第3巻 第11章 (善友や恋人の獲得方法)

XI

第3巻 第11章 (善友や恋人の獲得方法)(考えを閃くのは神霊による)(必要としていない時に思いやってしまうと嫌われてしまう)(探せば見つかる)(行くなかれ。来させなさい)



There was once in the city a fair woman named Theodote.

かつて、都市アテナイに、テオドテという名前の美しい女性がいた。

She was not only fair, but ready to consort with any suitor who might win her favour.

テオドテは、美しいだけではなく、テオドテの好意を勝ち取る事ができる求婚者なら誰とでも交際する用意が有った。

Now it chanced that some one of the company mentioned her, saying that her beauty beggared description.

さて、偶然、(ソクラテスの)友人達のうち誰かがテオドテについて「テオドテの美しさは言い表す事ができない」と話した。

"So fair is she," he added,"that painters flock to draw her portrait, to whom, within the limits of decorum, she displays the marvels of her beauty."

次のように、そのソクラテスの友人は言い加えた。「画家達がテオドテの肖像画を描くために群がるほど、テオドテは、とても美しいのです。画家達に対して、適切な範囲内で、テオドテは、自分の驚くべき美しさを見せてくれます」

"Then there is nothing for it but to go and see her," answered Socrates, "since to comprehend by hearsay what is beyond description is clearly impossible."

次のようにソクラテスは話した。「では、テオドテを見に行くしか無いですね。なぜなら、伝聞によって言葉を超越しているものを理解する事は、明らかに、不可能だからです」

Then he who had introduced the matter replied: "Be quick then to follow me";

すると、次のように、テオドテの事を紹介したソクラテスの友人は応えた。「それでは、早速、私に付いて来てください」

and on this wise they set off to seek Theodote.

こうして、ソクラテスと、友人達は、テオドテの所へ出かけた。

They found her "posing" to a certain painter;

ソクラテスと、友人達は、ある画家に対してテオドテが「姿勢を取っている」のを見つけた。

and they took their stand as spectators.

そして、ソクラテスと、友人達は、テオドテの見物人としての立場を取った。

Presently the painter had ceased his work;

やがて、その画家は仕事を終わらせた。

whereupon Socrates:

そこで、次のようにソクラテスは話した。

"

Do you think, sirs, that we ought to thank Theodote for displaying her beauty to us, or she us for coming to gaze at her?...

テオドテが自分の美しさを見せてくれたのを私ソクラテスと友人達が感謝するべきか、それとも、私ソクラテスと友人達がテオドテの美しさを見つめに来てくれたのをテオドテが感謝するべきか、あなた達は、どう思いますか?

It would seem, would it not, that if the exhibition of her charms is the more profitable to her, the debt is on her side;

もし、自分の魅力を見せるのが、テオドテにとって、より利益に成るのなら、テオドテ側が私ソクラテスと友人達に対しての借りが有る事に成ります。

but if the spectacle of her beauty confers the greater benefit on us, then we are her debtors.

しかし、もし、テオドテの美しさを眺めるのが、私ソクラテスと友人達に、より大きな利益をもたらすのなら、私ソクラテスと友人達がテオドテに借りが有る事に成ります。

"

Some one answered that "was an equitable statement of the case."

次のように誰かが答えた。「(ソクラテスの話は)公平な意見ですね」

Well then (he continued), as far as she is concerned, the praise we bestow on her is an immediate gain;

(次のようにソクラテスは話を続けた。)「ええ、では、テオドテに関する限りでは、私ソクラテスと友人達がテオドテに与える賛美は、直接的な利益という事に成ります」

and presently, when we have spread her fame abroad, she will be further benefited;

「また、やがて私ソクラテスと友人達がテオドテの名声を外国に広めたら、さらにテオドテは利益をもたらされた事に成るだろう」

but for ourselves the immediate effect on us is a strong desire to touch what we have seen;

「私ソクラテスと友人達にとっては、私ソクラテスと友人達への直接的な効果は、見た対象者テオドテに触れたいという強い欲望という事に成ります」

by and by, too, we shall go away with a sting inside us,

「やがて私ソクラテスと友人達も刺激された(、美しさへの愛好という)苦悩を心の中に抱えて立ち去る事に成るだろう」

and when we are fairly gone we shall be consumed with longing.

「そして、私ソクラテスと友人達がまあまあ去った時に、(美しさへの愛好という)欲望にかられる事に成るだろう」

Consequently it seems that we should do her service and she accept our court.

「結果、私ソクラテスと友人達はテオドテに奉仕する事に成るだろうし、テオドテは私ソクラテスと友人達との交際を受け入れてくれるだろう」

Whereupon Theodote:

すると、次のようにテオドテは話した。

Oh dear!

「おおっ、敬愛するべき者よ!」

(*Version A: )if that is how the matter stands, it is I who am your debtor for the spectacle.(*Version B: if that is how the matter stands, it is I who have to thank you for coming to look at me.)

「このままなら、私テオドテが、あなたソクラテスと友人達に自分を見てもらえた借りが有る事に成ります」(「このままなら、私テオドテは、あなたソクラテスと友人達が私を見に来てくれたのを感謝する必要があります」※別の版)

(*Version A: )At this point, seeing that the lady herself was expensively attired, and that she had with her her mother also, whose dress and style of attendance were out of the common, not to speak of the waiting-women-- many and fair to look upon, who presented anything but a forlorn appearance;(*Version B: At this point, seeing that the lady herself was expensively attired, and her mother there with her in a dress and general get-up therapeia which was out of the common, not to speak of the waiting-women-- many and fair to look upon, who presented anything but a forlorn appearance;)

この時、テオドテは、高価な衣服で正装させられていて、正装している自分の母も連れていて、付き添い(の侍女達)の服装も並外れていて(正装していて)、侍女達については言うまでも無く、多数の見た目が美しい侍女達で、にぎわった様子を見せていた。(この時、テオドテは、高価な衣服で正装させられていて、そこにテオドテと共に正装しているテオドテの母がいて、全身を正装している奉仕者達、侍女達の服装も並外れていて、侍女達については言うまでも無く、多数の見た目が美しい侍女達で、にぎわった様子を見せていた。※別の版)

Pray tell me, Theodote, have you an estate in the country? while in every respect the whole house itself was sumptuously furnished-- Socrates put a question:

次のようにソクラテスは質問した。「どうか、教えてください、テオドテよ。都市国家アテナイに、あなたテオドテには農場が有るのですか? なぜなら、全ての点で家全体、家自体が壮麗に家具などを備えているからです」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

Not I indeed.

「いいえ。実に、私テオドテにはアテナイに農場は無いです」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Then perhaps you possess a house and large revenues along with it?

「では、多分、あなたテオドテは、(貸)家を持っていて、(貸)家(という財産)と共に(貸)家による大きな収入が有るのですか?」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

No, nor yet a house.

「いいえ。ましてや、(貸)家も無いです」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

You are not an employer of labour on a large scale?

「あなたテオドテは、大規模な、労働者達の雇い主ではありませんか?」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

No, nor yet an employer of labour.

「いいえ。ましてや、労働者達の雇い主でもありません」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

(*Version A: )From what source, then, do you get your means of subsistence?(*Version B: From what source, then, do you derive your income?)

「では、どのような収入源から、あなたテオドテは、生活手段としての収入を得ているのですか?」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

My friends are my life and fortune,

「私テオドテの友人達が、私の生活費、幸運による財産と成ってくれるのです」

when they care to be kind to me.

「なぜなら、私テオドテの友人達は、私テオドテを『思いやってあげたい』と思ってくれるのです」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

By heaven, Theodote, a very fine property indeed, and far better worth possessing than a multitude of sheep or goats or cattle. A flock of friends!...

「神にかけて、テオドテよ、多数の友人達は、実に、とても優れた財産であり、多数の羊や山羊や牛よりも、遥かに、より優れて、保持するに値するのです……!」

But (he added) do you leave it to fortune whether a friend lights like a fly on your hand at random,

(次のようにソクラテスは言い加えた。)「ですが、ハエのように友人が自分の手に止まってくれるかどうかを、あなたは運任せにしますか?」

(*Version A: )or do you use any artifice yourself to attract him?(*Version B: or do you use any means and appliances yourself to attract him?)(*Version C: or do you use any machinery yourself to attract him?)

「それとも、あなたは、友人を引き寄せるために、何らかの工夫を自ら使用しますか?」(「それとも、あなたは、友人を引き寄せるために、何らかの手段、仕掛けを自ら使用しますか?」※別の版)

Theod.

次のようにテオドテは話した。

And how might I hit upon any artifice to attract him?

「どうしたら、私テオドテは、友人を引き寄せるための、何らかの工夫を思いつく事ができますか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Bless me!

「神よ!」

far more naturally than any spider.

「全ての蜘蛛クモよりも、遥かに、より生まれつき(、あなたは、友人を引き寄せる工夫を実践しているの)です」

You know how they capture the creatures on which they live;

「どのように、蜘蛛クモが、生きるために食べるための生物をとらえるか、あなたは知っていますよね」

by weaving webs of gossamer, is it not?

蜘蛛クモの糸で捕獲網の罠を作り上げて、蜘蛛クモは、生きるために食べるための生物をとらえます。そうではありませんか?」

and woe betide the fly that tumbles into their toils!

蜘蛛クモの仕掛け網の罠、策の中へ飛び込むハエには災いが有る!」

They eat him up.

蜘蛛クモハエを食べ尽くしてしまうからです」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

So then you would counsel me to weave myself some sort of net?

「それでは、私が自ら、何らかの種類の捕獲網の罠を作り上げるように、あなたソクラテスは勧めているのですか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Why, surely you do not suppose you are going to ensnare that noblest of all game-- a lover, to wit-- in so artless a fashion?

「おや、まさか、全ての対象のうち最も優れた対象、すなわち、(自分の)愛好者に対して、あなたは、そのような下策、無策で、『(自分の)とりこにできるだろう』とは思っていませんよね?」

Do you not see (to speak of a much less noble sort of game) what a number of devices are needed to bag a hare?

「(大して優れていない種類の対象について話すと、)ウサギをとらえるために、どのくらいの数の策を必要とするか、あなたは知りませんか?」

The creatures range for their food at night;

ウサギという生き物は、食べ物を求めて、夜に移動します」

therefore the hunter must provide himself with night dogs.

「そのため、猟師は、夜用の犬達を用意する必要が有ります」

At peep of dawn they are off as fast as they can run.

「夜が明け始めると、ウサギは、走れる限り速く(巣穴へ)立ち去ってしまいます」

He must therefore have another pack of dogs to scent out and discover which way they betake them from their grazing ground to their forms;

「そのため、猟師は、ウサギを嗅ぎ当ててウサギが草原から巣穴へ、どの道を行ったか発見できる別の群れの犬達を所有している必要が有ります」

(*Version A: )and as they are so fleet of foot that they run and are out of sight in no time, he must once again be provided with other fleet-footed dogs to follow their tracks and overtake them;(*Version B: and as they are so fleet of foot that they run and are out of sight in no time, he must once again be provided with other fleet-footed dogs to close at their heels and run them down;)

「また、ウサギは、足がとても速いため、走ると一瞬で(人の)視野では見えなく成るほどなので、猟師は、ウサギを追跡して追い越す事ができるほど足が速い別の犬達をさらに用意する必要が有ります」(「また、兎は、足がとても速いため、走ると一瞬で人の視野では見えなく成るほどなので、猟師は、兎のかかとまでの距離を縮めて追い詰めて捕らえる事ができるほど足が速い別の犬達をさらに用意する必要が有ります」※別の版)

and as some of them will give even these the slip, he must, last of all, set up nets on the paths at the points of escape, so that they may fall into the meshes and be caught.

「そして、ウサギの何羽かは、前述の策すら失敗させ(て逃れ)るので、最後に、猟師は、ウサギを捕獲網の罠にはめて、とらえるために、ウサギの(予想)逃走経路の諸々の要所に捕獲網の罠を設置する必要が有ります」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

And by what like contrivance would you have me catch my lovers?

「では、あなたソクラテスは、どのような策によって私に愛好者(の心)をとらえさせるつもりなのですか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Well now!

「ええ、では!」

what if in place of a dog you can get a man who will hunt up your wealthy lover of beauty and discover his lair, and having found him, will plot and plan to throw him into your meshes?

「もし、あなたの美しさの裕福な愛好者を探し出して、その愛好者の家を見つけて、そうしたら、あなたという捕獲網の罠に陥れる計画を立ててくれる人を、猟犬の代わりに、あなたが得る事ができたら、どうでしょうか?」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

Nay, what sort of meshes have I?

「いえ、私には、どのような種類の捕獲網の罠が有るというのですか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

(*Version A: )One you have, and a close-folding net it is, I trow;(*Version B: One you have, and a right well woven net it is, I trow;)

「私ソクラテスが思うに、あなたには1つ有ります。それは、折りたためる捕獲網の罠です」(「私ソクラテスが思うに、あなたには1つ有ります。それは、正に良く織られて作り上げられた捕獲網の罠です」※別の版)

to wit, your own person;

「すなわち、その捕獲網の罠とは、あなたの(美しい)肉体なのです」

and inside it sits a soul

「また、あなたの肉体の中には、ある(神)霊が宿っています」

that teaches you with what looks to please and with what words to cheer;

「その(神)霊は、『どのような目つき、顔つき、服装、外見、様子が(他人を)喜ばせる事ができるか』、また、『どのような言葉が(他人を)元気づける事ができるか』をあなたに教えてくれます」

(*Version A: )how, too, with smiles you are to welcome true devotion,(*Version B: how, too, with what smiles to lie in wait for the devoted admirer,)

「また、その(神)霊は、『あなたが、笑顔と共に、真の忠実な愛好者を、どのように喜んで迎え入れるべきか』をもあなたに教えてくれます」(「また、その神霊は、『あなたが、どのような笑顔と共に、忠実な求婚者を、どのように待ち構えるべきか』をもあなたに教えてくれます」※別の版)

(*Version A: )but to exclude all wantons from your presence.(*Version B: and how to banish from your presence the voluptuary.)

「また、その(神)霊は、『あなたが、どのように全ての好色過ぎる男どもを目の前から排除するべきか』をもあなたに教えてくれます」(「また、その神霊は、『あなたが、どのように淫らな男どもを目の前から追い払うべきか』をもあなたに教えてくれます」※別の版)

It tells you, you are to visit your beloved in sickness with solicitude, and when he has wrought some noble deed you are greatly to rejoice with him;

「また、その(神)霊は、『あなたが、恋人が病気の際は、思いやって、お見舞いをするべきである事』、また、『恋人が何らかの気高い行動をした時は、その恋人と共に、あなたが、大いに喜ぶべきである事』をあなたに教えてくれます」

and to one who passionately cares for you, you are to make surrender of yourself with heart and soul.

「そして、あなたを熱心に思いやってくれる人に対して、(女性の、)あなたは身も心も任せるべきなのです」

The secret of true love I am sure you know:

「『真の愛の秘訣をあなたは知っている』と私ソクラテスは確信しています」

(*Version A: )not to love softly merely, but devotedly.(*Version B: not that it should be simply soft, but full of tender goodwill.)

「(真の愛の秘訣によって、)単に思いやるだけではなく、献身して尽くして思いやる事もできる」(「真の愛の秘訣によって、単に思いやるだけではなく、全身全霊で思いやる事もできる」※別の版)

And of this too I am sure:

「また、次のような事も、私ソクラテスは確信しています」

you can convince your lovers of your fondness for them not by lip phrases, but by acts of love.

「あなたは、口先だけの言葉によってではなく、思いやりの行動によって、あなたの美しさの愛好者である恋人達を納得させる事ができる」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

No, upon my word, I have none of these devices.

「いいえ。(神に)誓って、私は、それらのような策などろうしていません」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

And yet it makes all the difference whether you approach a human being in the natural and true way,

「しかし、自然な正しい方法で人に近づくか、否かは、全く違うのです」

since it is not by force certainly that you can either catch or keep a friend.

「なぜなら、強制によってでは、確実に、あなたは友人(の心)をとらえる事も保持する事も不可能だからです」

Kindness and pleasure are the only means to capture this fearful wild-fowl man and keep him constant.

「思いやりと喜びだけが、畏敬するべき獲物のカモである人(の心)をとらえて不変に保持できる唯一の手段なのです」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

You are right.

「あなたソクラテスは正しいです」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

In the first place you must make such demands only of your well-wisher as he can grant without repentance;

「最初に、あなたは、あなたへ好意を寄せてくれる人が後悔しないで容認できる事だけを要求する必要が有ります」

and in the next place you must make requital, dispensing your favours with a like economy.

「そして、次に、あなたは、思いやり深い行為を同様に効率的に施して、報いる必要が有ります」

(*Version A: )Thus you will best make friends whose love shall last the longest and their generosity know no stint.(*Version B: This is the right road to friendship--permanent and open-handed friendship.)

「このようにして、あなたは、最善に、友人と成れるであろうし、その友人の愛情は最も長く続くであろうし、友人は寛大な行いを惜しまないのである」(「これが、永遠の寛大な友情への正しい道なのである」※別の版)

And for your favours you will best win your friends if you suit your largess to their penury;

「また、友人からの好意を得るために、友人の困窮に対して、あなたが気前の良い援助で満たせば、あなたは最善に友人を勝ち取るであろう」

for, mark you, the sweetest viands presented to a man before he wants them are apt to prove insipid, or, to one already sated, even nauseous;

「注意して、よく聞いてください。なぜなら、最も甘美な食べ物をある人に贈っても、その人が(空腹で困窮して)食べ物を必要とする前ならば、最も甘美な食べ物が結果として不味いという羽目に成ってしまうか、既に満腹で満足している人に対しては、最も甘美な食べ物が吐き気すらさせてしまうという羽目に成ってしまいます」(友人や恋人にしたい人が必要としていない時に思いやってしまうと嫌われてしまう。友人や恋人にしたい人が必要としている時に思いやる必要が有る。)

but create hunger, and even coarser stuff seems honey-sweet.

「しかし、空腹、渇望を引き起こせば、粗食ですら、蜜のように甘美に思われるのです」(女性は、愛している男性に愛してもらうために、愛している男性を満足させて喜ばせてあげる前に、あえて焦らして渇望させる必要が有る。)

Theod.

次のようにテオドテは話した。

How then shall I create this hunger in the heart of my friends?

「では、どうしたら、友人の心の中に渇望を引き起こす事ができますか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

In the first place you must not offer or make suggestion of your dainties to jaded appetites until satiety has ceased and starvation cries for alms.

「第一に、食欲への飽きが無く成って飢えが施しを強く求めるまで、食欲が飽きている者に対して、あなたの美味しい食べ物を与えたり、提案したりするなかれ」(友人や恋人にしたい人が必要とするまで、あえて思いやるなかれ。思いやる提案すら、するなかれ。)

Even then shall you make but a faint suggestion to their want, with modest converse-- like one who would fain bestow a kindness...

「その場合でさえ、求めている人に対して、逆に、あなたが喜んで自発的に自ら進んで思いやりたいかのように謙虚に、実に、かすかに提案するべきなのです……」

and lo! the vision fades and she is gone-- until the very pinch of hunger;

「見てみなさい! そのため、(意中の)男性が飢えて、まさに苦しむまで、(この世の)女性は姿を隠して去っておくのです」

for the same gifts have then a value unknown before the moment of supreme desire.

「なぜなら、同じ贈り物でも、相手の欲望が最も高まる前は、相手に価値を分かってもらえないのです」

Then Theodote:

すると、次のようにテオドテは話した。

Oh why, Socrates, why are you not by my side (like the huntsman's assistant) to help me catch my friends and lovers?

「おおっ、あら、ソクラテスよ、なぜ、あなたは(猟師の助手のように、)私テオドテが友人や恋人(の心)をとらえるのを助けるために私のそばにいてくれないのですか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

That will I be in good sooth if only you can woo and win me.

「実に! あなたテオドテが私ソクラテスを口説いて(心を)勝ち取る事ができた場合だけ、私は、そうするであろう」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

How shall I woo and win you?

「どうしたら、私テオドテは、あなたソクラテスを口説いて(心を)勝ち取れますか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Seek and you will find means, if you truly need me.

「もし、あなたが本当に私を必要としているならば、探しなさい。そうすれば、あなたは手段を見つけるであろう」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

Come then in hither and visit me often.

「では、こちらに来てください。また、頻繁に私テオドテを訪ねてください」

And Socrates, poking sly fun at his own lack of business occupation, answered:

すると、次のように、ソクラテスは、いたずらにソクラテスが無職であるのをふざけながら、答えた。

Nay, Theodote, leisure is not a commodity in which I largely deal.

「いや、テオドテよ、私ソクラテスは、自分の暇な時間を主な商品として取り扱っていないのです」

I have a hundred affairs of my own too, private or public, to occupy me;

「私ソクラテスにも、専念する必要が有る、私的な、または、公的な、多数の私事が有るのです」

and then there are my lady-loves, my dear friends, who will not suffer me day or night to leave them, for ever studying to learn love-charms and incantations at my lips.

「それから、愛情を引き寄せる魔法と私ソクラテスの口から出る魔法のような言葉を常に学ぶために、私が昼でも夜でも離れるのを許してくれない恋人達である(と言える)愛すべき友人達がいるのです」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

Why, are you really versed in those things, Socrates?

「あら、ソクラテスよ、あなたは本当に愛情を引き寄せる魔法と魔法のような言葉を熟知しているのですか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Of course,

「もちろんです」

or else how is it, do you suppose, that Apollodorus here and Antisthenes never leave me;

「そうでなければ、ここにいるアポロドロスとアンティステネスが決して私ソクラテスから離れないのは、どうしてだと、あなたテオドテは考えますか?」

or why have Cebes and Simmias come all the way from Thebes to stay with me?

「また、ケベスとシミアスが私ソクラテスと共にいるために、はるばるテーバイから来たのは、なぜだと、あなたテオドテは考えますか?」

Be assured these things cannot happen without diverse love-charms and incantations and magic wheels.

「多様な、愛情を引き寄せる魔法と、魔法のような言葉と、魔術的な輪が無くては、前述のような事は起こるはずが無いので、安心してください」

Theod.

次のようにテオドテは話した。

I wish you would lend me your magic-wheel,

「あなたソクラテスが魔術的な輪を私テオドテに与えてくれるのを私は望みます」

then, and I will set it spinning first of all for you.

「そうしてくれたら、私テオドテは、最初に、あなたソクラテスを(糸のように、からめ取って、友人として)獲得するために魔術の輪を回転させるつもりです」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Ah!

「ああっ!」

but I do not wish to be drawn to you.

「しかし、私ソクラテスは、あなたテオドテへ引き寄せられるのは望まないのです(。なぜなら、)」

I wish you to come to me.

「私ソクラテスは、あなたテオドテが私ソクラテスの所へ来る事を望みます」(16世紀の小説家ラブレーは「行くなかれ。来させなさい」と話していた。)

Theod.

次のようにテオドテは話した。

Then I will come.

「では、私テオドテは、ソクラテスの所へ行くつもりです」

Only, will you be "at home" to me?

「ただし、あなたソクラテスは、私テオドテを喜んで迎え入れてくれますか?」

Soc.

次のようにソクラテスは話した。

Yes, I will welcome you, unless some one still dearer holds me engaged, and I must needs be "not at home."

「ええ、私ソクラテスは、もっと、より愛すべき誰かの先約が有って(嫉妬させないためにテオドテを)『喜んで迎え入れない』必要が無ければ、あなたテオドテを喜んで迎え入れるつもりです」

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