家 政 夫

ハル

第1話 私の家族~環境~

「沙夜華(さやか)。じゃあ、私達は行きますね」

「はい。お母様」




私は夏須日 沙夜華(かすが さやか)。4歳。

私は良い所育ちの、お嬢様。



「それじゃあ、婆や。沙夜華と由宇哉(ゆうや)を宜しくお願いしますね」


「はい。かしこまりました。あやめ様」



私の両親は屋敷を後にニューヨークへと発たれた。





ある日の事──────




「お嬢様ーー。お嬢様ーー。沙夜華お嬢様ーーー」

「婆やーーー。婆やーーー」


「まあーーっ!お嬢様ーーっ!危ないですよーー。降りられて下さーーい!」


「あらーー?屋根からの眺めは凄く良いですよーー」


「お嬢様は女の子です!屋根に登るなんていけません!」


「あらーー?そういう決まりは誰が決めたのーー?国ーー?」


「そういう事ではなくて危ないからですよ。今、他の者を呼んで参りますからーーじっとされてて下さーーい。良いですね!?」




そう言うと屋敷の中に入って行く婆や。


沙夜華。10歳。


屋根が大好きで物心ついた時は、もう屋根に登っていた。


お嬢様とは思えない自由奔放で両親の前では大人しくして良い子してる私なんだけど……。




「婆やーー、婆やーー、婆やーー?何処にいるのーー?」



屋敷内を探す沙夜華、12歳。


そして弟・由宇哉、10歳。




「姉ちゃん、お帰り!」

「あれ?由宇哉、帰ってたの?あっ!ねえ、婆や知らない?」


「俺も帰って来た時は姿なくて買い物にでも行ったのかな?って…」


「…そう…」




そして、その日の夜。


病院から連絡が入り、婆やが病院で亡くなった事を聞いた。





「…婆や…」




一週間を過ぎた頃、両親が帰国。


仕事が忙しいとはいえ両親の行動に腹が立った。


長年御世話になっておきながら、すぐに帰って来ないなんて……




「遅いよっ!!もう少し早く帰って来れなかったのっ!?」

「ごめんなさい…」

「すまない…色々と忙しくて…」

「…いっつも、そうだよね!?」


「………………」




そして次の日、両親は、また発った。





「あっ!こらっ!亜季彦(あきひこ)待ちなさい!」

「わーーい!わーーい!」

「万央(まお)!」




沙夜華・14歳。長女。

由宇哉・12歳。長男。

亜季彦・3歳。次男。

万央・3歳。次女。

曖(あい)・0歳。三女。



二男三女。騒がしい毎日。


私は中学に通いながらも子供達の御世話などに頭を抱えている。




ある日の事────




「お母様っ!?」と私。


「お母様……」と、亜季彦と万央。



「あらー?みんな大きくなったわね?」


「急にどうしたの!?」と、私。


「"お帰りなさい"の一言位あっても良いでしょう?由宇哉は?」


「自分の部屋」


「そう?じゃあ後で、お顔を見に行こうかしら?」




次の日────



「お母様いつまで日本(こっち)にいらっしゃるんですか?」

「特に決めていないわよ。どうして?」

「別に尋ねただけです」

「そう?」




お母様がいる事はありがたい気持ちもあるけど


自由がなくなるから正直いない方が良いのが私の本音だ。





ある日、学校から帰って来た時の事だ。



「お母様!?お母様!?」



倒れている、お母様を見付け担当医に連絡をした。



「軽い貧血ですね」

「…良かった…」





いない方が良いという本音の中


いざ、こういう事があると


心配と不安はある




「2、3日、安静にしてれば 良くなります」


「ありがとうございます。……あっ!ヤバっ!弟達の迎えに行かなきゃ!」




弟達を迎えに行き、その日の帰り─────




♫♪♫♪♫~……



何処からかピアノの音が聴こえてきた。



「ピアノ……?」



辺りを見渡すも何処からかは検討が付かない。




いつも通い慣れた道


だけどこういう変化があると


違う道に感じる


心地好いピアノの音色に


私の心は和むし癒された瞬間だった



一体誰が弾いているのだろう…?


そんな事を考えながら


その場を後に


後ろ髪引かれながらも


ゆっくりと去り始める


私は印象的だったのもあり


心に響いた瞬間だった






















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