怪盗レイナ

あさねこ

ロマンのない世界

 ひいひいひいひいひい……ひい×10くらいのおじいさんは、盗賊だったらしい。と言っても、怪盗ルパンとか石川五右衛門とか怪人二十面相とか、そんな大怪盗には足元にも及ばない、田舎の集落でスリをして生活していたような人。

 でも、私は盗賊の一族なんだ。パパもママもおじいちゃんおばあちゃんも、親戚を探してみても犯罪が見つからないような、今はそんな平和な家族だけど。むしろ、おじいちゃんは警察庁の偉い人らしいし、パパは刑事だし。


 本当につまらない。


 テレビの向こうの怪盗たちはクールで格好良くて、ロマンに満ち溢れていた。だから、私はそれに憧れた。

 でも、パパもおじいちゃんも、現実の警察の話はつまらなかった。現実にアニメの怪盗たちは存在しなかったし、当然それを追い続ける警察とのロマンも発生しない。私はそんな世界に飽き飽きしていた。

 だから、私がそんな世界を変えてやろうと思ったんだ。私が、このつまらない世界に大怪盗というクールで格好良いロマンを与えようと思ったんだ。

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