ポチの14話 初めて魔法を見たよ
「旦那様、奥様、失礼致します」
「どうした? 何かあったのか?」
「その、庭師が剪定中にハシゴより落下しまして。怪我をしてしまいました」
「あら、それは大変!」
おお、怪我しちゃった人がいるんだ。
それは大変だ!
メイド服を着たお姉さんが慌てるのも納得だよ。
急いで皆でお屋敷のお庭に行ったんだよ。
「いてて……」
お庭に行くと、庭師っていうおじさんが足を押さえて痛そうな顔をしていたんだ。
あ、良く見るとハシゴの足をかけるところが壊れていて、ここから落ちちゃったんだ。
「足をやったか。うーん、これは骨が折れているかもしれないぞ」
「うう、すみません旦那様……」
領主様がおじさんの足を確認しているけど、骨が折れているのか腫れていてとっても痛いよ。
おじさんの痛そうな顔を見ていると、ポチも何だか痛くなって耳と尻尾がペタンってなっちゃったよ。
奥様もメイドのお姉さんも、とっても心配そうにおじさんを見ているよ。
おじさんは、痛みで汗だくだくになっているよ。
「うむ、これはいかんな。どれ、ちょっと儂に任せるのだ」
おもむろにお爺さんがおじさんの側に座って、痛そうな足の所に手を置いたんだよ。
すると、お爺さんの手が白く光ったんだ!
もう、ポチびっくりしちゃって、ペタンとなっていた耳と尻尾が一瞬でぴーんってなっちゃったの!
「ふう、これでどうじゃ?」
「凄い、痛くない。有難うございます、司祭様!」
「ほほほ、それは良かった。じゃが、骨がくっついたばっかりじゃから、今日一日は安静にするのじゃぞ」
「はい、本当に有難うございます」
お爺さんが腕で額の汗を拭うとおじさんの治療が終わっていて、おじさんは足が痛く無くなってびっくりしている。
ポチもお爺さんの治療に、とってもびっくりしたよ。
お爺さんは、一体何をやったのだろうか?
「お爺さん、おじさんに何をやったの?」
「これは魔法じゃ。治癒魔法をかけて怪我を治したのだ」
「魔法! お爺さん魔法が使えるんだ!」
魔法と聞いて、ポチびっくりしちゃった!
りっちゃんと一緒にテレビで見たカッコイイ女の子の様だよ!
でも、今はカッコいい女の子ではなくてお爺さんだけど。
「司祭様、治療して頂きありがとうございます」
「いやいや、ポチちゃんを受け入れてくれましたし、この位何も問題はないのじゃ」
「それでも感謝致します。本当に有難うございました」
おお、領主様と奥様がお爺さんにお礼を言っている。
りっちゃんと一緒に見ていたテレビに出てきた貴族は悪い人ばっかりだったけど、ここの領主様と奥様はとっても良い人なんだ!
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