星空の下のピアニスト

神楽堂

佳織が見た星空①

私は晴彦はるひこの運転する車の助手席に座り、窓の外を眺めていた。

対向車もいなくなり、街灯もない真っ暗な道に入った。

私は恐くなってきた。


「晴彦、どこに連れて行くの?」


佳織かおりに数千年前のものを見せたくて……」


「は? こんな夜遅くに博物館なんてやっているわけないでしょ?」


「博物館よりも、もっと昔のものを佳織に見せてあげる」


晴彦はいったい何を考えているんだろう。


私と晴彦は、同じ音楽大学に通う大学生。

私はピアノ科で、晴彦は声楽科。

彼の歌の伴奏を担当したことをきっかけに、私たちは付き合い始めた。

晴彦が夏の夜のドライブに行きたい、と言うのでついてきたが、

いったいどこに行くのやら……


車は、意外なところで止まった。

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