声豚小説家は彼女の声を求めてる(仮)
水咲雪子
第1話 小説家は声を求める
面白い作品とは何だろう。
作り込まれた世界観?魅力あるキャラクター?どちらも重要な要素だろう。だが、僕の考えは少し違う。
面白い作品に必要なもの……それは―――
『声が聞こえること』
―――である。
ハマリ役という言葉に聞き覚えはあるだろうか。
声優の声の魅力とキャラクターの魅力がピッタリと重なった時にのみ発生する、作品全体のクオリティが格段に上がる現象だ。
本来ライトノベルというものはキャラクターを先に作る。作品の世界観があり、そこに住まうキャラクターが居て、そんなキャラクターに合わせて声優が決まる。
つまり、従来の作品では『声優がキャラに合わせる』ことが前提になっているということだ。
多少の技術があればいくらでも修正が効くキャラクターではなく、声優の方が合わせに行く。そんな状態で本当に面白い作品が作れるだろうか?もし出来たとして、それはまぐれ当たりではないのか?
もう分かっただろう。僕が面白い作品を作るために必要としている工程。それは、先に声を決めてしまうことだ。
優れた演技力を持つ声優が居て、彼らの声の魅力にキャラクターを合わせに行く。
僕の手で意図的にハマリ役を作り出す。
もし仮に、それが実行可能ならば、それはまぐれ当たりなどではない。正真正銘『面白い作品』になるのではなかろうか。
そんな理想論を掲げるようになって凡そ一か月。
僕の目の前に、一人の天使が現れた。
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