第6話

さて。



今ではもう小洒落た集合住宅に変わっているけれど、

うちの近所には当時、「雑木林の切れっ端」が残っていた。



赤土の斜面に沿って、クヌギやらカシワの木やらが自生しており、


子供の頃には、駆け回って遊ぶのにお誂え向きだったし、

秋にはどんぐりの採集に格好の場所だった。



勿論、「雑木林」に入って遊ぶうちに、泥汚れなどで、大なり小なり服は汚れるけれど、

余所のおうちの教育方針はともかく、私を親代わりに育ててくれた大伯母は、


「一生祟るような怪我さえしなければ、子供の内に野山を駆け回るのは、むしろ良い経験」


と言ってくれた。


…但し、

「汚した服は、自分で洗うこと。

泥汚れの付いた服が嫌なら、洗濯の仕方を覚えなさい」

と言って、


物置から洗濯板を出してきて、使い方を私に教え、

余程のことがない限り、手を出すことはしなかった。



私も子供なりに、その内には馴れたもので、

「雑木林」には「泥汚れ専用」の服と靴で行くようになり、

泥汚れの扱いも、それなりに手馴れたものになった。

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