第13話笑う

 ジェノサイダーとのデュエットが終わった後、僕は、精神の地下室を抜け出し、光の当たる部屋に戻った。

 そして、僕は言う。

「レラは孤独に震えている」

 僕は答える。

「レラは、どこへ?」

 ジェノサイダーが剣を抜く。

「大量殺戮」

 ジェノサイダーは、そう言って、イマージュの世界のすべてを切り刻んでいく。

 破壊衝動のままに、そして歌うがままに。恐れるがままに、恐れずに、恋、求める。

 それは僕だった。

 朝霧の中で、僕は散歩をしている。

 すると、前から、犬を連れた女の子がやってきた。

 犬はまるで、美しいセントバーナード。

 僕は、声をかける。

 すると、女の子はこう言う。

「まるで、何か、神秘的で、怪しい香りがするわ」

 ジェノサイダーは、腰をふれと命ずる。

 僕は、腰を振らない。

 そして、代わりに手を振る。そして、逆さまにしたピエロが笑う。

 青いピエロ。シャガールのような。

 僕ははっとして、道端の石に目をやる。

 それが、黄金、また別のに、それは紅。あるいは、石を取ってくれない?

 と発しそうになったところで、僕はセントバーナードの頭を撫でる。

 青いピエロはジャグリング。ボールが舞って、時が止まって。心臓が止まりそうになり、時が止まったかのように、景色が輝く。そして、ふと空を見上げる。

 一羽の白いカラス。

 僕は一瞬、マザーテレサの顔が浮かぶ。

 カラスが、寂し気に鳴く。

 そして、僕らは、同時にこう言った。

「今日もいい天気ですね」

 僕とジェノサイダー、それに青いピエロは、頭を下げた。

「僕と踊りませんか?」

 すると、女の子は、「いいわよ、あなたみたいな素敵な人なら」と言って、手を握る。

 そこで夢から覚めた。

 


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