同級生と後輩に振られた俺。でも、その後、疎遠になっていた幼馴染とラブラブになっていく。俺を振った同級生と後輩が付き合いたいと言ってきても、間に合わない。恋、甘々、デレデレでラブラブな青春。
第6話 イケメン先輩に振られるわたし (やいなサイド)
第6話 イケメン先輩に振られるわたし (やいなサイド)
わたしは、先輩に別れを切り出された。
今までラブラブだったはずなのに……。
どうして、どうして、という思いが強くなってくる。
このままではいけない。
そう思い、先輩をもう一度振り向かせようとしている。
「今、先輩がわたしのことを嫌いになっても、あきらめることはありません。先輩好みの子になります。そうすれば、先輩はわたしのことを好きになります」
「そんなこと、きみにできるわけがないだろう」
先輩の冷たい言葉。
「先輩好みの子にきっとなります。努力します。
わたしがそう言った時、
「先輩、待ちました?」
「先輩、遅れちゃいました。ごめん」
「先輩、遅れてごめんね」
と言いながら三人の女の子たちがやってきた。
先輩と言っているから、わたしと同じ高校一年生なんだろうけど、知らない人達だ。
制服をラフに着ていて、髪の毛も少しラフ気味。
この人達は先輩の何なんだろう?
と思っていると、
「先輩、好きです」
「わたしの方が好きです」
「いや、わたしの方が好きです」
と言って、先輩の手を握り始めた。
どういうことなの?
わたしは、だんだん腹が立ってきた。
先輩のそばにいるのは、わたしだけでいいのに……。
「あなたたちは、どうして先輩にくっつこうとしているんですか?」
わたしが怒りを抑えながら言うと、彼女達は、
「だって、先輩はわたしの恋人だもん」
「先輩はわたしの恋人です。好きです」
「先輩はわたしの恋人なんです。愛しています」
と先輩に向かって甘えた声でいう。
「何を言っているんですか。わたしこそが、先輩の恋人なんです」
わたしがそう言うと、彼女達は、
「先輩、この人が先輩の言っていた嫌な女の子なんですね」
「しつこくて面白くないって先輩の言っていた人」
「そんな子が先輩の恋人?」
と言ってわたしを笑い始めた。
どうして、どうして、こんな人達に笑われなければならないの……。
「あなたなんかに先輩を好きになる資格はないわ」
「わたしたちに比べたら、はるかに魅力がないのにね」
「わたしたちこそ先輩の恋人にふさわしい」
そう言いながら、わたしのことを笑い続ける三人。
「先輩は、先輩は、こんな人達のことがいいっていうの……」
わたしがそう言うと、それまで黙っていた先輩は、
「そうだよ。きみよりずっと素敵だ。今は制服姿だからそれほどはわからないかもしれないけど、彼女達はゴ-ジャスなんだ。私服になるとその良さがよくわかる。そして、話をしていても面白くて楽しい。一言で言うと、魅力的なんだ」
「わたしが魅力的じゃないって言うんですか?」
「そうだ。きみはこの三人と比べたら魅力はないに等しい」
「そこまで言うことはないと思いますけど……」
「いや、言っておかなければならないね」
わたしはこみ上げてくる怒りをなんとか抑えていた。
それにしても、わたしを選ばずに、この三人を選ぶというのは納得がいかない。
一人ならともかく、三人だ。
「でも、三人全員が恋人っていうのはおかしくないんですか?」
「どうして?」
「だって普通、恋人どうしって、男の子と女の子は一対一だと思います」
「何を言っているんだきみは。この三人は全員魅力的な子だ。全員と付き合ったっていいじゃないか。むしろこのうちの誰かを選ばない方がよっぽど残酷なことだと思わないかい」
何を言っているんだろう、この人は。
「わ、わたしは、男女は一対一で恋人どうしになるべきだと思います。皆さんもそう思わないんですか?」
わたしは三人にそう言ったのだけど……。
「わたしは今のままで満足です。恋人として接してくれますから」
「わたしもです」
「あなたはそう言って、わたしたちと先輩の仲を壊そうとしていますけど、その手にはのりません」
先輩への恋する気持ちで頭が一杯のようだ。
それにしてもなぜこの人達は、やきもちをやかないのだろう。
普通だったら、三人の間では、けんかがいつも行われていると思う。
いや、わたしが同じ立場だったら、やきもちをやきまくって、先輩を自分だけのものにしようと思う。
「どうだ。俺は魅力的なこの三人と恋人どうしとして付き合っている。俺はきみのことが嫌いになったんだ。ここにきみが入ることはもうできないんだ」
「先輩……」
わたしは気力がだんだんなくなってきた。
きみのことが嫌いになった。
一番言われたくなかった言葉。
それをわたしは言われてしまった。
こんな人をわたしは好きになっていたんだ。わたしはいったい今まで何をやっていたんだろう……。
急速に先輩に対する恋する気持ちが薄れ始めた。
そして、先輩は、
「もうきみの顔は二度と見たくない」
と力強く言った。
わたしに最大級の打撃がきた。
ああ、先輩。どうしてそこまでわたしに言わなければばらないんでしょう……。
また涙が流れてきた。
「じゃあ、そろそろ行こうか。今日も俺のおごりだ」
「行きましょう」
「わーい。うれしい」
「先輩、好きです」
うれしそうな三人の女の子と一緒に、先輩は去っていく。
後にはわたし一人。
どうしてわたしはこんな人が好きだったんだろう。
イケメンで優しい人だと思っていたのに……。
しばらくの間、わたしは涙を流し続けた。
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