ポチの63話 ラストダンスだよ
「ポチちゃん、大丈夫?」
「全然へっちゃらだよ! ポチは鼻血くらいなんでもないのだ!」
奥様が心配してポチのお顔をペタペタと触っているけど、ポチは大丈夫だよ。
「それにしても、あの怪獣みたいな人は凄かったね。大きな男の人を引きずった上に跳ね飛ばしていたよ」
「「「ぶふぉ」」」
ポチが怪獣って言ったら、陛下も領主様も周りの人も吹き出したんだよ。
でも、あの人は絶対に怪獣だよ。
ポチ、今まであった人の中で一番怖かったもん。
「ふふふ、まあ無事に収まって何よりだ。奴らは何回も沙汰を破っているから、三人とも教会送りが妥当だろう」
「ポチちゃんが殴られてしまったのは残念ですが、あの厄介者を処罰できたのは大きいですね」
「そうなんだ。ポチは殴られても全然へっちゃらだよ。りっちゃんを守れたんだから!」
陛下と領主様が、お互いに笑いながらポチの頭を撫でてくれたんだよ。
そうしたら、今度はグレース様やトール君達もポチの周りにやってきたんだ。
「ポチちゃん凄いね、怪獣にも負けなかったよ!」
「ポチちゃん凄い!」
「わわ、皆揉みくちゃにしないで!」
皆がポチの事をわちゃわちゃしてきたんだよ。
でも、無事に終わってよかったな。
そして、子ども達もあの香水臭いおばさんの娘の事を怪獣って言っているんだよ。
やっぱり、どう見ても怪獣だよね。
「それでは、改めてラストダンスを執り行います」
おっと、中断していたラストダンスが再開したんだよ。
りっちゃんとケイン様も、踊る所の真ん中に移動したんだ。
「それでは、ラストダンスをお楽しみください」
音楽がなってダンスが始まったけど、周りの人が遠慮がちに踊っているから、主役は完全にケイン様とりっちゃんだね。
二人ともダンスも凄く上手だし、周りの視線を一身に集めているんだ。
りっちゃん、特訓頑張って良かったね。
「よくここまで踊れる様になったものだ」
「綺麗ね、本当に綺麗」
領主様と奥様は、感慨深そうに二人が踊っている様子をじっと見ているんだ。
今までダンスができなかったから、あの香水臭いおばさん以外にも今まで色々言われていたんだって。
「だから、余もこうして二人が堂々と踊れるのを見れるのは、ぐっとくるものがある」
「私達も息子と息子の嫁候補の事を馬鹿にされたのよ。だから、二人のダンスは私達もとても嬉しいのよ」
ポチとお話していた陛下と王妃様も、二人のダンスにとっても嬉しそうだよ。
もう誰もりっちゃんはダンスが踊れないって、文句は言えないよね。
それくらい、りっちゃんとケイン様のダンスは素晴らしかったよ。
そしてダンスが無事に終わったよ。
そうしたら、ケイン様がポケットの中から小さな箱を取り出してりっちゃんの前でひざまついたんだ。
「リリーナ、どうか私と結婚して下さい」
おお、ケイン様カッコいい!
皆の前で指輪の入った箱を開けて、まさかの公開プロポーズだよ!
これにはポチだけでなく、周りにいる人全員がビックリしているんだ。
まるでテレビのドラマを見ている様だよ。
「はい、喜んで!」
りっちゃんの答えは決まっていたんだよ。
りっちゃんは涙が出ていたけど、とっても良い笑顔だったんだ。
ケイン様が立ち上がってりっちゃんの指に付けると、ケイン様とりっちゃんは嬉しそうに抱き合っているんだ。
周りの人も祝福の拍手をしてるんだ。
うー、ポチは我慢できなくて走り出しちゃったんだ。
「ケイン様、りっちゃん。おめでとー!」
ポチも、ケイン様とりっちゃんに抱きついちゃった。
そんなポチも様子を見て、ケイン様とりっちゃんが少し笑いながらポチの頭を撫でてくれたんだ。
ケイン様とりっちゃんが一緒になれて、ポチとっても嬉しいんだ。
「これは王国の歴史に残るラストダンスだな」
「ええ、とても素晴らしですわ」
陛下も王妃様も領主様も奥様も、ポチの事を少し笑いながら更に大きな拍手を送っていたんだよ。
こうして、ケイン様とりっちゃんのラストダンスは大成功で終わったんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます