第3話 猫の恩返し

トントンッ!


だれか来たようだ。

おれが出よう。


「はい、どなたですか?」


ドアを開けた。

そこには、可愛い女の子が立っていた。

そして、急に抱きついてきた。


え?

だれ……かな?


可愛いから受け入れているおれ。

だって、お胸が当たって気持ちがいいんだもん。

ぽよん~ぽよん。


「あ、あなたはだれですか? 離れてください」


ソフィアはおれから可愛い女の子を離そうと必死だ。


「なんではなすの? 嫌だ、離れたくない」


その女の子は駄々をこねている。


「ソウマに会いにきた」

「なんでおれの名前を?」

「ソウマは助けてくれた恩人だ」

「え~と……」


さっぱり、覚えがなかった。

少し離れて女の子をみた。


異世界にきて知り合ったのはソフィアさんだけだし……。


ん?


猫を助けたな……。

おれは女の子をじっくりとみた。

すると……。

女の子の頭には耳がついていた。

そしてお尻にはしっぽ。


猫だ!


「もしかして、昨日の猫ちゃん?」

「ソウマ!」


また抱きつかれた。

胸があたってるから無理には離さないよ~


そうだ、昨日の猫ちゃんだ。


「元気になったんだね」

「うん、ソウマのおかげ」


「ソフィアさん、昨日の猫ちゃんですよ」

「元気になられてよかったですね」


ソフィアも喜んでいた。


「突然いなくなったので心配していたんですよ」

「すまない。一度家にかえってお礼の実をもってきた」

「お礼の実?」

「これだ」


おれが受け取った。

赤い実だった。

どこかで見たことがあるような……。

ん……ん。


「この実は猫の島にしかない貴重な実なんだぞ」

「そうか。もらっていいのか?」

「ああ、恩人だからな」


おれはクンクン匂いをかいだ。

ちょっとかじってみた。


ん?


ああああああ!!


思いだした!


コーヒーの実だ!


「わぁ! びっくりした」

「どうしたんですか? とつぜん大声だして」

「こ、これコーヒーの実なんです」

「え? コーヒーってソウマさんが開きたいというお店に関係があるのですか?」

「そうなんです、これだけではだめだけど……」

「よかったですね」

「ああ」


「猫ちゃん、ありがとう」

「ノアです」

「え?」

「わたしの名前はノアです」

「ああ、ノアちゃんありがとう」

「うれしいにゃん」


ノアはおれに抱きついてにゃんにゃんいっている。

まるで猫のようにおれの顔をぺろぺろとなめている。


「おい、ノアやめろよ~」


といいながら無理にはどかさない。

だってうれしいんだもん。


ソフィアさんは必至にノアを引き離そうとしている。

ふたりとも可愛いぜ~


――――


コーヒーの実も手にはいったから、焙煎できそうな機械をさがさないとな。


その前にこの状況は?

ノアはおれの右の腕にぴったりくっついている。

ソフィアさんもおれの左の腕にぴったりくっついている。

いや~正直ふたりのお胸がおれのうでにあたっているのはうれしいんだが……。

これではなにもできない。


「ふたりともいったん離れようか」

「あ、ごめんなさい」


ソフィアさんはすぐに離れた。

ノアは離れる気ゼロだ。


「ノア! ちょっと離れようか」

「え~さみしいよ~」

「あとでな」

「は~い」


やっとノアも離れた。


「ソフィアさん! カフェを開くのに必要な道具を買いにいきたいんだ」

「はい、それでしたら隣街に行けばみつかるかと……」

「そうか、昨日いった隣街とは違うのか?」

「はい、逆隣街です。隣街は大きな街ですから、そこになければどこにもないと思ってもいいと思います」

「わかった、いまから隣街にいく」

「はい、お供します」

「ノアも行く」

「ああ、じゃあみんなで行こう」


おれたちは大きな街、隣街にいくことにした。


「ソウマさん、隣街までなにがあるかわかりませんのでこれを……」


おれはソフィアさんから短剣をもらった。

魔物が出てくる可能性もあるってことだな。

短剣を腰につけた。


いざ!

おれたちは昨日とは逆の大きな街に向かった。

道沿いに歩いた。

途中、道がなくなり草が生えている丘を歩いた。

すると、突然草むらからスライムがとびかかってきた。

おれは、戦い方をしらない。

よけるしかなかった。


すると、ノアがおれの前に立ちはだかりスライムに爪でひっかき倒した。


「あ~驚いた」

「ソウマ、大丈夫か?」

「ああ、ありがとうノア」


ノアは褒められて嬉しそうだ。

しばらく歩くと2匹のスライムがあらわれた。


ソフィアも短剣を手に持ち、戦う気だ。

おれもスライムごとき簡単に倒せないとな。

だってレベルが低いのがスライムだろ。

ゴブリンも低いだろうけど、人間ぽくて切るのは抵抗があるからスライムで慣らしておきたい。

よし、おれも戦おう。


「おれも戦う」

「はい、そちらのスライムをソウマさんお願いします」

「わかった」


おれは短剣を手に持ち、スライムに切りかかった。

スライムは簡単にきれた。

初めて魔物を倒した。


ふぅ……。


「ソフィアさん、大丈夫か?」

「はい、このとおり」


ソフィアもスライムを倒していた。


ピッ!

『戦闘レベル1』


おれの頭に文字が浮かんだ。

こんな感じにレベルがわかるんだ~

それにしてもレベル低すぎだろ。

すこしずつレベルをあげて行こう。


ソフィアはレベルいくつだろう。

ソフィアをみた。

するとソフィアの頭の上に『レベル3』と浮かび上がっていた。

これはみんな見えることなのか?

おれはソフィアにきいてみた。


「ソフィアさん、戦闘レベルいくつですか?」

「はい、わたしはいまの戦いでレベル3になりました」

「おれのはみえる?」

「え? みえません」


ああ、自分のはわかるのか。

他の人のはみえないってことはこの能力はおれだけか。


ちなみにノアの戦闘レベルは?

ノアをみると頭の上に浮かび上がった。

『レベル13』

へぇ~結構高いな。


「ふたりともやったな」


ノアはふたりの戦いを褒めてくれた。

いや~楽勝だったな~はははっ

おれは余裕ぶってみた。

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