これは甘美なる地獄の日々



「お待たせー!ごめん、みんな待った?」


「大丈夫だよ桜ちゃん。みんなさっききたばかり」




今日は7月21日。カズの誕生日当日。


例年通りお祝いをするために集まっていた。


ただ、例年とは違うのは...。



「じゃ、行こっか」


「カズ君、手繋ごっ」


「うん、七ちゃん」



「...」


「その、大丈夫なのか、藤浪...」


そんな光景を見守る私に田中君が声をかけてきた。


「ううん、大丈夫。もう本当になんてことないから。ありがとね、行こっか」


「お、おう...」



「なーに赤くなってんだよ将大!」


「まぁ無理ないよー。桜さん本当に可愛いもんっ」



そんな田中君を茶化すのは、

最近友達になった美香と田崎君だ。



「う、うるせーよお前ら!行くぞ」


「ちょっ、なに焦ってんのよ田中君。仕方ないなぁ」



やれやれ。私達は呆れながら、先を行ってしまった3人の後を追いかけた。




「今日は東堂さんこれなかったんだね」


「うん...どうしても外せない用事があるって、凄い申し訳なさそうに謝られたよ。残念だけど仕方ないよね」


「元気出してっ、その分私がいるよ?」


「ありがとう、七ちゃん」



そう、今回のカズの誕生日の集まりは例年とは全く違う。

いつもはカズと私と鞘の3人だったけれど、

今回はカズ、七、田崎君、美香、田中君、そして私の6人だ。

カズが七と付き合ったこと、私が田中君と少し面識ができたことでこのメンバーになった。

鞘は外せない用事があってこれなかった。

まぁ外せないなんて嘘だ。

正確には外したくないが正しいだろう。

本人は頑なに認めないけどね。



その後私達は遅くなるまで楽しく遊んだ。



◇◇◇



「じゃあ、お疲れ様ー!」


「お疲れ様!みんな気をつけてね」


「改めておめでとう!カズ、あんまりハメを外しちゃだめだよ?」


「だ、大丈夫だよ!」


「どうだか...」


「えへへ、気をつけまーす。じゃあ行こっか、カズ君」


「う、うん。じゃあみんなまた学校でね」


「おつ〜」



あの様子だとカズはこの後

七とお泊まりでもするんだろうけれど、

不思議と私の心は大丈夫だった。

なんとも現金なものだと内心苦笑する。



「じゃあ私達はこっちだから、またね」


「またな」


「またな〜」


「またね。気をつけてね」



そう言って美香と田崎君と分かれ道で別れた。

あの2人はいい感じの仲だと聞くし、もしかしたらもしかするんだろうか。



「あ、あのよ、藤浪。よかったら家まで送って行こうか?」


「あー...ごめんね田中君。私、親がすぐそこまで迎えにきてくれてるんだよね。だから大丈夫だよ、ありがとう」


「そ、そっか、わかった、気をつけてな」


「うん、ありがとう」


そう言って田中君とも別れた私は、真っ直ぐ目的地に向かった。


事前に鍵は開けとくと言われていたので、チャイムを鳴らさずにドアを開ける。



「お邪魔しまーす」



「んっ...んっ...あ....」



ギシギシと軋む音と抑えた声が耳に届いて、私は苦笑しつつ鍵を閉めて寝室へ向かった。




「あっ...もっと...気持ちいい...それ..それ好き」



そこには私の知らない..いや、最近まで知る由もなかった顔をしている鞘と、佐藤の姿が私を待っていた。



「ん..?お、桜、お疲れ様。どうだった?」


あん...


「ありがとう。思ったよりも全然平気。普通に楽しめたわ。まぁあんた達の方が楽しんでそうだけど」


んん...


「そっか。吹っ切れたみたいでよかったよ」


はぁん...


「でもやっぱり心労はあったわよ。だからちゃんと癒してよね。シャワー借りるわ」


またい...


「はいはい。それまでに俺はこっちを満足させとくわ」


やっ...だめだめ...はげし...


「お願いするわ。じゃあ急いで入ってくるから」



鞘の副音声をBGMに軽く会話をしてから

シャワーを借りることに。


浴び終えてスッキリしてから佐藤のところに向かい、思いっきり抱いてもらう。

隣で鞘がぐったりしているけれど、もうそんなことは気にならないくらいにはこの関係にも慣れたつもりだ。



◇◇◇




「最悪です...あなたのような最低な人間に蹂躙されるなんて...穢らわしい...うう...」



無事に賭けに勝ち、契約を履行して奴隷になった東堂にまず俺がしたことは勿論セックスだった。



そりゃあもう、めちゃくちゃ嫌な顔をされたさ。でも最低限のプライドはあるのか、抵抗はされなかった。



こんな嫌悪感丸出しのいけすかない女をこれからどうやって屈服させてやろうか。

そう考え楽しみにしていた。



そんな時代もありました。




...冒頭が東堂の事後の発言だが、その実真相はこうだ。



「くっ...やるなら早くしなさい...」


「くっ...そんなところを見てどうだと言うのです...」


「くっ...そんなところをさわられても...」


「くっ...そんなところを...」


「くっ...そんな...」


「くっ...」


「くっ!?痛い、痛いです!そんなの入るわけが...」


「くっ...何という屈辱...」


「あっ...今動かれたら...」


「あっ...」


「あっ、だめです...」


「あぁっ。気持ちいい。だめです。おかしくなっちゃいます」


「あぁっ...もっと...」


「くっう〜ん♡しゅきぃ...♡」



あぁ。そうだよ。即堕ちだった。



なんてやりがいが無い。




あぁそういえばあれから無事(?)に藤浪も

くそつまらん映画をBGMに美味しくいただいた。

意外と本人もそのつもりだったのか、半ば自棄になっていたのかは知らないがあっさりだったよ。


しかも本人の才なのか、初めてにも関わらず感度が異常に高く一発で快楽の虜になった。

と言っても、どちらかというとセックスと言うよりも俺自身に対しての依存がかいま見えるのは良くない兆候だが、今回ばかりは俺がそう仕向けたから文句は言わない。

でもこいつあれだけ俺に敵意剥き出しだったのに本当なにがあったんだろうな。



依存される、というのは良くない兆候だが、悪いことばかりでもない。

裏を返せば従順になったとも言える。

東堂との関係も藤浪には隠しきれないだろうから、その後すぐ事情を説明し打ち明けた。


勿論大層驚かれたが、自分もあっさり俺に身体を許した負い目からか思ったよりもすんなり受け入れてもらえた。


そこからはまぁ、藤浪の希望もあり3人で会うことになり、その流れで3人で致したりして歪だがお互いを無事に受け入れられたみたいだ。


...まぁもしかしたらもう、壊れているのかもしれないな。




東堂も、桜も俺と肉体関係を持ったことを知ってからは振り切れて、かなり素直になった。

こいつも潜在的にM属性を持っていたと俺は睨んでいる。


だが俺もセフレが増えた影響で中々時間がない。


早坂君の誕生日当日に会えなかったら次に会えるのは暫く空くかもしれないと告げると、迷わず早坂君の方を断り俺の家にきたのは正直驚いた。

最初は憎しみしかなかったがここまで欲に素直になられると一周回って可愛く思えてくるから不思議なものだ。




しかしもうすぐ夏休みに入るが、仕事にセックスにと中々忙しい夏になりそうだ。



8月1日から夏休みだから、登校日はまだ1週間程ある。


明日は日曜日なこともあり、今隣で全裸で眠りについている東堂と桜はこのまま泊まることになっている。



ここから夏休みまでの日数をダイジェストで語ろうか。




7月22日(日)


am7:00〜12:00


「んぐっ...んっ...」

「ちょっと鞘、代わりなさいよ」

「もうひょっほ...」


東堂と桜の自主練で起床


しばらくベッドを揺らしてからシャワーを浴び、朝食を取りつつゆったり。


pm1:00〜17:30


午後から撮影のため2人と別れ現場へ向かう。

今日の現場は小百合と一緒だった。

2時間程度の撮影を終えて、2人で昼飯を食べた後、小百合の希望でホテルへ向かう。

しばらく楽しんだ後、小百合は夜に彼氏の家族と小百合の家族と合同でご飯会のため夕方には帰ることになった。


「早く別れたいんですけど家族ぐるみだから中々難しいです〜。陽君が何か最近キスしたそうにこちらを見てくるんですよ〜。私の貞操の危機!」


だまらっしゃい。


pm6:00〜22:00


帰宅しようとしたが彩花からの夕飯のお誘いを受けて彩花宅へ向かう。

手料理を食べて、本日最後の一発を放つ。


「ん〜。なんか薄いし少ないよ優君。ばか!」


探偵か己は。


7月23日(月)


15時まで授業を受けた後、生徒会室へ向かいイカれた変態2人と行為に励む。


「あぁ※自主規制※ぃぃ!優様の※自主規制※が※自主規制※で※自主規制※ぃぃぃ!」


「優様ぁ...私の※自主規制※を優様の※自主規制※で※自主規制※して※自主規制※してくださいいい」


...なんか無駄に疲れたので帰宅後即就寝した。


7月24日(火)


昼休み、最近修行をつけてやれていない立花が文句を言いにきたのでトイレで修行をつけてやることにした。


「し、師匠..こんなところで...」


「これは声を出さず、バレないようにセックスすることでいつでもどこでもできるようになるための修行だ」


「な、なるほど...ボク、頑張ります!んん...」


無事に修行と授業を終え撮影に向かう。

帰宅してゆっくりしていると訪問者が来た。


「あ、お久しぶりです、優さん。あの、久しぶりに怖くなってしまって...」


久々にアホ(楓)先輩が訪ねてきた。

仕方ないので1回抱いてあげてから一緒に就寝することにした。


7月25日(水)


いつも通りに授業を終え、彩花とメイ先輩を自宅に招き入れて3人でゆったりしつつ楽しむ。


「メイ〜、一緒に舐めよ?」


「もう、仕方ないわね」


なにが仕方ないだよなにが。


7月26日(木)


今日は朝から撮影のため遅刻して昼から登校した。無事に授業を終えたが、今日は紗雪と約束していた日のためそのまま俺の家に俺が連行(?)され搾り取られる。


「あなたが悪いんだから...」


人のせいにしちゃダメだって授業で習わなかった?


7月27日(金)


放課後、同じく学校帰りの美愛が泊まりにきた。


「優君なんだか疲れてる?今日はゆっくりしよっか!」


天使か?

お言葉に甘えて2人でゆっくり過ごした。


7月28日(土)


am8:00〜13:00


起床後、無事に疲れも取れたので、

俺から誘って寝起きセックスに励む。


「んっ...優君大好きだよ...」


...美愛とすると俺の罪悪感ゲージがぐんぐん溜まっていくのは内緒だ。


pm:2:00〜20:00


今日はカイさんと長めの撮影だ。

楽しく撮影を終えて、カイさんに夕飯をご馳走になった。


「最近どうですか?」


「あぁ?なぜか生徒会の奴らがうざったかったんだけどすっかり落ち着いてな。平和だよ」


「女遊びはほどほどにしなきゃですね」


「それが原因じゃねえよ!まぁお互い気をつけようぜ」


「ははは...」


新見の件を全く出さず、恩にも着せない。

本当にいい男だ。頭が上がらない。


7月29日(日)


「ただいま!」


「お帰りなさい、優ちゃん。お父さんは仕事に行っちゃったし、お母さんはこれからパートだけど大丈夫?」


「うん、地元の友達と遊ぶために帰ってきただけだから。いってらっしゃい。夜また顔出すよ」


地元に帰り、実家に顔を出してから目的地へ向かう。


「優君久しぶりー!はやくはやくっ」


浮き足立つ咲夜に連れられてホテルへと向かった。


「今日の優君凄すぎ...やばい、忘れなくなっちゃうよ...」


副会長の件で咲夜には頑張ってもらったから、約束していたご褒美に徹底的に奉仕してあげた。


その後咲夜と別れ、実家に顔を出してから帰宅した。


7月30日(月)


授業を終え、生徒会室へ向かう。

今までは不規則に休みの日を決めていたようだが、俺の空き時間に合わせる形になったため月曜日になった。


「優様ぁ※自主規制※さい...」


「あぁ※自主規制※です...」


「私にも※自主規制※を...」


いや。

いやいやいやいや。

なんか1人増えてるんだけど。


...何故か三崎美香がいた。

初めてじゃなかったので田崎から寝取ってしまったのかと焦ったが


「私は田崎君には指一本触れさせてないよ?そもそも付き合ってないしー。私の初めては華さんだよ...きゃっ」


...俺は考えるのをやめた。


7月31日(火)


明日から夏休みのため、半日で学校が終わった。


東堂と桜を家に呼び、3人で致そうとしたところ、どこから聞きつけたのか会長と華が俺の家にやってきた。


お互いにかなり驚いていたが多分花山華は確信犯だと思う。

2人の自主規制ぶりに唖然としていたが、

いつしか東堂が華に奴隷としての心構えを説かれそれを真剣に聞いていて笑ってしまった。


5人で行為に勤しむことになり

久々に命の危機を感じた。



さて、明日からついに夏休みだ。


仕事にセックスに旅行にと。

やることが盛り沢山で全くゆっくりできる気はしていないが、前世と違い充実した高校生活を過ごせていると思う。


こんな日々をいつまでも続けて行きたい。

佐藤優としての人生は周りに恵まれて、人間として生きれている。

前世のように無気力にセックスして過ごすような、半分死んだ人間だった嵐とは違う。


俺はまだ見ぬ未来に胸を膨らませて、死んだように眠りについた。



...おい!もう出ないから!なんならもう痛いんだけど!頼むからもう触るな!やめろ!

この※自主規制※ヤロウども!帰れぇぇぇ!





───────────────────


次回、幕間。

原作の話です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る