えし

バブみ道日丿宮組

お題:どす黒い年賀状 制限時間:15分

 クリスマスといえば、ケーキ。誕生日といえば、ケーキ。バレンタインといえば、チョコ。ホワイトデーといえば、チョコ。世の中はお菓子に溢れてる。

 一番多くもらえるのは、お正月。

 お汁粉もお菓子といえるが、

「おぉぅ」

 今年のはスケールが違った。

 なんと30cmもあるチョコレートケーキが年賀状と一緒に送られてきた。

 食べごたえがありそうだ。

 とりあえず、リビングに運んで他のものも見よう。

 有名な配信者にもなると、いろいろファンにもらえることがある。いわゆる投げ銭。

 住所は公開してないし、事務所から開封して安全と判断したものがくるわけだから、あたしが欲しくないものがこないわけがないが……。

 冷蔵が必要なものは最初のケーキ以外なかった。とはいっても、チョコ菓子だから溶けるので冷蔵庫に入れたいのだが、

「……ぐぬぬ」

 クリスマスに送られてきたお菓子が冷蔵庫を膨らませてた。

 お菓子はお菓子なので、栄養を取ることはできない。普通のご飯の材料も当然冷蔵庫には存在してる。ずっとお菓子を食べ続けてるわけにもいかず、消化が追いついてない。

 友だちに配ったり、スタッフさんにあげたりもしてるのに、これだ。


 人気やばいね。


 自画自賛してしまうほどに、なぜかあたしは人気だった。

 ただの声でしかないのに、どうしてこうも広まったのだろうか。

 絵を描いて配信してるだけなのに、急に増えた。

 そりゃぁえっちなゲームであったり、小説のイラストを描いてはいるものの。描いてる人の中身なんて普通は気にするようなものじゃない。

 それでも人は増えた。

 わからないものだ。

 人間何が始まりで終わりなのか……難しい。

 届いたものを写真に取り、SNSにあげるといろいろリプライが返ってくるが全部見きれない。ちゃんと返信したいけど、何百何千というのは目に入れるだけでも時間がかかる。

 これを返信してる人がいるっていうんだから、凄いものだ。あたしには到底真似ができない一芸に思えてくる。

 とりあえず、ケーキ食べようかな。

 友だちも呼ぼう。どうせ部屋で寝てるだろうしと、寝室に向かうとやっぱり寝てた。

「起きろ」

 脇腹をくすぐる。

 すぐに起きた。

 友だちは居候。有名になったら、そのまま住み始めた怪しいやつ。

 でも、嫌いじゃない。

 だから一緒にいる。

「ケーキ食べるよ」

 ほっぺたをつねり、起こす。

 あたしの都合に付き合わなきゃ、居候とはとても呼べない。

 それがあたしたちの関係なのだから。

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えし バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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