第35話 二人だけの世界に入っていく
俺はデートから自分の家に帰ってきた。
一人ではない。恋乃ちゃんも一緒だ。
恋人と一緒の帰宅。
うれしさが込み上げてくる。
「ソファでまずはくつろいで」
俺は恋乃ちゃんに優しく言う。
「うん」
恋乃ちゃんはうなずく。
俺は恋乃ちゃんに、先にリビングに行ってもらった。
俺はリビングに行く途中で立ち止まり、心を静めていこうとする。
いよいよ恋乃ちゃんとキスをする時がきた。
俺は緊張してくる、今日は緊張の連続だ。
ここまできたので、断られることはないだろうと思う。
しかし、一方で、キスのその先のところへ進んで行きたい気持ちが急激に強くなってきた。
魅力的で、大好きな女の子がそばにいる。
せっかく俺の家に来てくれたんだ。
できるならもっと恋人としての仲を深めていきたい。
二人の世界に入っていきたい……。
しかし、キスだけならまだしも、その先に進んでいいものだろうか。
それこそもっと仲良くなってからすべきなのでは。
幼馴染とはいえ、恋人になってからの時間はまだまだ少ない。
お互いをもっと理解してからにすべきなのでは。
そういう気持ちも強いものがある。
そして、先に進むということは、婚約、結婚への道につながっていく。
俺は恋乃ちゃんを幸せにしていけるのだろうか。
そういう悩みも強くなってくる。
恋乃ちゃんはどう思っているのだろう。
俺を好きだと言ってくれている。
「康夢ちゃんの家に行くってことは、恋人としての仲をより一層良くしていこうということだよね」
と言って俺の家まで来てくれた。
どこまでを想定しているんだろう。
キスは想定してもらっていると思う。
しかし、その先のことまで想定しているのだろうか。
心の準備はできているのだろうか。
もし心の準備ができていなかったら、今日は断念するしかないだろう。
それどころか、これで嫌われて、恋人どうしとしても幼馴染としても、もう関係が壊れてしまうかもしれない。
それは嫌だ。
では彼女がOKしてくれていそうなキスだけにすべきなのか……。
俺は何を悩んでいるんだろう。
俺達は恋人なんだ。
恋乃ちゃんのことが好きだ。大好きだ、幸せにしたい。婚約して、結婚したい。
その熱い気持ちを伝えるんだ!
俺は再び歩き出し、リビングとへと向かう。
俺と恋乃ちゃんは、ソファに隣合わせに座わっていた。
そして顔を向かい合わせる。
「恋乃ちゃん、俺はこれから恋乃ちゃんと、恋人として仲をもっと良くしていきたい」
「康夢ちゃん……」
「唇を重ね合わせたい。そして……」
さすがに次の言葉を言うのは恥ずかしかった。
でも言わなければならない。俺達は恋人なのだから。
「その先の、二人だけの世界に入っていきたい」
俺は恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなかったが、何とか言うことができた。
しかし……。
うつむく恋乃ちゃん。
キスだけならしてもいいと思ってきたんだと思う。でもそれ以上のことは想定外だったのかもしれない。
もし想定したとしても、これからの人生を左右するほどのことだ。慎重になるのはしょうがないと思う。
しかし、それでも俺は、恋乃ちゃんと二人だけの世界に入りたい……。
そう思っていると、
「康夢ちゃん、わたしのこと、そこまで好きなの?」
と恋乃ちゃんが言った。
俺の熱い気持ちを伝える時がきた。
「今までの俺は、悩むところが多かった。恋乃ちゃんにも積極的になれないところが多かったと思う。でも今の俺は違う。俺、恋乃ちゃんと二人だけの世界に入りたいほど、恋乃ちゃんのことが好きだ。大好きだ。今度の正月には婚約したいと思っている。そして結婚したいと思っている」
「婚約? 結婚?」
顔を赤くする恋乃ちゃん。
「俺、恋乃ちゃんを幸せにしたいんだ。この気持ち、恋乃ちゃんに届いてほしい!」
俺は恋乃ちゃんの手を握った。
またうつむく恋乃ちゃん。
これで想いは伝えることができた。
できれば今日、進んでいけるといいんだけど……。これで断られたとしても、それはそれでしょうがない。
また違う時に想いを伝えればいい。
そういう気持ちになっていった時。
恋乃ちゃんは、
「康夢ちゃん、ありがとう。こんなにもわたしのことを想ってくれて……」
と言って、涙を流し始めていた。
俺も心が熱くなってくる。
「わたしも今日、康夢ちゃんと二人だけの世界に入りたい」
恋乃ちゃんは、涙声でそう言った。
「いいの?」
「うん」
恥ずかしそうにうなずく恋乃ちゃん。
それがまたかわいい。
俺の心は今までになく沸騰していた。うれしくてうれしくてたまらない。
「ありがとう。俺、とてもうれしい。じゃあ、俺の部屋に行こう」
「うん。わたしのことを想ってくれてありがとう」
恋乃ちゃんはそう言った。
優しくてかわいい笑顔。
俺と恋乃ちゃんは手をつなぎながら俺の部屋に行く。
いよいよ俺と恋乃ちゃんは、恋人としての新しい段階へ進もうとしている。
俺と恋乃ちゃんはベッドの上に座った。
「恋乃ちゃん、好きだ。俺は恋乃ちゃんのことだけを想っていく」
「わたしも康夢ちゃんのことが好き。康夢ちゃんのことしか想わない」
俺は恋乃ちゃんと抱きしめ合う。
手や腕だけでも柔らかいと思っていたが、からだ全体が柔らかい。そして、温かい。
恋乃ちゃんの唇が目の前にあった。
小さくかわいい唇。
俺はその唇に自分の唇を重ねていく。
俺と恋乃ちゃんのファーストキス。
好きで、大好きで、愛している人との幸せの時間。
こういう時間はずっと続いてほしい……。
しばらくして、一度唇を恋乃ちゃんの唇から離す。
「恋乃ちゃん、この先に進んでもいい?」
恋乃ちゃんは、
「もちろん。わたし、康夢ちゃんにすべてを捧げるって決めたから」
と甘い声で言う。
「恋乃ちゃん、好きだ。ますます好きになった」
「わたしも康夢ちゃんのことがどんどん好きになっている」
「俺も恋乃ちゃんにすべてを捧げたい」
俺がそう言うと、恋乃ちゃんは、
「ありがとう。わたしは康夢ちゃんのものよ」
と言ってくれた。
俺と恋乃ちゃんは、再び唇を重ね合わせる。
二人の想いが重なりあっているようだ。
素敵だ。
俺はますます恋乃ちゃんのものになっていく。
恋乃ちゃんを絶対に幸せにする!
俺と恋乃ちゃんは、そのまま二人の世界に入って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます