第18話 異世界式キッチンカー
皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは、キッチンカー職人のユウです。
さっそく前回予告した通り、山本夏美さんの為にメロンパンの移動販売が出来る『異世界式キッチンカー』を作って参ります。
れっつ、クラフト♪
トンテンカン、トンテンカン!
はいっ!
異世界式キッチンカー完成です♪
え?
早過ぎる?
そう言われましても私は器用レベルがMAXなものですから、これ以上遅く作るとか無理なんですよね
器用レベルってそういう物なので。
ではキッチンカーの説明をしていきましょう。
オーブン、冷蔵庫、発酵器の各種魔道具を木製の荷車に積み込み、マスコットキャラとして10センチほどの『ミニミニ門番熊さん』を1体取り付けてみました♪
とてもラブリーな門番熊さんですが、不埒者が来たら自動で麻痺魔法を放つ仕様ですから、山本さんの身の安全も守れるでしょう。
まぁメロンパン販売には孤児院の子供達にも手伝いを頼む予定なので、ちょっかいを出す馬鹿は居ないでしょうね
子供が働いている屋台は良くも悪くも目立ちますから、ちょっかいを出しても目撃者多数で直ぐに捕まります。
さてと
山本さんが出来る仕事は作りましたけど本人の意思を確認しなくてはなりません。本人の意思を無視した強制労働はこちらの世界でも犯罪ですからね。
「山本さん、起きて下さい。」
「、、、ん、、ん~、、はっ!、あれっ?私いつの間にか寝てた?」
「ええ、相当疲れていたのでしょう30分ほどですがぐっすりと。その間に山本さんに紹介できる仕事が見つかりましたよ」
「本当ですか?!」
「確認ですが山本さんは働けるならどんな仕事でも良いのでしょうか?何か希望があるなら聞きますけど」
「えっと、料理を作る仕事は経験があるので、飲食店ならお役に立てるかなって」
「飲食店となると私が紹介できるのは王城の食堂しか無いんですが、構いませんか?」
「へ?、、、王城の食堂?それって貴族に食事を作るって事ですよね?無理無理無理 無理無理ぃー!!料理が不味いとかイチャもん付けて不敬罪で処刑されるに決まってますぅー(泣)」
「山本さんが貴族にどんなイメージを持ってるのか知りませんけれど、実際にそんな理不尽な事をすれば国民や領主からクーデターを起こされて公開処刑されますからね。」
「それでも王城は無理です。私のメンタルが崩壊します(泣)」
うーむ
山本さんは貴族に偏ったイメージを持ち過ぎです。
貴族というのは面倒な存在ではあるので関わらないのが1番です。でも既に色々と察しているようなので詳しく説明をしなくても良いのは楽です(笑)
「仕方ありませんね、では明日からメロンパンの移動販売をして頂きます。」
「メロンパン?!中世ヨーロッパみたいなこの世界にあるんですか?私は冒険者や行商人にならなくても良いんですか?」
「あると言いますか、材料は用意しますから山本さんに作って頂きます。それに現在この街でメロンパンを売ってる人は居ませんから誰とも競合しないので、かなり儲かると思います。冒険者や行商人は魔物や賊に襲われる危険があるのでお勧めはしませんよ」
「是非メロンパンを売らせて下さい(汗)メロンパンなら生地から作れます!」
「では明日から頑張って貰うとして今夜の宿代が必要ですね、山本さんが住んでいた国のお金を持っていれば出して下さい。」
「えっと、財布に幾らか残ってたと思いますけど、、、これで全部です。」
ふむふむ
山本さんの所持金は7200円、今夜の宿代と2日分の食費としては充分ですね。
「では、このお金を銀貨7枚と銅貨2枚で私が買い取りますがいかがですか?銀貨4枚あれば安全な宿に泊まれますけど」
「それでお願いします。ちなみになんですけど、ユウさんはもしかして日本の方でしょうか?」
「いえ、私は王国民ですよ」
嘘は言ってません
私はきちんと国に申請して国民と認められ税金も納めている、立派な王国民なのですから♪
「そうですか、、、話は変わりますけどお店にシーサーのストラップがありましたよね?ビリケンさんは作らないんですか?」
「ビリケンさんは『ボフィルル』という魔物に似てるので子供達が恐がりそうなんですよね、、、あっ?!」
「ごめんなさい」
ビリケンさんは大阪の通天閣に祀られている神様の名前ですから、これは山本さんに見事に一本取られましたね(笑)
どうやら山本さんは『馬鹿』では無いようです。これなら私が手助けする必要も無かったかもしれません。
「山本さん、色々と聞きたいでしょうけど先ずは生活の安定を優先しましょう。そしてお互いの身の安全の為にも故郷の事は他言無用です。」
「はい!これからよろしくお願いします。」
ふぅ~
疲れました
とりあえず山本さんの事はこれで解決です。
次回は久しぶりに、皆様から送られて来た質問にまったりと答えていきますので、お楽しみに!
ここまでお読み頂きありがとうございました、次回まで皆様お元気で。
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