何故か俺だけゲームな世界で無限レベルアップ

深夜翔

プロローグ : 世界は侵略されている

――西暦2120年、1月。

 人類は科学の発展によって、ついにタイムスリップを可能にした。


 異空間と呼ばれる、現実の我々が住む三次元的空間とは違う別の空間を作り出す技術を応用したもので、異空間側から作った入口とは別の出口を無理やり開けることで時空を歪ませることができると発覚。


 元々その異空間内では時間の経過が著しく遅いことは解明されていたが、それを利用したが成されたのはこの時が初であった。


 異空間が作られた日より前には戻れないが、この日以降の日付であれば、今後何時でも移動が可能になる。


 誰もがその大発明に歓喜し、もはや災害や戦争での被害は無くなると研究者が発表。世界的にも大きな話題となった。


 しかし、時間・空間を歪ませることで起きる障害に、人類はまだ気がついていなかった。


――西暦2121年、3月。

 その日、我々はこの世界とは異なる別の異世界があることを知る。

 研究の結果では無い。世界中の人々が、その身をもって経験することになる。


「な、なんだ……あれ……?ど、どう、ぶつ?」

「ば、ば、化けっ……、化け物だぁぁ!!!」


 空間を歪ませたことにより、本来交わるはずのなかった世界規模の空間干渉が起こった。


 異空間の扉が世界各地に発生し、その中から見たことも無い生物が姿を現して人類を攻撃し始めたのだ。間違いなく異種の生命体。


……いいや、生命体と呼べるものでは無いのかもしれない。

 一言で表すなら――そう、魔物。


 ファンタジーの小説などでしか見たことの無い、架空の生物だと


 化け物それらが地球というこの空間を侵略した。

 戦いとは無縁の日常を送っていた、戦闘力皆無の一般市民が溢れるこの地球という空間を。


『"緊急事態令 シェルターへの避難を…………"』


 ここ日本でも、その被害は等しく現れた。特に首都東京とその郊外の村や街では、発生した異空間の数が多かったこともあり首都直下地震と同等レベルの死者が出た。


 この時唯一の戦闘力と言っていい自衛隊等の軍隊が各地へと派遣されたがその抵抗力は微々たるものだった。何せ戦車をも超える巨体が、銃弾より速い速度で動き回る。

 銃弾より速く、砲弾より高威力の魔物。ただの人間に抗えるはずがなかった。


 地球の人類は滅ぶしかないと思われた……が


 そういった異空間の影響は、地球の生命体そのものにも現れていた。


――『覚醒者』


 いわゆる超能力や魔法のような、科学では説明出来ない力を持った人々が続々と出現したのだ。

 魔物に対抗できる人々が現れたことにより、異空間問題はあっという間に収束へと向かった。


――これは、後に世界異空間現象と呼ばれ、世界的な大災害として名を残す。


 この日を境に人々の生活は一変し、度々世に現れる異空間のことを、人々はこう呼んだ。


――『ダンジョン』、と。

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