第3話

 そうして、泥棒は手にした指輪を手に質屋に向かった。

 質屋で盗んだ指輪を見てもらう。目をキラキラさせながら。

 質屋から出た金額は?

「1000円ですね」

「……1000円」

「はい。1000円です。全てイミテーションなので。お売りになりますか?」

「……はい」

 泥棒は意気消沈して、1000円札を握り締め、質屋から出て行った。


 質屋の店主は泥棒が帰るまで、笑いを堪えるのに必死だった。

 泥棒が帰ると「あははははは」腹が捩れるくらい笑った。

「ああ、面白い。あの泥棒目利きがないにも程があるぞ。本物をイミテーションと言ったら信じてしまったぞ。これだから、この家業は止められない」


 泥棒の蔓延る街。今回は、泥棒がついていなかったが、質屋の店主だって、今後ついてないことがおこる可能性がある。

 ここは、そう言う街だから。


終わり

 

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泥棒が蔓延(はびこ)る街 浅貴るお @ruo

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