第2話 シマウマに会う


ずんずんずんずんずんずんずんずん。


ずんずんずんずこずんずんずんずこ。



今度は、ダチョウに会いました。


挨拶もそこそこに、そばを横切るふりをして、

後ろから『ガバッ』と、おおいかぶさりました。


あまりの重さにダチョウがひるんだところで、体をふるわせ、


『ブルルンルン!』


ダチョウは地面に倒れこんでしまいました。



なんか違うなあ。


カバは、大きなあくびをすると、

ダチョウから降りて、また歩き出しました。



その後も、カバは出会ったインパラに乗り、

サイや水牛に乗ってみました。



『ブルルンルン!』


でも、なんかしっくりときません。



なんか違うなあ。



そのうちにお腹がすいてきました。

カバは、ずんずんと草の生えている場所まで進んで行きました。


そこでしばらく、草を食べました。


『ぶあぅ~』カバはお腹いっぱいになって一息つくと、

首をふって、辺りを見回しました。


すると、涼しげなシッポが目にとまりました。


そちらを向いて目をこらしてみると、

一頭のシマウマが草を食べている最中です。


カバは、ゆっくり、近づいて行きました。


そして、挨拶もそこそこに、

シマウマの後ろにまわりこんで、ガバッと背中にまたがりました。


シマウマは腰が抜けるほど、驚きました。


『カバさんカバさん何をするんです!』



カバは、あくび混じりに


『なあに、ブルルンルンするだけさ』


と、答えました。




『ブルルンルン!』


カバは、体をふるわせました。


シマウマは、力を振りしぼり、

押しつぶされそうなのをこらえます。


シマウマは、ブルルンルン! とは何なのか、ひらめきました。


『あぁ、あれですね。人間がのっているやつのことですね。

あれは、向こうにありますよ』


カバは、ハッとした顔をして、シマウマの上からのぞきこみました。


『それは、本当かい?』


『えぇ、本当ですとも。さっき私は、その横を通りすぎましたから』


『そこへ案内してくれ』


『えぇ、お安いご用です。

でもその前に、私からちょっと降りてくれませんか? 』



カバが降りた時には、シマウマは疲れはててしまい、

出発を明日の朝に送らせることにしました。



〈続く〉

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