カバさんのブルルンルン!
夢ノ命
第1話 旅にでる
アフリカのサバンナの西のはずれの沼に住む1頭のカバは、
のんびり気ままに暮らしていました。
それがある日をきっかけに、
カバの暮らしが変わってしまいました。
サバンナを悠々と駆け抜けるバイクライダーの姿を見たからです。
『ブルルン~ブルルン~ブルルンルン』
この音を聞いたとき、カバは、
ゾウとライオンがいっしょに鳴いて吼(ほ)えたのかと思いました。
『ブルルン~ブルルンルン』
音はますます大きくなってきます。
カバはひょっこり沼から顔を出して、
耳をパタパタさせながら、音のする方を眺めました。
遠くから砂煙をあげながら、
人間が機械にまたがって、やってくるではありませんか。
カバは、よく見てみようと、岸に上がりました。
そして、
『ブルルンルン!』
大きな体をふるわせて、体の水滴をおとしました。
そこへ、
『ブルルン~ブルルン~ブルルンルン』
ヘルメットにメガネをかけた、バイクライダーが、
ものすごいスピードで駆け抜けていきました。
カバは、全身に風と砂煙を浴びてしばらく目をあけられませんでした。
おそるおそる目を開けたカバの目に、いつものサバンナの景色が映りました。
いつものサバンナではありますが、何かが違うのです。
『ブルルンルン』があるサバンナの景色でした。
カバの、バイクライダーへのあこがれは、カバ以上、いや人間以上でした。
『あんなブルルンルンにのってみたい!』
カバの想いはつのります。
カバは、水に入り沼の底を歩きながら、どうしたらいいか考えました。
『そうだ、僕がのるブルルンルンをさがしにいこう』
そして、明け方、カバは、旅にでました。
ずんずんずんずんずんずんずんずん。
ずんずんずんずこずんずんずんずこ。
カバは、ゆっくり、休みながら歩きます。
全長4メートル、20トンもある大きな体です。
体をゆらしながら、頭からは湯気がのぼります。
そのうちに、アルマジロと会いました。
カバは、挨拶もそこそこにアルマジロに飛び乗りました。
体をふるわせ、
『ブルルンルン!』
アルマジロが、地面にめり込みます。
なんか違うなあ。
カバは、大きなあくびをしながら、アルマジロから降りると、また歩き出しました。
〈続く〉
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