初めての恋 - ノンフィクション -
藤井
第1話 31歳 無職
婚活経験を経て、つくづく自分には向いていないということだけはよく分かった。
良い人だけど、ときめかない。
恋愛したい私にとって、婚活市場はモテない男女の集まりでしかなかった。
そもそも男友達もいないし、きっかけがないと話せない。
31歳、派遣の仕事も辞めてしまっていて、そろそろ働かないと本格的にヤバかった。
でもこれまでの経験上、正社員として働くことに限界を覚えていたし、将来的に専業主婦になりたいからパート勤務のつもりでアルバイトを探してみよう!と思った。
元々、たまに日払いのバイトはしていて、あとは失業保険で賄っていた。
時間があればスマホで求人検索をするも、ピンと来るものがあまりない……。
強いて言えば、過去に経験があるものが飲食店くらいだ。
働いてみたい!と思っていたカフェでの求人に応募し、面接して手応えを感じていたにも関わらず、あっけなく落とされてしまった。
異性との接点が増える職場……。
そう思いながら気になったのが飲食店でのキッチン募集の求人だった。
昔働いていた飲食店でホール担当だったけれど、キッチンには男性もいたことを思い出した。
ホールと違って男性もいるし、よこしまな感情と半信半疑で応募したのが洋食店の調理スタッフだった。
私は、どうやったら採用されるか戦略を立てた。
普通に受けても受からないことを危惧したので、掛け持ちで働いていることを誇張した。嘘はついていないのでセーフだと思っている。
すると見事に採用。働けることになった。
店長が良い人で、38歳。
わりとイケメンで、昔はシェフをやっていたらしく「凄いですね~!」と褒めたら嬉しそう。
でも左手の薬指にはシルバーリングが光っていて、既婚者だということを見せつけられた。
*
一人の方が気楽なのかもしれない。
それは大前提として、恋人ができると心が満たされるほど幸せな気持ちになれる。
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