第41話 過去篇・サイコロの旅 後編
朝、目が覚めると
あれ?
もう朝?!
隣を見ると、小さな寝息を立てながらミシェルさんが幸せそうに熟睡していますけど、、、
おっと!
あぶないあぶない(汗)
ミシェルさんが私の隣で寝ているのは、もはや日常の出来事になってしまっていてスルーしそうになりましたけど
昨日、私とミシェルさんは夫婦になりそのまま宿の部屋に行って、新婚初夜を満喫したんでした(笑)
夫婦になったからといって、ミシェルさんとの関係は今までと変わりませんが
誰かに私とミシェルさんの関係を訪ねられた時、『夫婦です。』と答えられる事にミシェルさんは思いのほか喜んでいましたね♪
「ん、、う~ん」
どうやら隣で寝ていたミシェルさんが起きたようです。
「ミシェルさんおはようございます」
「はい、ユウさんおはようございます」
『グゥ~』
ふふっ、ミシェルさんのお腹の音はいつ聞いても可愛いですねぇ
「まだ少し早いですけど宿の食堂で朝食にしましょうか?」
「えっと、こういう時は夫の手料理で妻をもてなすのが普通なのでは?」
「申し訳ありません、夫になったのは始めてで分からない事だらけです。それにここは宿ですから、部屋で火を使って料理をするのは駄目ですね」
「それなら厨房を借りましょう!今日はどうしてもユウさんの手料理で1日を始めたい気分です!」
「そういう事でしたら喜ん」「急ぎます!」
「ぐぇっ?!ちょっ、ミシェルさ~ん」
はい!
私は今、ミシェルさんに首根っ子を掴まれて宿の中をズルズル引きずられて厨房に向かっております。
皆様心配は無用です。
ミシェルさんは可愛いので他のお客様の迷惑にならないように、音を立てずに私を引きずる事など朝めし前なのですから♪
「女将様おはようございます!厨房を貸して頂きたいのですが」
「ん?あんたらは昨日の若夫婦か、悪いけど朝食の仕込みで忙しいんだよ」
「ちなみに朝食のメニューは何ですか?」
「豆のスープ、マッシュポテト、薄パンだよ。邪魔だからあっちに行っててくれないかねぇ」
「ユウさん出番です。」
「あっ、はい、お任せ下さい」
現在宿の厨房ではスープを煮込み中、フライパンで焼いている薄パンはいわゆるトルティーヤ
マッシュポテトの芋は茹でてあるので、後は皮を剥いてから潰して味付けをすれば良いので
全く問題無ありません
私の料理スキルを持ってすれば、この程度の料理3秒で完成させてみせます!
トントントン、ジューーー
はい、完成です♪
「女将さん、朝食は完成したので厨房をお借りしてもよろしいですか?勿論利用料は払いますので」
「えっ?、、、あっ、あぁ、そりゃ構わないけど、こんな一瞬で朝食が完成しちまうなんて」
ふふふっ
私の料理スキルは時間のかかる煮込み料理であっても一瞬で完成させてしまいますからね、女将さんが驚くのも無理はありません。
さてと
朝食のメニューですけどパンケーキにしましょうか、バターとハチミツは持っているのでパンケーキに乗せればミシェルさんにも喜んで貰えるはずですし
ここウィートは小麦の産地だけあって安く手に入るのでしょう、厨房には小麦粉の袋が大量に積まれていますからね
小麦粉を使った料理が増えれば女将さんにも喜んで頂けるでしょう。
トントントントン、ジューーー
はい、完成です♪
「ではミシェルさん、冷めないうちに食べましょう。」
「はい!いただきまーす♪」
「女将さんも良ければ一緒に食べませんか?」
「そう言ってくれるなら遠慮はしないけど、えらく分厚いのに柔らかそうな、、、パン?」
「パンケーキと言います。パンと言ってますけどほぼお菓子ですね」
「あんたら2人は良い服を着てるなと思ってたけど、菓子を食べられるような身分だったか」
「こう見えてオークくらいは倒せますので」
「へぇ~、何処かのギルドか貴族に仕える文官と予想してたけど冒険者だったとは、見た目じゃ分かんないもんだねぇ」
良い仕事に就いてると思われると、お金目当てのお馬鹿さんに絡まれるので困るんですけど、、、
むむっ?!
女将さんが飲んでる豆のスープ、あの緑色の豆ってもしかして
「女将さん、その豆は枝豆という名前なのでは?」
「豆は豆であって名前なんて無いだろ。」
あぁ~
この世界って細かく分類されずひと纏めにされてる作物が意外と多いんですよね、下手をするとナッツ類も『豆』に分類されてるかもしれません
そして忘れてましたけど、枝豆は収穫せずにいると大豆になるんでした。
女将さんに枝豆を取り扱う商人を教えて貰えば次の目的地も決定ですが
今は美味しそうにパンケーキを食べるミシェルさんの顔を堪能しましょう♪
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