第3話 Eパート~自業自得~
「か、梶野さん……そんな冷たい目で見ないで下さい……」
戦闘が終わり、GV基地内。司令室に呼び出された僕を待っていたのは冷たい視線を送る司令部の皆と、コアから救出された莉奈さん……リアナだった。当然、彼女には暴れられないように手錠が付けられていた。
「……だって勇君ったら、あんな人だとは思わなくて……」
「いや、あれは戦闘で不意を突くためで……」
「本気でそれを言ってるなら余計によ」
ぐぅ。言い返せない。
「それにしても、偉い儲けもんだな。まさか敵そのものを回収できるとは」
「まさに虎穴に入らずんば虎子を得ずって奴ね……あ、豹だったかしら?」
「……莉奈さん。まさかあなたがラスタ・レルラだったなんて……」
「知り合いなんですね。この人と」
「うん、ちょっと今日の昼休みに……あ、あの、ハツネさん? どうしてそんなに視線が冷たいの?」
「別に。なんでもありません」
そう言って僕に冷たい視線を送り続ける彼女に、ため息をつく。
仕方なかったんだ。あの時はもう、仕方なかったんだよ……。
「ちょ、ちょっと、そこのその……勇ッ!」
「はっ、はい、何でしょうッ!」
その時、リアナさんに呼ばれて、僕は反射的に背筋を伸ばす。
「あなた、わかってんの……自分が何したか……」
「あ……は、はい。確かにやったことは申し訳ないですが、それでも胸を揉んだのはあなたに勝つためで……」
「私の星ではッ!」
「ッ!」
「……胸を揉まれたら、そいつに嫁がなきゃならないの」
「……え?」
「た、たとえ立場が違っても、敵同士であっても……そいつに一生付き添わなければならなくなる……そんなルールが、私の星にはあるのよ」
「あ、あの、えっと、あれは戦闘の一テクニックであって、そんな深い意味じゃ……」
「勇君ッ!」
「はいッ!」
「……責任、取りなさい」
瞬間、梶野さんが僕の肩に手を置く。
「……仕方ないわよね。あんなことしたんだもの」
あ、駄目だ。この人僕の敵だ。笑顔が笑ってないもん。
ふとハツネさんの方を見る。僕が藁にも縋る想いで彼女のことを見つめると……
ぷいっ。
彼女は可愛らしく、僕から顔を反らした。
あ、これ詰んだ。
「だ、だからその、これからよろしくね……あたしの、ダーリン♪」
そう笑いかけてくるリアナさんの笑顔は、この状況を忘れたくなるくらい、とっても可愛らしかったのだった。
……うん、これからは卑怯な手を使わないようにしよう。絶対に。
僕はそう、一人司令室で誓ったのだった……。
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