第15話 夜の続き
目の下に盛大なクマを作ったナオキ。
隣にはいつになく血色の良いメグママ。
向かい合って食事をする二人の姉妹は、このあからさまに怪しい雰囲気に料理も喉を…通ってますね、いつもより遅いけど。
「おね~ちゃん。」
「ん?」
「ママとダ~リン何かあったのかなぁ?」
「どうして??」
「な~~んか、ダ~リンがヤツレてるっていうか…睡眠不足?」
確かにナオキは眠そうだった。
「ま…、まさか!!」
アルが口を抑えたところで
「大丈夫よ、まだしていないわ。」
やんわりと答えるメグママ。
食後のソファーでゆっくりと眠っているナオキを横目に三人が談笑している。
「ねぇ、ママぁ。
昨日の夜は何かあったの?」
素朴に質問するエル。
エルの質問を聞いてむせかえるアル。
二人の姿をほほ笑みながら見ているメグママ。
「実はね…。」
メグは昨晩の出来事を、姉妹に事細かく話して聞かせた。
「月の光に照らされて、月の歌声を聞いているようでした。」
「い~ぃなぁ~。
ママ、うらやましぃ~!」
「私も、それ聞きたかったぁ!!」
地団駄を踏む姉妹。
そのドタバタで目を覚ますナオキ。
「なんか、騒々しいんだけど…。」
「ねぇ、あなた。」
メグママから、あなたと言われて困惑するナオキ。
引き下がろうとするところを、姉妹に抑えられる。
「旦那さまぁ~。」
「ダァ~リン!!」
両耳から甘い囁き声が入ってくる。
…ナオキ君…硬直…開始!
ーしばらくお待ちください。ー
「昨晩の音楽をこの子達にも聞かせてあげたいの。」
「そういう事であれば…。」
メグに促され、スマホを取り出すナオキ。
イヤホンを片方ずつアルとエルの耳にあてがい、昨夜と同じように『月の光』を聞かせる。
「綺麗…。」
「素敵…。」
二人は感嘆する。
その姿を見ながらメグはナオキに話しかける。
「音楽は、この聞き方しかないの?」
「え~~と、みんなで聞く方法はあるんだけど…。」
スマホからイヤホンのケーブルを抜くと、雑音交じりの『月の光』が大音響で流れ出す。
「!!!」
三人が驚き、ナオキは慌ててイヤホンのケーブルを差し直す。
「…というわけなんだ。」
あ~ら大変、三人が青筋たてて怒ってますよぉ、ナオキ君。
「こういう事は、先に言いなさい!!」
「おかあさんの言う通り!」
「ダ~リンさいてぇ~!」
「ご、ごめんなさい。」
三人の仁王さんを前に土下座のナオキ君。
よく見ますよねぇ…お母さんに理不尽に怒られるお父さんたちの図。
あんな感じです、はい。
◇ ◇ ◇
「と、とりあえず、冒険者ギルドに行きますね。」
「あ、ダ~リン、私も!」
「旦那さま、お供します。」
ようやくお怒りが納まったところで、この街に来て一ヶ月、ようやく冒険者ギルドへ向かうナオキ達。
三人が冒険者ギルドへ向かう支度をしている傍で外出の身支度を始めるメグ。
「???」
三人の不思議そうな視線を横に、メグさんの装備が程なく整う。
(…って、おかあさんの…)
(ママの…)
(メグママの…)
(装備はどこに在ったんだろう??)
三人そろって同じ悩みに到達!
「これでぇ…よし♪」
「あ、あのぉ、メグママ…」
「あなた!
わたしはメグよ!」
茶目っ気たっぷりにナオキを
…あ、睨まないで、ナレーションを睨まないで…メグ…さん。
◇ ◇ ◇
「メ、メグも、冒険者ギルドに??」
「ええ、もちろん!」
「ママすごぉ~~い!」
「おかあさんもこれで、仲間入り…かな?」
燥ぐ三人を尻目に、呟くナオキ君だった。
「大丈夫かぁ~?」
と。
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