①Start of End

夏木

プロット

 ◯参考作品

 ・僕のヒーローアカデミア

 ・ペルソナ5

 ・黒執事

 ・コード・ギアス

 ・兵士とブリキ屋




 ◯世界観


 舞台は人体を機械オートマ化することが一般的になった現代社会。

 欠損した四肢だけでなく、機能低下した臓器まで、血管や神経を接続した機械によって代用することができるし、皮膚は人工皮膚に変えることで若返ることもできる。医療から美容目的での機械化によって人は若さを保つことができるうえ、死が遠のいた。そして機械化による不老不死が可能とまでいわれるようになっていった。


 だが、機械化のための手術で心臓停止し死亡するケース、粗悪なパーツを使用することで感染症にかかって亡くなる事件も起きている。ただ、医療ミスは少なく、術式中の死亡は本人の体力低下のためとされることが多い。事前に手術に耐えうるかの判断を正しく行えれば、回避できるとされている。


 導入できる機械臓器を機械パーツと呼ぶ。


 高価な機械ほど使っていても機械とは気づかれないほど精巧な作りで、限りなく人に近い(手足なら手術による縫い目も無くなるほど。動作機能は完全に問題ない)。


 安価なものの場合、手足なら骨組みが出ていたり肌の色が異なって馴染まない、術痕が残る、臓器ならば体外に固定のための部品が出るまたは、表面から動きが見えるほどドクドクと動いたりと、人間から離れたデザインだったりとみためも悪い(敢えてそれを望む人もいる)。また耐性年数も短いが、庶民でも手を出しやすい価格になっている。


 裕福な人ほど高価な機械を使っており、政治家たちは老けず衰えず、同じ見た目で何年も居座っていたりする。故に総理は歴代最長の四十年間継続しており、実年齢でいえば百を超えているが、六十歳ほどの見た目のままずっと変わっていない。


 対して貧困層においては、お金がないために機械化することも、過去に機械化したものの付け替えもできない。加えて満足な治療も受けられないために寿命は一般的な年齢(現代と同じ八十ぐらい)。


 そんな社会では、貧困の差が町並みに大きく現れている。

 高級マンションが建ち並ぶ街と、線路を挟んでスラムのような街が隣接している箇所もあり、電車に乗ると一望できる。


 機械の製造については、【Deonextデオネクスト社】が独占しており、機械の値段が最も高い。製造過程については非公開にもかかわらず、見た目のよさ、耐久性確保、体への馴染みやすさ全てにおいて劣ることはなく、国内需要が高まっている。


 その他の格安の機械は、製造メーカーが記載されていないものがほとんど。ノーブランドと呼ばれ、Deonext社のものと比べると、半額以下が多い。その実態はDeonext社のクズ品で作られたものが流れているだけ。


 この機械費に加えて、手術費やメンテナンス費が必要。手術自体は専門病院で行われる。メンテナンスは各地域にいる技師によって行われる。


 若者では、美容のため細い手足の需要がかなり高い。ついで肌。


 中年以降になると、疾患による機能低下に伴って目や臓器の需要高い。心臓も多い。


 どの世代においても機械化することがステータスになっていた。



 そんな社会において、主人公が得た特殊能力【デスト】は、人に触れることで機械化部位のみを破壊する。触れるだけで破壊でき、無意識に触れてしまって、最悪の場合相手を殺してしまう。

 主人公はデストを隠し、人に触れられないよう気を付けており、それが周囲の人には気味悪がられ、嫌われて孤独な生活を送ってきたが、Deonext社が裏で何をしているのかを知り、母のため、亡くなった人々のためという名目にてDeonext社を潰すことを決意する。



・Deonext社

 数多の病や事故で亡くなる命を救う、をモットーに設立。

 本来の臓器や手足と比べて、劣らない機械による代替手術は、医療に革新をもたらした。

 一つ一つの機械作成に、莫大なコストがかかってしまう。そのために、元々人の物を使おうということになって低コスト品も販売できるようになった。

 研究のキッカケは古座の執念。研究発表時は見向きもされなかったものの、見返してやるという執念から研究継続。医療貢献可能とわかると周囲から研究支援を受けられ、自らの肉体をサンプルとして提供し続けている。

 研究当初にデストを発見済み。初期のデストを持っていた者は、機械化の研究途中で病により死去。身寄りの無かったその肉体を再利用して研究開発を進めたところ、大成功に至った(それまでは一般人の肉体では安定しない機械しか作れなかった)こともあり、内部の機密情報として「デストを持つ肉体は、貴重な素材」とされている。

 社員の殆どが機械化済み。年々社員増加(退職がないため)。

 



・デスト

 機械のみを破壊する力。

 伊月の母の家系で代々引き継がれているもの。

 Deonext社の研究過程で生まれた力が派生していった。誕生当初は、目視できないほどの機械の不具合部のみを触れて発見する程度であり、Deonext社の発展に貢献していた。

 Deonext社の発展に伴い、デストは継がれるごとに力を強めていき、発見から破壊へと変わっていく。

 力の所持者は、若くして亡くなっている。










 ◯主要キャラクター

 ・藤間とうま伊月いつき

 主人公。男、十七歳の公立高校二年生。

 細身、頭脳派。紫がかった髪。

 学力は高い。運動は並み。普段は冷静。

 人の邪魔にならない生き方をしてきた。

 地頭がよく成績優秀のため、家での勉強は殆どしてない。

 何が起きているのか、自分に火の粉がかからないために知りたいが、当事者にはなりたくない。


 母親は伊月が四歳の頃になくなっており、以降知り合いの家を転々として過ごしてきた。高校生になって、追い出されるようにしてアパートの一室を与えられそこで独り暮らししている。

 伊月のデストは、母からの遺伝。母の持つデストに興味を持ったDeonext社の社長・古座こざ新一しんいちが、母を研究対象として身ごもらせた。その後母は古座の本性を見抜き古座の元から逃げだす。女手一つで伊月を育てていたものの、後に事故で死亡している。古座は伊月の存在を知らない。伊月も古座が関わっていたことは知らない。


 デストについて、母から「機械を壊す力」と教えられていたため、普段は黒の手袋を身につけている。周囲からは潔癖症だと思われている。


 千葉と出会い、母への行いに対する古座への復讐を誓い、母の死の真相を知るべく動く。


 人に触れるのを頑なに拒絶していたが、のちに機械化した人を人ではなく、機械と呼ぶようになる。機械を壊すので、戸惑いもない。


「しくったっ……だけどまだ、策はある」



 ・千葉ちば涼音すずね

 ヒロイン。女、伊月のクラスメイト。十七歳。

 胸まで伸ばした黒髪。清楚系女子。大きな目と愛嬌をもっていて、人付き合いがいい。

 成績優秀な生徒。人前ではいい子を演じているが、本性は当たりが強い。強気な性格。

 父親がDeonext社に勤めていたものの、体調を崩し、機械化手術を受けた後から父がおかしくなったと独自に調べ始めるほど行動力がある。家族思いで、父を心の底から心配している。

 母、弟もおり、自分が昔の父を取り戻さなければならないと思うほど責任感が強い。

 父がおかしくなった理由が、機械化が原因であることがわかり、これ以上の被害者を出さないためにDeonext社を潰そうと試みる。


「拒否権はないの」

「事実を言ったまでよ。悪い?」




 ・古座こざ新一しんいち

 Deonext社の社長。いちから会社を立ち上げた凄腕の経営者でありつつ、研究者でもある。

 死を恐れるが故、不死になれないかと研究し始めたのがきっかけとなり、人の臓器を機械で代用させる術を開発した。

 自らの体も機械化済み。脳以外は機械化しており、見た目年齢は五十程度。実年齢は二百九十五。自らの肉体を持って不死を再現している。

 伊月の母とは、病院で出会った。カルテを盗み見て、力の存在を再確認し研究対象とした。愛情は一切ない。身ごもったのも実験の一種だった。妊娠発覚する前に逃げられているものの、ある程度データをとれていたので追うことはできたがやらなかった。


 機械の素材は、初期は培養した人の細胞から作っていたがコスパが悪く、効率も悪いことから全てを人細胞に頼ることは辞めた。現在では、人骨をベースにすることで良質なものとなった。四肢だけでなく、特殊技術により皮膚や眼球、内臓も骨ベースで製造可能。


 素材入手のために、社員に機械化を推奨させながら粗悪機械を入れて何かしらで死んだときに素材として回収している。また、粗悪品をわざと流通させることで死者を出して素材回収もしている。

 良質機械は裕福層に供給することで、利益を得ている。


「人は死なない。Deonext社がある限り」

「我が社が間違っているとでも? 違う。間違っているのはお前だけだ」

「ああ、失敗だったよ。君のような存在を作り出したことは。でも後悔はしていない。だってやり直せばいいのだから。君の細胞を元に」



 ・藤間とうま弥生やよい

 伊月の母。伊月が四歳の時に亡くなっている。

 古座の部下による殺害(事故に偽装)。その後遺体が古座の元に一度わたっており、細胞や骨を盗られたのちに伊月の元に帰ってきたが伊月はそのことを知らない。

 デストの力を持っており、体を機械に変えることに猛反対していた。「人が人であるために、神の領域に踏み込んではいけない」と何度も伊月に伝えている。

 もともと体が弱かったことで、病院に通っていた。そこで古座にデストを知られてしまい、治療と称された研究を受けた。あまり頭がよくなかったことと、医者の言うことならと信用してされるがままだったが、妊娠に気付いたときに何をされていたのか理解し逃亡した。





 ・木島きじま昌太しょうた

 貧困街で生活する青年、二十二歳。家族旅行時の車両事故で右の膝から下を失っており、Deonext社製ではなく、海外産の義足を使用している(現代と同じ義足で、足に自らはめるタイプのもの)。義足でも運動神経はいい。

 両親は事故で亡くしている。同じ街で暮らす子供たちの面倒を積極的に見ていることもあって、面倒見がよいものの、生活を変えるための度胸はない。過去に子供たちの親が回収される場面を見ておきながら、見捨ててしまったことがあり、後悔から面倒を見ている。

 伊月が回収者を襲撃した場面に遭遇し、行動力のある姿に尊敬して協力するようになる。そうすることで自分が救われると思っていた。

 主に情報収集担当。街中に顔見知りがおり、それぞれに会ってさりげなく情報を集めている。

 また週に三日、貧困街を出て清掃員の仕事をしており、同僚からも評判がよくたくさんの情報を貰っては伊月に流している。


「俺、ついてく! 何でもするよ!」

「みんな、同じだ。大切な人を失って、ポカンと空いた心を埋めようとしてここにいる。機械じゃ心は埋まらないよ」




 ・千葉ちば徳馬とくま

 涼音の父。Deonext社において古座の補佐役を担っている。家族には役職は秘匿。

 もともと心臓が弱かったが、補佐になってから悪化していった。古座のサポートがあって、心臓の機械化手術を受けた。

 仕事よりも家族を優先するよき父であったが、術後、仕事優先になりほとんど家に帰ることがなくなった。

 一か月に一度帰宅したときには、機械化が進んでおり、心臓以外にも目と耳も機械化済み。それにより、視力がよくなったことに加えて、映像を鮮明に記録することもできるようになった。また、聴力が上がり、わずかな物音でも聞き逃さない。

 感情の起伏がなく、冷淡な言葉遣いになってしまった。


「勝手にしろ」

「仕事中だ。出ていけ」




 ◯物語構成

 全三章想定。

 第一章:世界説明、涼音との出会い、復讐を決意する

 第ニ章:復讐実行、デストの行使。涼音が行方不明になる

 第三章:古座との対立。デストの進化で古座撃破。その後の話。



 ・プロローグ~第一章

 総理による全身機械化についてのメリットと説明を議会で行われているのをテレビ中継している。それを伊月は通学中の電車で見かけて嫌悪感を示す。また、普段から手袋を着用しているので周囲の人がチラ見する。


 また、体育中生徒同士で足を機械化したことで走るのが早くなったという話がでる。うらやましがる生徒の前を、涼音が好記録をたたき出して注目の的に。

 機械化しているのかと聞かれた涼音がバッサリと否定し、「私は私のままであるのに機械は必要ない」と発言。男子の間でかっこいいと話題になり、女子の間ではねたまれる。


 女子に呼び出された涼音が、怒鳴られている様子を目撃した伊月。そこで涼音が伊月と同じ機械化に対する嫌悪を持っていることを知る。カッターを取り出し、機械が必要な体にしてやると脅された涼音を伊月が救出したとき、素手で涼音に触れてしまったことで破壊しないか恐れた伊月に、知らないはずの涼音が伊月のデストについて触れ、Deonext社を潰さないかと提案される。

 経緯を聞き、共感した伊月だったが、平穏に生きたい伊月は断る。


 母の墓参りのため、貧困層街を通ったとき、身なりのいいDeonext社の男が部下に指示を出しながら、瀕死の人間を回収していく様子を見かける。人を素材と発言しているのを聞き、機械の素材が人間であることを知ってデストを使用。男を止めようと触れたとき、心臓を機械化していた体が壊れ、男が死ぬ。初の殺しに気が動転したところを、部下達が「化け物」と呼ばれ、我に返る。


目撃した部下へ向けて、人を素材としかみない「化け物」であると伝え、触れて死んでいく。

瀕死の人は機械化おらず触れても死ななかったが、伊月に「みんなを助けて」と言い残して死ぬ。その場面を目撃した木島をも破壊しようとしたが、機械化はしてないので死なず。木島は伊月にほれ込み、手助けすることを申し出る。


 残った遺体を古座が回収しており、機械のみ破壊されていることからデストの力が残っていることを知られてしまう。また、監視カメラで伊月の存在を知る。


 一方で伊月は人を人と思わない行動、知らずに他人を身にまとう人間。母も同様に回収されていたことから母の体をも素材として利用されていたことに怒り、Deonext社への復讐を決意し、涼音と協力することになる。



 ・ニ章

 木島から、回収者の情報とその後人の行方を聞く。回収された人は病院に運ばれ、遺体となって帰ると聞き、疑惑が確証に変わっていく。


 人骨入手して加工している証拠を集めるため、遺体となって帰ってきた人(木島が世話する子供の親)の遺体を確認したら、骨が抜かれていたことでDeonext社の悪事が確定する。


 さらにDeonext社勤務の涼音の父から情報を得ようとする。彼氏面して接近する(涼音の自宅へ行き、母、弟には彼氏として紹介。涼音の部屋で話し合い。母や弟が入ってきたときだけカップルらしく触れあったりする。父が帰ってきたときも同様。コミュニケーションを試みる)が失敗するも、何とか涼音が社員証を盗み取る。

 それを用いて伊月単独でDeonext社へ侵入しようとするが、社員証にGPSと盗聴器が入っており、盗難悪用と判断され、機械化された人に囲まれる。意思もなく、人間らしからぬ行動と力。もはや伊月を捉えようとするだけの、人の皮をかぶった機械になっていた。死にかけた伊月だったが、デストで撃破し、逃げ切る。これが二度目のデスト使用。


 潜入は失敗に至ったが、機械化が人の心を蝕むことを知る。貧困層を協力者とし、彼らから情報を貰いながら回収者を全員デストで破壊(死)していく。

 今まで搾取され続けた貧困層からはヒーロー扱いされる。古座は仕向けた回収者の遺体、監視カメラ映像から伊月が弥生の子であることを確証する。


 学校に行かず、貧困層街でかくまわれて復讐を再計画。古座のスケジュールを入手し、破壊計画を立てるが、重要な役割を持っていた涼音がさらわれる。



 ・三章

 涼音をさらった人物を突き止め、単独で襲撃し、命乞いされる。家族が待っているという言葉で躊躇したとき、伊月も捕まり、古座の元へ連れていかれる。

 デスト対策として触れずに言葉だけで、蹂躙させようとした古座だが、デストが進化し、触れる以外にも右目で見るだけで破壊できるようになる。全身機械化している古座は死に、会社情報を抜き取ると涼音に全てを託して自らは自首する。

 事情聴取される中で、古座が伊月のことを息子と認識していたことを知る。また、監視カメラ映像も全て古座が削除しており再現できず、伊月が人殺しであるという証拠がないということから伊月は釈放され、涼音に迎えられ、再び学生生活に戻る。それを伊月の父が冷たい目で見送る。

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