お姉さん

お姉さん

って呼ばれるたびに

誰のこと?

って一度見回す

あら、あたくしのこと!

って気づいたら

私はすぐに

“お姉さん”になる

しなやかな指先で

人に手を振る

本当は

お姉さんじゃないけど

お姉さんの

ふりをしていると

人が喜ぶ

んふふって笑って

上品に階段を降りると

人が見惚れる

柔らかく微笑んで

お喋りするだけで

人が笑う

胸に手を当てて

大袈裟に驚いて見せると

人が満足する

人には私が

お姉さんに

見えるらしい

あたくし、

そんなんじゃないのよ

って言っても

最後には

お姉さんになる

私は

お姉さんから

逃げられないのです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る