第24話 恋乃ちゃんに告白したい
翌日の昼。
昼ご飯を食べた後、俺は祐七郎と屋上に来ていた。
秋晴れ。暖かい陽射し。
「ルインのやり取りが出来たので、次は告白をしたいと思っているんけど」
「なら今日告白しちゃえよ」
「そうなんだけど、難しいよなあ……」
次の休日にデートをしたいという気持ちは、どんどん強くなっている。
しかし、デートをする為には、告白をする必要がある。
告白をして、相思相愛になってデートをする。こういう順序を歩んでいく必要がある。
告白しないで、デートをするということもできるだろう。
そこでお互いのことをよく知って、付き合い始めるということも多いのだと思う。
ただ俺としては、相思相愛の状態になってからの方がより一層デートを楽しめる気がしている。
そこで、告白しようと思っているのだけど、俺達は昨日ルインのやり取りを始めたところで、もっとお互い仲良くなってからの方がいいのではないか、という気持ちが強い。
しかし、それではいつになったら告白すればいいのだろうか。
一か月後? 三か月後?
そんなには待てない。
すぐにでも告白したいという気持ちも強い。
どうすればいんだろう。
今すぐに告白した場合、それほど仲良くなっていないので、断られる可能性が強い。
そして、断られてしまったら、気まずくなって、幼馴染としての関係まで壊れる可能性がある。それは嫌だ。
かといって、このままの状態でいることには耐えられないだろうし……。
そこで、俺は祐七郎に相談することにした。
祐七郎と新月さんは、毎日ケンカしていると言っていい。
祐七郎のグータラさを新月さんが怒るパターンなのだが、よく毎日続けられるものだと思う。
今日も朝からケンカをしていた。
しかし、二人はラブラブカップルだ。
デートも毎週のようにしているそう。
ケンカをしている時も、本心からではなく、どこか楽しんでいるような気がする。
そういう祐七郎だからこそ、きっと有益なアドバイスをしてくれると思った。
「何を躊躇しているんだ? ルインのやり取りできたということは、恋乃ちゃんにも気があるってことだよ」
「それは幼馴染だからじゃないのか?」
「その関係をお前は進めたいと思っているんだろう?」
「そうだけど」
「だったら告白して、恋人どうしになれ」
「断られるかもしれないよ」
「そんなの告白してみなきゃわからないじゃないか」
「断られるかもしれないと思うと、それが先になってしまって……」
「お前さ、断られたっていいじゃないか。お前の想いが本物だったら、何度でもアプローチすればいい。しかも、お前まだ一度も告白していないじゃないか。彼女は、幼い頃からお前好意を持っていてくれだんだ。付き合うのをOKしてくれる可能性が強いと思う」
「そうだといいんだけど」
「俺だって、くらなちゃんに最初告白した時は、断られたんだ」
「断られた? お前と新月さんの仲なのに?」
「意外だと思うだろう。でも彼女、俺に、『友達だとは思うけど、恋人にはなれないと思う。わたし、祐七郎くんのこと、そこまでまだ好きではないから』と言って断ったんだ。断られた時はショックだったよ。でも俺はあきらめなかった。その後、何度もアプローチをして、ようやくOKをもらったんだ。結構時間がかかったんだよ。俺が小学校五年生の時に一目惚れして、告白したのが小学校六年生の四月。OKをもらったのはなんと七月だ」
「その間もケンカをよくしていたから、そういうところで苦しんでいたとは全く思わなかったなあ」
「くらなちゃんの方も悩んでいたって、後から聞いた。でも最終的には、俺の一途さが伝わって、俺のことを好きになってくれたんだ」
美人というと、すぐ興味を持ってしまう祐七郎。ちょっと軽いところがある。サッカー部で活躍しているので、女の子の間の人気も高い方だ。
それでいつも新月さんにやきもちをやかれている。
でも新月さん以外の人を好きになったことはない。
新月さんは、そのことを理解していると思う。
「お前達のようなカップルさえも、そういう苦労があったんだなあ。出会ってからすぐに心が通じ合っていたものと思っていたよ」
「いや、出会ってからすぐはさすがに無理だよ。でも、俺も、小学校五年生の三学期頃には心を通じ合っていたと思っていたんだ。ケンカはよくしていたけど、よく一緒に行動していたから、俺に好意を持っているのは間違いないと思っていたんだ」
「そう思っても、相思相愛になるのは時間がかかったということなんだなあ。難しいものだ」
「だからお前も、断られてもいいや、ぐらいの気持ちでいけ。ただ熱意は持つんだ。恋乃ちゃんのことが好きで、想い続けていたら、きっと恋人どうしになれる。
「そうだといいんだけど」
「お前だったらできるよ」
「ありがとう」
「じゃあ、今日中に告白しろよ」
「さすがにそれはちょっと……」
「でも今週中にはしろよ。デートしたいんだろう?」
「うん。したい」
「したいんだったら、今週中しかないと思って行動するんだ」
「そうすることにするよ」
「とにかく熱意だ」
「ありがとう。恋乃ちゃんと相思相愛になれるよう努力する」
「お前の熱意があれば、恋乃ちゃんもお前のことが大好きになる」
祐七郎はそう力強く言った。
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