KAJIMAN

H.K

第1話 切る

幼い頃から料理をすることが好きで、包丁を握ることは、周りの子どもたちより早かった気がする。

 

 しかし、自分の腹を満たしたくて、母親が仕事でいないから、冷蔵庫にある肉や野菜、卵を使ってフライパンにぶち込んむばかりなのだが。

 

 だから、炒めたものの見た目なぞ気にしなかった。

 味つけだって、塩胡椒に醤油、甘さが欲しい時はみりんを適当に入れるくらいで、自分が満足すればいいだけだった。

 だから、包丁は握り方や力の入れ具合も適当。時折、指の血液を隠し味にしてしまう。

 

 しかしながら、大人になると、包丁の使い方の情報が嫌が上でも目に入ってくる。

 それを参考に工夫しようとするが、上手くいかない。

 ひとつだけ気がついた。

 

 包丁を入れる時、目線を真上に置いた方が均等に切れるかも、と。が、上手くいかない。

 

 家事は奥深い、独りで暮らしているから、独りでやらなければいけない。

 

 いつかは、上手く切れるようになるだろな。

 

 終

 

 次回、第弐話 取り込み

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