34.プレゼント

 何が起こるかワクワクとしていると、ジュルアがステージに上がった。


「アイラ。入団おめでとうございます」


 そう言ってジュルアは綺麗に梱包された箱を私に手渡す。


「えっと。これは?」

「アイラの入団祝いでプレゼントを用意したの」


 手にはズッシリとした重さを感じた。

 これが私のために用意されたものだと思うと、自然と頬は吊り上がって嬉しい気分になる。


「そうなの!? 全然知らなかった」

「ええ。秘密で用意してたの」


 ジュルアは笑顔を浮かべて、私の手を握った。


「嬉しい?」

「もちろん! ありがとねジュルア!」

「ええ。これから一緒に頑張りましょう」


 私はジュルアの手を強く握りしめると、思いっきりの笑顔で返事をする。


「いいね! また話そうぜ!」

「これからよろしくね!」


 そんな声援と一緒に拍手が響く。

 

「それじゃあ、中身を見てもらっても良いかしら?」

「うん!開けるね!」


 私はジュルアに渡されたプレゼントの包みを丁寧に開ける。

 箱の中には青色の透明なガラス細工の髪飾りが入っていた。


「アイラの綺麗な銀髪に似合うと思って、みんなで選んだの」

「そうなの!? ありがとう!」

「付けてみても良い?」

「うん! お願いするね」


 ジュルアは髪飾りを丁寧な手つきで私に着ける。


「うん。似合っているわ」

「そう?」

「ええ。こんな感じよ」


 そう言ってジュルアは手鏡を取り出す。


「おお!すごい可愛いよ!」

「そうね。星の形がやっぱり似合うわね」

「えへへ。ありがとう!」


 私は髪飾りを手でゆっくりと撫でる。

 とても頭に温かい感覚が伝わってきて、心地い気分になってきた。


「それじゃあ、主役に交代ね」

「あぁ。俺からも入団祝いでプレゼントを贈らせてほしい」

「ベン様も!? いつの間に用意したのですか?」

「あぁ。気付かれないように苦労したよ」


 そう言って、ベン様は恥ずかしそうに頭を掻く。

 私はベン様の様子を見て、どんなプレゼントか楽しみで頬が緩む。

 

「アイラ。入団おめでとう」

「ありがとうございます」


 ベン様から少し小さな小箱を渡される。

 私はゆっくりと箱を開けると、中には青い宝石が印象的な指輪があった。


「すごい! 綺麗です!」

「そうか。気に入ってもらえたなら嬉しい」

「ありがとうございます!」


 指輪をまじまじと見つめると、心の中からポカポカとしてくる。

 私はとびっきりの笑顔をベン様に向けると、恥ずかしそうに目を逸らされてしまう。


「えへへ。ベン様からのプレゼントだ」

「そんなに嬉しいのか?」

「もちろんです!」


 私は嬉しさで小箱をギュッと握る。

 

「付けてもいいか?」

「はい!」


 ベン様は丁寧に指輪を手に取ると、私の指にゆっくりとはめた。

 指輪から放たれる青色の綺麗な光に私は目を奪われてしまう。


「とても綺麗だよ」

「あ、ありがとうございます……」

 

 ベン様の凛々しい表情で褒められると、つい照れ臭くなってしまう。

 音楽団のメンバーからはヒューヒューと揶揄われるせいで、余計に恥ずかしい。

 それでも、みんなから入団を祝われることは幸せに感じた。


「みなさんありがとうございます!」

「これからもよろしくね!」


 そのまま音楽団のみんなにピアノの椅子へ連れていかれると、演奏をしてほしいという眼差しが突き刺さる。

 私はこの楽しい気持ちのまま演奏をすると、陽気な拍手が響く。


「名残惜しいですが、これでアイラの歓迎パーティーを締めようと思います」


 いつの間にか真夜中の時間になっていて、みんな満足げな表情をしていた。

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