第25話 過去編・終わりと始まり。後編
皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは、米炊き名人の水野優一です。
前回ミシェルさんが買って来た米ですが、脱穀すらされて無い状態でしたから美味しく食べる為に、私が脱穀から精米までをして土鍋で炊いております。
無駄にレベルMAXな勇者の料理スキルで銀シャリもお手のものですよ♪
そしてここは私とミシェルさんが定期的に通っている、城下町にあるお食事処の厨房です。
「店長さん、急なお願いにも関わらず厨房を貸して頂きありがとうございます。」
「気にすんな、ユウイチに教えて貰ったマヨネーズが人気で儲けてるからな、笑いが止まらんぜ、がははははは♪」
この国はパンが主食ですから自然とパンに合う料理が多いのですが、パンに塩コショウで味付けされた鳥肉と野菜を挟んだサンドイッチは美味しいのですけれど
コレじゃない感が半端無かったです(悲)
日本人ならチキンサンドにはマヨネーズが必須じゃないですか!
なので料理スキルでちゃちゃっとマヨネーズを作ってサンドイッチに挟んで食べてたら、店長さんに見付かって問い詰められたので
作り方を教えてあげたらあっという間にマヨネーズが大人気となってお店も大繁盛しております。
そのお陰で『焼肉定食』が食べたい!という私の急なお願いにも関わらず厨房も借りられるのですから、世の中に無駄な物は無いという事なのでしょうね♪
おっと
炊いていた米が良い感じです。
「店長さん、そちらはどうですか?」
「おうっ、ちょうど焼き上がったぜ!これが『焼肉定食』になるのか?」
「そうですね、メインの焼肉にスープと米が揃うと『焼肉定食』の完成です。」
「ミズノ様!熱々の内に早く食べましょう!さあさあ!」
ふふっ
いつもはあまり感情を表に出さないミシェルさんですが、食事の時に見せてくるキラキラした表情は控え目に言って
最高です♪
「なぁユウイチ、俺も『焼肉定食』食わせてくれ!」
「構いませんよ、では熱々の内に食べましょう。いただきます。」
「「いただきます!」」
あーんっと、、、旨いっ!
久しぶりに食べる米はなんと美味しいのでしょうか♪
厚切りの肉から滴る肉汁が染みた米も最高です!
「ミシェルさんに店長さんも米の味はいかがですか?」
「旨いぞユウイチ!肉にもスープにも合いやがるとは驚いた。しかしこんなに旨い物を家畜の餌にした大馬鹿野郎をぶん殴ってやりたいぜ!」
「うんうん!」
2人の反応を見る限り、米は問題無くこの国の人達に受けいれて貰えそうですね
「ふぅー、ごちそうさまでした。満腹です♪」
「ミズノ様!夕食も是非『定食』を所望します!」
「ミシェルさんに米を気に入って貰えたのは嬉しいですけど、『定食』を作るなら塩コショウ以外の調味料が欲しいですね」
「えっ?!塩コショウだけでは駄目なのですか?」
あらら
ミシェルさんが分かりやすく落ち込んでしまいました(笑)
塩コショウも美味しいですけど肉の味付けに『焼肉のタレ』が欲しいです。もしくは醤油と砂糖で甘辛くした『すき焼き風』も良いですね♪
今の私の料理スキルなら作り方を知ってる物なら、1度も作った事が無くても問題無く作れるはずです!
日本に居た頃に味噌と醤油を大豆から作るという企画のテレビ番組を見た事がありますからね
「ミシェルさん心配いりません。大豆があれば新しい調味料も作れますから」
「ダイズですね分かりました。さっそく城に帰って食材貯蔵庫を探しましょう!店長さん我々はこれで失礼します。さあミズノ様、急ぎましょう!」
「えっ、ちょっ、ミシェルさん?、、、店長さんではまた」
「おっ、おう、気を付けてな」
私は今、ミシェルさんに首根っこを掴まれてずるずる引きずられながら王城を目指しています。
大丈夫です。ミシェルさんは可愛いですから私を引きずって歩くなど朝飯、、、いえ、夕飯前でしょう。
「あっ」
「どうしましたミシェルさ、、、あっ」
思わず間抜けな声を出してしまった私達を誰が責められるでしょう?
だって王城に帰って来たら色んな国の兵士さん達が入り乱れていて、城のてっぺんには降伏を意味する白旗が掲げられているのですから
ついでに王族を守るはずの近衛兵が武装解除をしていて、他国の兵達と一緒に勝鬨をあげています。
お昼御飯を食べていた短時間にいったい何が、、、
これは考えるまでも無くクーデターが起きたのでしょうね、この国の王様は色々とやらかしていて国民や周辺国から恨まれてましたから。
そして何故今なのかと言うと、私とミシェルさんが城から出て来るのを待っていたと思われます。
私は一応国を滅ぼす事が出来る勇者ですし、その勇者を監視出来るミシェルさんの実力も知る人ぞ知るところですから
「ミズノ様、どうしましょう」
「コックローチ帝国は滅亡したようですし、晴れてお役御免という事で好きにして良いのでは?」
「おそらく食材貯蔵庫も含め城の中の物は全て接収されるしょうから、ダイズを探しに行けません(悲)」
あぁ~
ミシェルさんの心配はそこでしたか(笑)
「でしたらこれから私と一緒に大豆農家さんを探しに行きませんか?調味料を作るなら、それなりの量が必要ですので」
「喜んで♪ミズノ様、急ぎましょう!」
「えっと、その前にミズノ様は止めて下さい。これからは平民として静かに暮らしたいですから」
「ではユウさんとお呼びします。」
「ではミシェルさん、改めてよろしくお願いします。」
「はい、こちらこそ美味しい料理をよろしくお願いします!代わりに私は生涯ユウさんのお世話をしますので!」
「えーっと、料理は勿論作りますけど、私のお世話とは?」
「私はメイドとして誰かのお世話をする事しか出来ません。それともユウさんは私にお世話されるのが嫌なのですか?」
ぞわっ
寒いです。
背中がとっても寒いです(汗)
「是非ミシェルさんにお世話されたいです!」
「喜んで♪でもたまには私の、おっ、おおおおおお世、お世話をしてくれて良いんですからね!」
あっ、デレた
ミシェルさんがデレましたよ!
ミシェルさんの可愛い笑顔を見る為に
いざ、食材探しの旅へ
れっつごー♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。