ゼロファイター孤児院を建てる
たんぜべ なた。
第1話 漢、江田島登場
私は、江田島 権蔵。
最後に覚えている記憶は、敵空母目がけて特攻するところだった。
高空から機体を翻し、急降下で空母に突入した…はずだった。
高射砲の弾幕の中、降下していたところ、閃光に目が
いつの間にか水平飛行をしているうえに、眼下には森が広がっている。
「は、はぃぃぃぃいい?!」
とりあえず、飛んでいる以上確認する事がある。
高度計…お亡くなりになってる。
速度計…これもお釈迦ですねぇ。
燃料計…とりあえずカラにはなっていない…らしい。
残弾…ごっつええ感じ。
そして、コンパス君…クルクル風車
…水平儀や旋回計、回転計に油温計など、駆動部は何とか動いてくれている。
とりあえず、現状を把握するためにも
太陽の位置(太陽は一つだった)と、四方の風景(ここは、小高い丘に囲まれた盆地のようだ)を頭に叩き込みつつ、旋回をすることにした。
徐々に旋回半径を広げ、五周回目に入ったところで、十時方向の森から土煙が上がる。
ゆっくりと飛行機を土煙の方向へ向けると、煙の中から顔を出したのは、首の長いトカゲのような生物だった。
首長トカゲは、地面に関心があるようで、こちらには気づいていない。
地面が気になる江田島、危険を覚悟で、首長トカゲの頭上を背面飛行で飛ぶ。
流石に、エンジン音に驚いたのか首長トカゲがこちらに頭を向けてくる。
「ん?人影か…」
トカゲの足元には幾人かの人影が見えた。
機体を水平に戻し…としたところで、首長トカゲの口から、火柱がこちらに注がれる。
あわてて機体を横滑りさせながら、反捻りで火柱を回避する。
「トカゲが火を吐くのかぁ??」
機体を立て直し、上空に退避すると、トカゲは地べたよりも、こちらに関心を示したようだ。
「とりあえず、人影から遠避けよう…っと、高射砲も打ってくるんだった。」
こちらの誘導に従ってトカゲが森を移動し始める。
「そういえば、武装の確認がまだだったな。」
機銃の発射レバーを引くと弾は出た。
(あとは、
フットバーやスティックを操作する限りは、まだえものを抱えた状況は維持してい
るようだ。
が、このまま抱えていても無駄に燃料を消費してしまう。
最初の土煙の地点から、おおよそ四海里ほど離れただろうか、機体を旋回しトカゲの首を狙う。
相手も、こちらに火を吐いてくる。
「これでも、弾幕抜けるのは得意なんだよ…ね!っっと。」
トカゲの火を
が、
「ってことは、えものの出番かな。」
機体を再び上空へ押し上げる。
「もう一踏ん張り。
頼むぜ、エンヂンちゃん!!」
スロットル全開でトカゲとの距離を取りつつロールを行い…
急降下爆撃の態勢に入る。
「相手が空母で無いのが残念だが…。」
制動板を展開し、独特の金切り声をあげて、愛機はトカゲに向かって突っ込んでいく。
「こんな展開も、有っていいんじゃないか!!」
トカゲの放つ火に目もくれず、ただ高空から一直線に突っ込む飛行機。
「ヨーソロー…投下!」
飛行機の胴体から切り離された爆弾がトカゲに向かって行く。
飛行機はトカゲの頭上すれすれで、機体を起こし機体の影に隠れていた爆弾がトカゲの頭部に直撃する。
激しい轟音と共に首から上が無くなった。首無しトカゲは地面に倒れ伏す。
「任務完了!」
機内でガッツポーズをする江田島…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます