【23】え〜!? ここで一時間前回想!?
一時間ほど前のことを覚えている
そう、アイリが私の為に薬を探している時にドジっ子流すっころびをして、怪我をしたまま白タイツを履き直したというアレ。
バカ可愛いアレだ。
二人で近くのストアに行き、私の黒タイツとアイリの白タイツ、そして絆創膏を買った。
ここまでは知っての通りだろう。
その会計を済ませる際、私はアイリに外で待つように頼んだ。
もう一つの、とある“買い物”を見られたくなかったからだ。
何かって言うと…………無論スキンではない。
──顔を赤らめ、涙を浮かべているアイリのアレに口で優しく被せてあげるという、どこかの下々共のご褒美的展開は脳内にちょっとあったレベルなので悪しからず。
アイリが御菓子コーナーで悪魔製ミントチョコバーを物珍しそうに凝視していた時に籠の中へ入れた一種の麻薬。
この店に入る前に、隠れて一粒だけ奥歯の方へと隠していたのだ。
おかげで解体されて殺されかけているというのに意識全開なのだから、いい迷惑なのだが。
強制覚醒剤『スピードアップ』。
生き物の意識をどんな状況下であろうと、完全に活性化させる眠気防止薬の最悪版。
寝ている暇がない受験生たちが使うなら良いが、副作用が半端ないらしい諸刃の
噂では、薬で眠らせながら強姦中にこれで無理やり起こすなどといった外道行為をする者もいるという。
無論、そんな事で買ったのではない。
これは何かあった時、役立つかは知らないけど、アイリの為に買っておいた物だ。
店の中で、どうしても嫌なことや死にたくなくなった時、強烈な催眠を掛けられた時などの為に仕込んでいたのだ。
だけど、君が目を覚ましたら、いったいどうなるのだろう。
私を殺そうとした罪悪感で自殺に走ってしまうだろうか、はたまた自分の状況に理解できず発狂し、廃人と化すのか。
身勝手なことだけど、私はアイリがどうにかなると信じている。
あなたは誰よりも強い
最低で、クズで、自己中で、ゴミで、酷い
アイリ。
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