吸血姫ちゃんは恋したい!~宇宙から来た美少女吸血鬼は地球が滅ぶその日まで我が家でゲームをして過ごすそうです。
神霊刃シン
吸血姫ちゃんは恋したい!
プロローグ
第1話 さあ、楽しい星間交流の時間でぇーす♡
朝が来たのだろう。侵入者が現れる。
だが、目覚めるには十分な刺激だ。
「またか……」
いい加減してくれ――という意味を込めたのだが、
「さあ、楽しい星間交流の時間でぇーす♡」
ちっとも良くない。幼い見た目の割に、笑った顔はどこか
彼女自身が性的興奮を覚えているのだろう。
普段は澄んだ水色の瞳が、今は赤く光っている。
居候の吸血鬼『ヴァイオレット』。
地球の言葉だと、そのニュアンスが一番近いらしい。
俺たちの間では愛称の『ヴィオ』で通っている。
いつもながら、その姿に『綺麗だ』と
本人は吸血鬼を自称している。
だが、朝日に
彼女の顔が近づき、その小さく
「起きないのなら、このまま……」
吸ってもいいのだぞ――と耳元で静かに
先程までとは違う、大人びた口調だ。思わず、心臓の鼓動が早くなってしまう。
「フフフッ♡ 冗談でーす!」
とヴィオ。俺の正面に顔を持ってくると嬉しそうに
(いや、本気だったぞ……)
どうやら、寸前で思い留まってくれたらしい。
彼女たちの種族による吸血行為には、
地球人などより
吸血鬼同士では子供が作れない――というのが主な理由だ。
そのため、気に入った異性を逃がさないための能力なのだろう。
まったく効かない場合もあるらしい。
だが、彼女
ヴィオは小さく先端が
彼女の綺麗な
そのまま目を
バンッ!――と勢いよく
「ちょっと!
毎朝、毎朝――と俺の幼馴染兼家主ともいえる『
一つ年下の彼女は幼馴染で妹のような存在だ。
お嬢様風の白いワンピースが似合うヴィオとは対照的に、髪が短くボーイッシュな印象を受ける。肌の色も健康的で、エプロン姿の似合う家庭的な女の子だ。
目下のところ、年を重ねる毎に
騒がしい――という意味ではどっちもどっちだ。
なので俺としては、この状況に
二人とも、早く出て行ってくれないだろうか?
このままでは着替えもできやしない。
ただ、それを口に出すと面倒なことにしかならないだろう。
上手い返しが見付からないので、俺は沈黙することを選んだ。
「
邪魔しないでくーださーい――とヴィオ。しかし、
「するわよ!」
と茜。いつにも増して、強めの口調だ。続けて、
「家の中でそういう、うらやま……ふ、ふしだらなことをしないで!」
と注意する。今、違うことを言おうとしなかっただろうか?
やれやれでーす――といった感じでヴィオは
「ふしだーら?
そんな
「そのエセ外国人みたいな話し方、止めなさいよ」
完全にわざとでしょ!――腰に両手を当て、お小言モードになる。
これは
ヴィオはヴィオで――外国人ではなく、宇宙人でーす――と言い返すモノだから、更に面倒なことになる。
これ以上、続けさせても、誰も得はしないだろう。
俺が――
もぞもぞと
(
俺が布団を
「
そこにいたのは、茜の双子の妹の葵だった。
双子だが二卵性のため、見た目はそれほど似ていない。
明るく元気で社交的な茜に対し、大人しい性格の文学少女だ。
俺を『
「二度寝……」
と
「
などと言って、そのまま俺のお腹を枕にすると眠りに就く。
人の
いや、そうじゃない。ヴィオと茜の二人に気付かれると面倒なので、俺はそそくさと逃げ出すことにした。しかし、なぜか上着はしっかりと葵に握られている。
彼女を起こそうかと
(やれやれ……)
ヴィオが来てからというモノ、毎朝慌ただしい。
困ったことに――そのことに対し――すっかり慣れてしまった自分がいる。
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