私の恋は叶わないだろうけれど。
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第1話
「好きだったんだ、高校のとき」
彼は言いました。
「ずっと君のことが好きだったんだよ」
その人は言いました。
「......結婚してくれって言ったら、困る?」
私は答えました。 だって私には、心に決めた人がいたから......。 でもその人は言うのです。
「愛してるよ」って。
ああもう、この人にはかなわないなあって思うんです。 だから私は、その人の言葉を受け入れることにしたんです。 その人は嬉しそうに微笑んでいました。 その笑顔につられて私も笑っていました。 幸せな気分でした。
でも、どうしてか涙が出てきました。 この幸せを壊したくないと思ってしまうんです。 なんでだろうって思っていたら、私の口から言葉が漏れていました。
「こんな私でもいいなら」と。
そうしたら彼は言ったのです。
「うん、もちろんだよ」って。
その言葉で私は決意しました。
「あなたのために生きよう」って。
それから私は生まれ変わったんです。
彼のために生きることを決めたあの日から、私の人生には変化が起き始めました。朝起きると必ずあの人の顔が目に入ります。
『おはよう』と言って笑う彼に答えるのは楽しいです。
そして彼と一緒にいる時間が嬉しくて仕方ないんです。
彼がいないと寂しくなります。
他の誰と一緒にいても心は満たされないんです。
彼さえいてくれれば他は何もいらない。
そう思うほどに私は彼に恋をしています。
彼を幸せにしたいと思うほど、逆に私は不幸になっていくような気がしてしまうのです。 だから私は思うんです。
愛しい人と結ばれるのなら、その人と一緒に死ぬことができるのなら、それは幸せなことなんじゃないのかって。
そんなことを考えたせいで、私は今ここにいます。
でも、だからこそ分かることもあります。
私が死んだら悲しむ人がいるということだけは。
たとえそれが愛する人の大切な人だとしても、死んでほしいなんて思ったことはありません。
だけど、もしものことがあったら?
もしその時に誰もいなくなってしまったとしたら......?
そう考えたら怖くなってしまうんです。
また涙が溢れてきてしまいました。
「ごめんなさい......」
泣いて謝ることしかできませんでした。
彼は何も言わず抱きしめてくれました。
その日以来、私たちは少しずつ変わって行きました。
朝起きたらまずキスをするようになりました。
デートもするようになりました。 ただ出かけるだけじゃないです。
一緒に料理を作ったり、一緒にお風呂に入ったり、一緒のお布団に入って抱きしめ合ったり......他にもたくさんのことをするようになりました。
彼はとても優しい人で......そんな彼に惹かれていくのはあっという間でした。
彼と結婚することができて本当によかったと思います。
今は毎日がとても充実していて楽しいからです。
それでも時々思ってしまうことがあるんです。
もし、あの時別の道を選んでいたらどうなっていたのだろうって。 私と彼が出会った日のことは今でも覚えています。
あの時の出会いがなければ私はきっとただの普通の女性として暮らしていたでしょう。
ですが、あの日あの場所で出会っていなければ、今のこの幸せな気持ちもなかったはずです。
そう考えるとすごく幸運なんだなって感じます。
だからこそ考えてしまうこともあるんですよ。
「......ねぇ、あなた」
『何?』
夜のことです。 ベッドの上で私を優しく抱いてくれている人が言いました。
私は少し考えて答えました。
「どうして私たちが死んじゃったら悲しんでくれる人がいるんでしょうね?」
彼の胸の中でそんなことを尋ねてみます。 すると彼は優しく微笑んで答えてくれました。
『うーん......やっぱり大事な人を失ったことが悲しいのかな? 自分の大切な人がいない世界なんて考えられないもんね』
私の顔を見て彼は微笑みながら続けます。
『好きな人のことを大切だと思ってくれてる人がいてくれたら幸せだと思うからさ。その人がその人にとって大切な人だったらもっと嬉しいなって思うんだ』
『そっかぁ......それなら私も幸せだね』 そう言って笑い合います。
そしてどちらからともなく顔を近づけるとキスをしました。
結婚式を挙げてなくてよかったです。 だって式を挙げてたらきっと指輪交換しなくちゃいけなかったと思うんですもの。
彼と唇を重ねたまま、そっと目を瞑りました。 幸せな時間が流れて行きます。
この時間がずっと続けばいいなって思いながら......そのまま眠りにつきたいけど寝ちゃうのもったいないかなって思って目を開きました。
そこには私と同じくらい幸せそうに眠るあなたがいました。
「大好きよ......」
あなたの唇に軽く口付けをします。
「ありがとう......」
あなたと出会えて本当に良かった! あなたと出会えたことに幸せを感じます。
私の恋は叶わないだろうけれど。 パソコン @meganepapadoragondesu
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