悪辣王子の異世界侵略
@higurashi_mei3105
第1話 転生してもしなくても地獄
「お前はこんなこともできないのか」
オレはいきなり顔面を思い切り殴られた。
オレを殴ったのは外でもない、オレの父親にあたる人だ。父親とはいっても””この世界””の父親であってオレの本当の親ではない。
オレはどうやら
前の世界で死んでこの世界に来てからというもの散々な扱いを受けている。
アニメで見るような魅力的なことなど現在まで一つも起こっていない。
事あるごとに自分の父親、二人の兄、母親に虐げられていて現在もその真っ最中である。
オレは神を呪った。転生前も転生後もオレが他者から虐げられるという状況は一切変わらないのだ。
この日もくだらない言いがかりをつけられオレという人間の人格は否定され続けた。
転生してからというものオレの毎日はそんな灰色で塗りつぶされていた。
転生初日
朝起きるとオレは見たこともない部屋にいた。
なんだかみすぼらしい部屋でろくに掃除もされていないようでゴミが散乱していた。
オレは訳も分からないまま。そして夢の中にいるような感覚で部屋から出た。
外へ出ると長い廊下が広がっていた。
『どこだ、、ここは、、、、それにしても大きい家だなあ』
どう見ても一般家庭の家ではなく貴族のお屋敷のような家だった。西洋風の装飾が目立っており世界史の教科書や舞台などで見たような光景が広がっていた。
オレは散策も兼ねてこの廊下を歩いていき、庭のようなところに出ると金髪で長身の男が前から現れた。いわゆるイケメンである。
『この男性の見た目からしてやっぱりここは貴族のお屋敷で間違いないな。
それにしてもイケメンだ、、、、』
オレは彼の顔に見惚れていたのかもしれない。それゆえに彼のとる行動に対して反応できなかった。
彼はオレに思い切り水をぶちまけたのだ。
「ッッッッッッ、、ゲホゲホゲホ」
オレは水を飲んでしまってむせた。
彼が右手にバケツを持っていたことにも気づかないくらいには彼の顔に焦点が向いていた。そんなことよりなんなんだ、こいつは、、、、いきなりオレに水をかけるなんて、、
そんなことを考える隙も与えず彼は言った。
「起きたか、このゴミ虫が」
オレは予想だにしなかった罵倒の言葉に少し驚いてしまった。
「お前などがわがダイン家の名を受け継いでいると思うと毎日吐き気が止まらんわ」
オレと彼は同じ名前を受け継いでいるつまり兄弟ということである。それにおそらくオレよりも年上だと感じた。
オレは憤りを感じたがそのまま彼に敬意を表すそぶりを見せた。
「兄様、朝から不快にしてしまって申し訳ございません」
「っ、、今日はやけに素直ではないか。
ゴミはゴミなりに学習するということか、、、、」
彼は普段のオレとは違って自分に従順であるとわかると不思議そうな顔をして立ち去った。
本来のオレはきっと口答えをしていたんだろうな。
悪辣王子の異世界侵略 @higurashi_mei3105
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。悪辣王子の異世界侵略の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます