ってる?」
「まじまじ」
どうやら木花も本気で言っているみたいだった
「あ、もしかして見られるのは緊張するとか?」
山下がにやにやとしながら言ってくる
「そりゃ緊張するよ」
「でも美女二人に応援してもらえるんだよ?それならよくない?」
なにが、よくない?だ。それに自分で美女とか言うな。まあ美女なんだけど
「まあいっか。うん。いいよ」
「本当!?ならいつでもいいから試合の日程決まったら教えてほしいな」
「おっけー」
そんな風に小花が喜んでいると山下が
「美麗はそんなに水瀬のサッカーしてるところ見たいんだー」
「水瀬君は関係ないし!ただ生でサッカー見たかっただけ!」
真っ白な頬を薄い赤で染めている木花
うん。照れてる姿も可愛い
この一カ月毎日のように木花を見てるが飽きない。というか見れば見れるほどその美しさ可愛らしさに俺自身どんどん毒されて行ってるような気がする
今回の試合を見に行きたいというお願いも最初から断る気なんてなかった
といっても俺は別に木花のことが好きということではない
近くで木花のことを見てるだけで満足だし
俺の中で木花は鑑賞物みたいな感じだ
それに今の距離感もちょうどいいしな
今までサッカーの話をできる女子なんていなかったし木花との友情はこれからも続けていきたい
部活前練習着に着替えていると
「最近晴って木花たちと仲良過ぎじゃね?」
仲いいといっても休み時間話すぐらいだが
「最近はよく話すかも」
「美人に囲まれて羨まし」
すねるようにそうつぶやく樹
「なら樹も休み時間こっちに来る?木花たちも別に嫌じゃないと思うし」
「そういう問題じゃないんだよなあ。俺がお前たちと一緒にいたら場違いだろうが」
「は?なんで?」
「美男美女の中に俺みたいなモブがいたらおかしいだろ」
「美男美女って、もしかして俺も入ってる?」
「それ俺以外の奴に言ったら殴られるぞ。お前自分の顔見たことある?くそイケメンだからな」
人より自分の容姿が優れてることは知ってたけどそこまでとは……
「恐るべし……俺!」
「殴るぞ」
「ごめんごめん。スポドリおごるから許ちて」
「まじか!ありがとう!大好き!」
スポドリの力すげえ
いや、樹がアホすぎるだけだわ。たぶん……
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