第81話 訪問者
「姉ちゃん、ホークとザックが来てる」
「え?それは…珍しいお客さんね」
2人が来るなら大抵レオールが目的で私目的ではない
私目的で来るのはダリ達だから
一体何なのだろうかと首を傾げながら外に出た
「よう」
「おはよう。そう言えば里帰りしてたんだっけ?」
「ああ。昨日の晩に帰ってきた」
ホークはそう言って何かを続けようとして口を閉じた
「どうかした?」
「どうかしたって言うかだな…」
ホークにしては珍しい戸惑いを浮かべた表情ね
本当に何かあったのかしら?
「あーえっとな、ミリアに会いたいってやつがいるんだ」
「私に?」
全く心当たりがない
っていうかこの世界にはそもそも知り合いがいないはず
「名前はラナオって言って冒険者なんだけど…」
「ラナオ?聞いたことないけど」
「ラナオもそう言ってた。というよりはラナオはミリアの事を知ってるわけじゃなくて俺が話したBBQって言葉が気になったみたいでさ」
ザックの言葉に心臓がドクンと脈打った
それが分かるのはこの世界の人間じゃないってことなんじゃないだろうか…?
「一応グズリスで受け入れられてたやつだから人柄の保証は出来ると思う。でもミリアが嫌なら無理は言わないって」
「…そう」
グズリスで受け入れられていた…
「分かった。じゃぁ今日の昼は皆でBBQしましょう。その時にご一緒するくらいならいいよ」
「そうか。よかった」
ホークのホッとした顔に少々複雑になる
ラナオが何者なのか警戒は解けないけどホークたちが受け入れているなら多分大丈夫なんだろう
それにBBQに反応する人は私も気になる
「じゃぁいったん戻って俺達も肉持ってくるよ」
「助かる」
「じゃぁまた後でな」
2人はそう言いながら帰って行った
「レオール!」
「何?」
「お昼にBBQするからネモ達に伝えてくれる?」
「わかった。行ってくる」
レオールは2階からそのまま飛び降りて海の方に走っていく
階段いらず…流石の身体能力ね
そんなレオールを見送って私は早速BBQの準備に取り掛かった
「姉ちゃん皆来た」
昼前にレオールが階段を駆け下りて来る
「相変わらず早いわね。レオールそこに並んでるの外にお願い」
「了解」
レオールはテーブルに並べていた食材や料理を少し前に渡した空間魔法を施したバングルにしまってから出て行った
私は冷蔵庫に入れていた食材を取り出し外にでる
「ミリアお誘いありがとう。これ、今日捕れた魚」
「ありがとう。シーラ」
「こっちは肉ね」
ダリとカイナも量の肉を持ってきていた
いつものようにテーブルにはまな板と包丁があるので勝手に切り始めている
「ミリア、紹介する。こいつがラナオだ。ラナオ、彼女がお前の会いたいと言っていた人でミリアという」
「こんにちは」
「悪い。何か無理矢理尋ねる形になってしまった」
そう言いながら頭を下げるラナオを鑑定した
***
ラナオ(本名:ツムラ ナオト) 人柄:A
HP:1500/1500 MP:1500/1500
《スキル》地魔法、風魔法、火魔法、水魔法、回復魔法
《特性》読書/上級者、計算/上級者、解体/マスター
《サブスキル》肉体強化、魔力強化、精神耐性、状態異常耐性、狂戦士、傲慢、跳躍
《ユニークスキル》翻訳、鑑定
《称号》勇者、世界を渡る者
***
そういう事ね
「少し2人で話してもいいかな?」
「ああ、こっちの準備は俺達でも出来るからな」
「ごめんね。じゃぁお願い。準備出来たら先に進めてもらってもいいから。レオール、みんなのことお願いね」
「分かった」
レオールの返事を聞きながら一通り食材をテーブルに並べた
「とりあえず中にどうぞ」
「…いいのか?」
その問いにほほえみだけを返す
通したのは皆が来た時に通す部屋
比較的こっちの世界に寄せた作りと家具の部屋だ
「とりあえず…なぜ私に会いたいと思ったのか聞いても?」
ソファーに座り一息ついてから切り出した
「…そんな大した理由じゃないんだ。ただBBQって言葉が気になった。でもまさか俺以上のステータスを持つ転生者にお目にかかるとは思わなかった」
え?
そう言えばさっき見た時鑑定があった?
そして思い出す
以前何かの時に情報開示したままになっているステータス
開示していると言っても本当にまずい部分は隠蔽しているし、あれからはた目には偽りの数字が見えるように偽装もしてるけれど
もう一つ付け加えるなら“神々の愛し子”の称号は“異世界の記憶を持つ転生者”となっていたりする
「悪い。鑑定が使える。そっちも使えるみたいだけど」
「そう…ね。なら変な腹の探り合いは無駄ね」
気を落ち付かせるために大きく息を吐きだした
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