ポチの13話 ポチの事を領主様に説明!

「いや、ポチちゃんの仕草が可愛かったもんでな。笑ったのに他意はないのだ。さあ、話を始めるとするか」


 領主様が場を仕切り直したよ。

 うーん、なんか誤魔化した様な気もするけど、ここはちゃんと話をしよう。


「じゃあポチちゃん。この世界に来た時の事を教えてくれるかな?」

「分かりました!」


 おっと、領主様からこの世界に来た事の事を話してと言われたよ。

 ポチ、頑張って皆にお話ししなきゃ。


「えっとね、ポチは元は犬の豆柴だったの。ご主人様のりっちゃんと一緒に暮らしていたんだけど、りっちゃんが大きい犬に襲われちゃったの。ポチが頑張って追い払ったんだけどね、ポチ死んじゃったんだって。そうしたら女神様にあって、ポチが良い事をしたから、この世界に来ることになったの」

「ふむ、その女神様っていうのが、教会の女神像と一緒だったんだね」

「そうなの。ポチ女神様の像を見た時に、天国であった女神様にそっくりでびっくりしちゃったの」

「ふむ、そうか……」


 ポチ頑張ってお話ししたら、領主様が何か考え込んじゃったの。

 えーっと、ポチ何か余計な事を言っちゃったのかな。

 ポチがシュンとしちゃったら、領主様がニコッとして話をしてくれたの。


「ポチちゃんを困らせてしまったかな? いや、ポチちゃんの説明は問題ないよ。伝承で聞いた転生者の物語と一緒で、少し考え込んでしまったのでな」

「そうね。特に前世で何か善行を積んだり心残りがあったりすると女神様が転生させてくれるというのは、正に伝承に伝えられている内容とそっくりだわ」

「そうなんだ」


 へえ、そんな言い伝えがあったんだ。

 ポチが女神様にあった時に聞いた話と一緒だね。


「ともあれ、ポチちゃんが転生者であろうと我が領の新しい一員である事には変わりはない。改めて、ポチちゃん公爵領へようこそ」

「そうね。もう既に商店街やギルドでも人気者ですから、ポチちゃんなら転生者とか関係なく街の人と仲良くできるでしょうね」

「うん、街の人は皆良い人ばっかりなの。ポチ、これからもいっぱいお手伝いするよ!」


 領主様と奥様からもポチの事を歓迎してくれたんだ。

 ポチもこれからもいっぱい街の人のお手伝いをするんだよ!


「ポチちゃんは何も心配いらないな。伝承によると、過去には生活環境が変わってしまって思わず大暴れをしてしまった転生者がいたようだ」

「へーそうなんだ。ポチは孤児院の生活とか皆のお手伝いとか、とっても楽しいよ!」


 暴れちゃうのは良くないよね。

 街の人が困っちゃうし、物も壊れちゃうよ。

 うーん、ポチは暴れる人の気持ちが分からないなあ。


「ポチちゃんの事はこの位で良いだろう。侍従からも、ポチちゃんは良い子だって話を聞いていたし」

「そうですね。何も問題はないですし、何よりもこの街が明るくなりますから」


 あれ?

 もうお話し終わりなの?

 お屋敷に来て、まだ一時間もたっていないけど。


「ふぉふぉふぉ。ポチちゃんは良い子じゃから、直ぐに話が終わったのじゃよ」

「そうなんだ。じゃあポチ、お店のお手伝いに行きたいな」


 お爺さんも終わりって言ってきたから、本当にお話はこれで終わりなんだ。

 ポチ、ミッケちゃんやリルムちゃんのお手伝いをしたいなあ。

 そんな事を思っていたら、メイド服のお姉さんが応接室に入ってきたの。

 何だか、焦っている様に見えるけど、何かあったのかな?

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