3章。 クズと令嬢
可能なら忘却の彼方へと
「ふあぁ〜」
「珍しいわね、佐藤君があくびなんて」
「あぁ、まぁ昨日ちょっと遅くてな」
「ふーん」
早いもので高校生活も3ヶ月を過ぎていて、
なんだかんだ教室でも普通に紗雪と話すようになっていた。
最初は俺と紗雪は成績的にライバルみたいな目で見られていたのでちょっと絡むだけで教室に緊張感が走るなど悪目立ちしていたので控えていたが、今はそんなこともない。
「ねーねー佐藤君!今日はお仕事?よかったらみんなでカラオケに行かないかな?」
「いや、休みだよ。んー。みんなって?」
「えっとね!私と、美香と、紗雪さん!
男の子は佐藤君が誘ってほしいな!」
「紅もくるのか?珍しいな。わかった。おーい、誰か先着2名〜」
「えぇ。私もたまには、ね?それに..「はい!」「俺行きたい!」...」
紅の台詞に被さるように早速食いついてきたクラスの野郎2人。
「はい、締め切り〜。じゃあ放課後」
こうして放課後のクラスの交流の約束が決まった。
前世と違って今世は学校仕事セックス以外のこともしっかりするのだ。
ちなみにメンバーは、
俺、紅、そして紅の友達2人
桜井 七(さくらい なな)、三崎 美香(みさき みか)と、
俺の友達2人
田崎 翔(たざき しょう)、田中 将大(たなか まさひろ)だ。
紅もすっかり纏う雰囲気が和らいで、ちょっと大人っぽい普通の女子高生みたいな雰囲気になっていた。見た目は変わらないが。
肩の力が抜けているからか、最初のように悪意ある問題がなかったからか、前回のテストでは俺を抜いて1位を取っていた。
...まぁ俺のケアレスミスが原因だが、俺や紅のレベルになるとそこでくらいしか優劣がつきにくいからな。
そして放課後になりみんなでカラオケに行こうと教室を出た時にそいつらは訪れた。
「失礼します。佐藤優君はいますか?」
「俺だけど?」
「わっ..かっこよ...じゃなかった。僕は1年1組の早坂一(はやさか かず)と言います。
佐藤君、突然で申し訳ないんだけど、会長が君に話を聞きたいらしくて、今から生徒会室にきてもらえないかな?」
と名乗るのは...長めの黒髪の平凡な..いやちょっと暗そうな男だな。前髪が長くて顔がよくわからん。
ん?早坂一?確か俺と紅の確執が始まった時のテストの順位にいた気がするな。
あれ?クラス違うのに?いや、そうだ、最初だけは全クラス共通テストだったわ。
ってことはS組の奴らより頭良いのにS組じゃないのか?なんだなんだ?
まぁいいか。それよりも
「んあ?ごめんな、今から遊びに行くんだよ。後日にしてくれ」
「ちょっと!カズが頼んでるのに遊びを優先するって言うの!?」
苦情をつけてきたのは金髪ツインテール女子。キツそうなツリ目が印象的な美少女。
「?あぁ。早坂君とは初めましてだし、君に文句を言われる筋合いはないかな。
あ、悪いけど先に行っててくれ。大丈夫すぐ行く」
なんだか面倒事の気配がするので心配そうに見てくる紅達5人に問題ないと告げ、すぐに連絡して合流するからと先にカラオケに向かわせることにした。
「なっ!?」
「まぁまぁ、サクラさん。佐藤君、カズさんの頼みとはまた違くて、生徒会長の頼みなんです。きてもらえないでしょうか?」
お次はお淑やかそうな黒髪ロングの大和撫子系の美少女。しかし凄い巨乳だな。
「んー、あの、な?教師からの呼び出しとかならともかく、早坂君やら生徒会長に呼ばれたところで、先に用事が入っていたらそちらを優先するのが当たり前だろう?もう放課後で学生の本分は終えているんだから」
「いいえ違います。この学園の生徒会は教師より強い権限を持っておりますので。あぁ、申し遅れましたが私(ワタクシ)の名前は東堂 鞘(とうどう さや)です。東堂グループ会長の孫娘です。そしてこちらの女性は藤浪 桜(ふじなみ さくら)、そして早坂一、私達は生徒会の一員です。」
東堂グループの孫娘って紹介必要あったか?
生徒会だけでよくない?
ちなみに東堂グループは我が偉大な父親の再就職先であり、国内でもかなり大きい会社で全国至るところに子会社がある。
「あんたに最初から拒否権なんてないのよ!」
「ちょっと2人とも...困ったなぁ。ごめんね、佐藤君。そういうことだからきてくれないかな?」
「ごめん、ちょっとまじで君達が何言ってるかわかんないわ。妄想するのは勝手だけどあまりべらべら変な設定を人に話しちゃうと絶対に将来後悔することになるよ」
「なっ!失礼な!!」
「んじゃ俺は行くから。また後日な。ちゃんと空いてたら相手してあげるから」
「待ちなさい!」
「待ちなさいよ!」
「待って、佐藤君!」
そんな熱いエールを背に先に行かせた紅達の元へ向かった。
...途中金髪ツインテ女が腕を掴んできたから逆に腕を相手に押し込んで力が抜けた隙に脱出したらバランスを崩して後ろからきた早坂君にぶつかりそうだったから思わず抱き抱えて大丈夫か?って聞いたら真っ赤な顔で殴りかかってきたのを全て受け流すと言うハプニングがあったが、なんとか逃げ出せた。
必死な顔で早坂君にこれは違うの!って否定してる金髪ツインテがいい足止めになった。
その後無事にみんなと合流し、心配してきたが気にしないでと流してカラオケを楽しんだ。
紗雪が意外に歌が上手かったり、桜井と三崎が俺を挟んで色目を使ってきて紗雪に睨まれたり、翔と将大が分かりやすく紗雪と仲良くなりたがって軽くあしらわれるのを茶化したりと中々楽しかった。
...解散後桜井と三崎と連絡先を交換したことに嫉妬した紗雪に無理矢理家まで着いてこられてしっかり一発やらされたがまぁいい。
いやよくはないけどな?
好きになってないって言ったじゃん...。
言葉と行動が噛み合ってないが?
まぁもう今更だからいいけどさ。
しかしあいつら...
厨二病ってやつなのかな?
生徒会が教師より上とか漫画の世界だけなのに勘違いしちゃった感じだろうか。
...いや漫画の世界だったわ。
漫画の学校だったわ。
でもオリエンテーションも説明会も行ったけど生徒会が教師より上なんて説明は受けてないし、そもそも[あおはるっ!]に生徒会なんか出てきてないから俺と同じでこいつらもただのモブだし、やっぱり妄想だろう。
あぁ、あいつら絶対将来思い出して後悔するんだろうなぁ。
おいたわしや。
俺は忘れてあげよう。
黒歴史ってやつは覚えてる人が多ければ多いほど将来飲み会とかでいじられてしまうからな。
──────────────────
3章開始です。
今までと少し毛色が違います。
更新頻度落とすって言った側からの更新。
ラブコメ週間ランキング11位〜15位辺りをうろうろしてる現状です。何か悔しい...
せめて10位内には入りたいので前言撤回、
気合いで更新します。
またお付き合いください。
[★★★]とフォローで頑張れます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます