えいがさつえい

バブみ道日丿宮組

お題:初めての映画 制限時間:15分

「なんていうかあれだね」

「輝いてるって?」

「そうだ。イキイキとしてる。普段部屋に閉じこもってるのが嘘のような」

「引きこもりって言ってたよね?」

「そうだよ。彼女は小学5年から今になるまで外には出なかった」

「それにしては、だいぶ慣れてる感じがするけど?」

「……男は僕以外に側にいなかったよ」

「男遊びに手慣れてる感じがするんだけどな。夜とかどうなの? お風呂とか」

「一緒に入ることはあるけど、男の気配なんてなかったよ。いつも恥ずかしそうにしてるし」

「じゃぁ……なんだろうね。カメラっていうのが本来の魅力を引き出してるのか」

「カメラか……」

「心当たりあるの?」

「記念に撮影しようかというプレイをしたことがあってさ」

「うんうん」

「その時すごくイキイキしてた。普段見せない喘ぎ方をしてた」

「天然の女優さんだったか」

「どうだろ? 今見ても演技力が高いようには思えないよ」

「主役級ではないね。役柄もそうだし」

「でも、魅力はある」

「業界に知られたら、これが初めてじゃなくなるかもね」

「……それはちょっと嫌かな」

「彼氏として? 家族として?」

「両方かな。全ては僕だけに見せてほしい」

「なら、映画に参加させなきゃよかったじゃないか」

「乗り気でさ、外に出るきっかけになればいいなって思ったんだ」

「今それができてそうだね」

「外っていっても、人のいない学校だけどね」

「一歩にしてはでかいんじゃない? ほら、呼んでるよ」

「あぁ、行ってくる。トイレかもしれない」

「……トイレの世話までしてるのかい、君は」

「当然だろ?」

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えいがさつえい バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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