第1話

大学4年の夏休み、私は不眠症になった。




きっかけは、考えれば色々ある。



最初から最後までうまくいかなかった教育実習だったり、


当時、全然うまくいってなかった就職活動だったり、


大学に入学した頃からずっと好きだった人に、教育実習に入る少し前に思い切って告白して、あっさり振られたことだったり…。



でも、眠れなくなってから、その原因を究明したところで仕方のないことだ。


原因となる問題が、今から自分の力で解決できるモノならばともかく、


一応、合格の評点をもらってる教育実習のやり直しなんか、絶対にできないし、


ただでさえ、自分なりに一生懸命頑張っていた就職活動は、これ以上どう頑張れば良いって言うの!?…って、世界の中心で叫びたいような状態だったし、


他人の心なんか、余程のことがない限り、私がどうこうできる筋合いのシロモノじゃない。

だって、それは自分の心に置き換えたって、同じことが言えるもの。



そうやって、自分で理性的に結論を出して、納得して、

そうして割りきったつもりでいたのに。


…なのに何で、私は今、眠れないんだろう…?


今度は、「自分で」「 理性的、かつ合理的に」出したはずの結論までが恨めしくなってしまった。

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