人間の骨を貪りつくす虫。
神石水亞宮類
第1話 人間の骨を貪りつくす虫。
私は、58歳で旦那も私より5つ上だから63歳になるし!
子供も上の男の子が21歳で下の女の子が19歳になり
それぞれ自分のやりたい事を見つけて巣立っていったわ。
私たちは、また二人で生活すようになったの。
旦那も、定年退職して趣味を見つけたのか、、、?
時間があれば、同じ会社の同僚だった人と山に登りに行ったり
しているのよ。
私も、旦那に誘われた事があったのだけど、、、?
私は、体を動かす事が嫌いだから、はっきりと断ったわ。
『なあ、お前も俺と一緒に! 山に登りに行かないか、、、?』
『貴方も分かってるでしょ~私が運動嫌いだって!』
『・・・それは分かるが、もういい歳だし! 体を動かさないと
病気になるぞ!』
『それは、分かってるわ。』
『まあ、一度! よく考えててくれ!』
『えぇ。』
旦那とも長い付き合いだから......。
私が最後に、【えぇ。】と答えたのは、、、?
行きたくないんだなときっと思ってるはずだわ。
私自身も、家でゴロゴロしている方が楽だし。
旦那も私を連れて行くと愚痴ばかり言うんじゃないかと思って
本当は、連れて行くのが嫌なはずなのよ!
私は、相変わらずソファーの上でテレビを見ながら横になり
お菓子をつまんでは、ゴロゴロしていた時だったわ!
どこから聞こえるのか、、、?
【ギシッ ギシギシッ ギシッ】と音が聞こえたの。
私は、テレビを消して音が鳴る方へ耳を傾けると、、、?
私の体の中からその音が聞こえているじゃない!
『何の音かしら? 一度! 病院で診てもらった方がいいのかな?』
・・・私は、急に不安になり病院に行く事にしたの!
病院では、平日は診てもらう人が多い。
私は受付で手続きをして順番を待っていたわ。
・・・そして私の名前が呼ばれたの!
『鎌本一美さーん! お入りください!』
『ははい!』
中には年配のベテラン医師が座っていたの。
『今日は、どうしましたか、、、?』
『実は先生! 私の体から変な音がするんです! “ギシギシッ”って音
なんですけど......。』
『うーん? レントゲン検査をしましょうか?』
『はい! お願いします。』
『1週間後に、診断結果が出ます!』
『ありがとうございました。』
こうして、私は家に帰ったの!
・・・うちに帰ると?
旦那が家に先に帰って来ててね。
私が晩ご飯の準備もしていないし。
何より、私が家に居ないから心配していたらしいの!
『お前、今まで何処に行ってたんだ? 家を留守にして。』
『・・・病院に行って診てもらってたの。』
『何? どこが悪いのか? もう大丈夫なのか?』
『レントゲン検査をしたから大丈夫よ! 1週間後に結果が
出るらしいわ!』
『・・・そ、そうか。』
『私の体の中で、“ギシギシッ”って音が鳴るの。』
『ギシギシッ?』
『私も、それが何なのか? 分からないの! でもそう言えばね!
最近、階段で躓いて捻挫したのよ! それが原因なのかな?』
『うーん? それは! 結果を見てみないと分からないな?』
『そうよね。』
・・・1週間後、私の診断結果が出たわ!
【プルルルル プルルルル】
『はい!』
『鎌本一美さんのお宅ですか?』
『はい、先生! 私の病気は何だったんですか?』
『電話では説明しにくい事なので! 今日、お時間ありますか?
病院に来られた時に病気の説明をさせていただきます。』
『・・・ははい、』
私が、病院に行って先生から説明を聞くと?
病院の先生に意外な事を言われて私はビックリしてしまったの!
『ビックリしないで聞いてくださいね! 鎌本さんの体の中に骨を貪り
つくす虫がいて、その虫が鎌本さんの骨をギシギシッと食べつくしてる
みたいなんですよ!』
『・・・そ、そんな、先生! どうにかしてください!』
『お薬を出しておきます! 2週間分出すので必ず朝と晩に飲んでください!』
『それで、その虫はいなくなるんですか?』
『はい、大丈夫ですよ!』
『先生、ありがとうございました!』
『お大事に!』
私は、病院でもらった薬を飲んでその虫を退治したわ!
『なあ~お前! その骨を貪りつくす虫はもういなくなったのか?』
『えぇ! 病院でもらった薬を飲んでるからね!』
『そうか、良かったな!』
『えぇ!』
【ギシッ ギシギシッ ギシッ】
『えぇ!? 今の音?』
『さあな? あんまり気にするな!』
『・・・ううん。』
既に旦那の体の中の骨を貪りつくしている虫がいたのよ!
しかも? 私の中にいた虫より多かったようで......。
この事があってから気づくまでに1週間ほどかかってしまった。
『人間の骨を貪りつくす虫』が体の中にいたら、、、?
やっぱり、怖いわよね!
人間の骨を貪りつくす虫。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru
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