第14話 フフフッ、地球の文化は研究済みでーす!
――現実世界〈
【
時間圧縮の技術により、
しかし、日本では死刑囚などを使った人体実験は行われていない。
そのため、データが少ないようだ。実のところを言えば、皆が言うように『本当に危険なのか』も定かではなかった。当然、個人差はあるだろう。
しかし、安全性を優先しているため、
よって、どうしても一日置きにデータを吸い上げる必要があった。
未知数ではあるが、脳や精神への悪影響も考えられる。
データのインストール後に『廃人になった』という例もないワケではない。
けれど、人々はVRMMOの利用を
圧倒的に利点の方が大きいからである。
海外では
一度は失敗に思われた
ただ、日本人だけは、
確かに
また、
それが若者たちのステータスとなっていた。
政府は『人生千年時代』と発表している。
どれだけ、国民を
だが、消費税だけは
上がり続ける消費税に対し、人々は働き続けるしかないのだ。
しかし、悪いことばかりではない。
俺の友達にもラノベを書いて、一山当てた人間がいる。
本来は宇宙人と対話するための翻訳機能を搭載したAIだったが、現代の
これにより、日本語という言葉の壁がなくなったため、アニメや漫画だけではなく、ラノベやゲームも爆発的にヒットすることとなる。
(やはり、読者やプレイヤーの数が増えると違うらしい……)
また、誰でも気軽に作品を販売できるため、出版社や編集は必要なくなった。
知名度が上がれば、クラウドファンディングでお金を集めることも可能だ。
(果たして、出版不況とは
販売の相手は海外だけではなく、宇宙人もいる。
そのため、成功すれば一兆ダウンロードなど、あっという間だった。
(一冊、百円で売っても百兆円か……)
その友人は姿を消してしまった。
経済的にも超円高が続き、市場は未だに混乱を続けている。
やはり、宇宙人との交流は早かったのだろう――
(いや、そうじゃない!)
別に現実逃避をしていたワケではない。
俺は『ヴィオとの結婚の約束』を覚えてはいなかった。
(もしかすると、俺の記憶にも障害が起きてしまったのかもしれない……)
自分の理解が追い付いていないようだ。
(本当にゲームのやりすぎで、頭がおかしくなったのかもしれないな……)
正直、
「二人とも、離れてもらっていいかな?」
改めて、ヴィオと葵の二人にお願いすると、
「やれやれ、でーす☆」「兄者、
なぜか俺が悪いみたいな空気が作られる。
茜に――これでいいかな?――と視線を向けると、
「兄さんのバカっ……」
と非難される。
「えっと……『結婚の約束』なんて、していたのかな?」
もし――していた場合――大変なことになりそうだ。
ヴィオは一瞬、きょとんとした表情を浮かべた後、
「してないでーすよ?」
と答える。
(良かった……)
俺の頭がおかしなことになっているワケではないようだ。
茜と葵も、
「でも、相性ピッタリなのでーす☆」
社長さんも喜んでくれまーした♪――とヴィオはご満悦の様子だ。
どうやら、裏でおじさんが糸を引いているらしい。
後でキチンと確認しなくてはいけないようだ。
茜も
詳しい確認が必要だが、一度、話を
「えっと、
取り
「フフフッ、地球の文化は研究済みでーす!」
とヴィオ。
「見ての通り、私は
そう言って天井を指差す。
「そう、
そこまで言って、なぜか、したり顔をするヴィオ。
「なるほど、それでロボット……」
完璧な理論に言い返せない――とは葵だ。
互いの
(
俺としては訳が分からないので、誰かに言い返して欲しいところだ。
「いいから……」
と茜。静かな口調だが、完全にキレてしまっている。
「家の前にあんな大きいモノ、置かれると迷惑だから……」
早く
ヴィオは耳を
「はーい」
と答えると、
「やれやれ、でーす☆」
そう言って、肩を
「姉者は短気……」
と葵が
こうして、居候先の家のガレージにロボットが置かれることになる。
俺たちと宇宙人との同居生活が始まったのだった。
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