人知れず少女は深く重い愛を誓っていた
私は今、一糸纏わぬ姿で隣で寝ている優君を眺めている。
今日は半ば強引に優君に抱いてもらった。
今までこんなことはなかったから驚かせちゃったかな、ごめんね。ありがとう。
優君が私の元幼馴染に会ったって聞いて、居ても立っても居られなくなり優君の家に押しかけ、その勢いのまま短時間で3回も抱いてもらった。いや、抱かせたが正しいかな。本当ごめんなさい。
でも仕方ないよね。そもそも私をえっちな女の子にしたのは優君だし。優君と私はセフレでしかないけれど、私は本気で、心の底から優君を愛しているから。
例えそれが0.1%にも満たない確率であろうと、優君以外の男の子と一緒にいる私を優君には絶対に想像してほしくなかったから。
...私には幼馴染がいた。
唯一気を許せた異性だった。
私が最初、優君が年下だったからと言う理由でデートの撮影にOKを出したのも、
元を辿れば恐らくこの元幼馴染が年下だったことが理由だったんだと、思う。
自分でもわかってなかったことだが、優君を大好きになって好きと言う気持ちを知っている今だからこそ分かる。
あれはきっと初恋だったんだろう。
お嫁さんになってよと言われて、喜んで、なんて言ったことも実は覚えている。
でも嫌だ。そんなの絶対に認めない。
私の初恋は優君だし、私がお嫁さんになりたいのは今も昔も優君ただ1人だ。
それ以外の異性なんて絶対に認めたくない。
だから優君から春日井朝日の名前が出た時は心底驚いたし、私はその元幼馴染に激しい怒りを覚えた。
私に直接会いにもこれないヘタレが、生意気に優君を利用するな。私の大好きな人に関わるな。優君にその存在を知らせるな。あやちゃん、なんて呼び名をわざわざ優君に知らせるなんて牽制のつもりなのかな?あぁ!気持ち悪い。
私の身も心も全て、とっくに優君のものなんだよ?
優君にしか許してないんだよ?
初めて私の唇に触れたのも、私の体に触れたのも、私の全てを知っているのは優君だけ。
それは今も、これからもずっとだよ?
身の程を弁えてほしいな。
...我ながら、仲の良かった幼馴染に向けるべき感情じゃないなとは思う。でも仕方ない。私は優君が大好きだから。愛しているから。
優君は憎たらしい程かっこいい。
外見はもちろんだが、その中身も。
側から見たら全てが上手く行ってるように見える私。
両親がいて、友達がいて、人気のモデルで、カリスマなんて言われてたりして。
でも私は両親が大嫌いだ。
本当の友達だって、メイしかいない。
そのメイとだって、ある理由から最近上手く行ってない。辛い。
男は嫌いだ。毎日毎日いやらしい目を向けられて、吐き気がする。
嫌いだ。嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。
そんな嫌いなものしかない私の中で
唯一心の底から大好きなものが優君だ。
最初から、他の人とは違った。
勿論外見の良さが飛び切りだったのもあるかもしれないけど、それだけじゃない。見た目だけで判断するような私じゃない。
じゃあなにが、と聞かれると言葉にしづらいんだけど、その纏う雰囲気に私は、私と同じものを感じていたんだ。全てを持っていて、困ることなんてなにもなさそうなのに、何にも持ってなさそうな、そんな雰囲気。
初めてだった。私以外にそんな人を見るのは。いや、私と一緒にするのも烏滸がましいくらい。
寂しそう
そんな言葉が近いかな。
そんな優君に惹かれ、私は積極的に優君を誘っていた。勿論いやらしい意図なんてなくて、純粋に仲良くなりたかったのだ。
そして優君は私の空っぽの心の隙間にスルリと入り込んできて、溢れそうなくらいに私を満たしてくれた。
...まぁその手段はまさかのセックスだったのだけれど。
でも、優君しか知らないくせに何をと思われるかもしれないけど、それでも私は断言できる。きっとあの日、もし、例えばだけど、想像するだけで吐き気がするけど、優君以外の人に抱かれたとしたら私は何一つ満たされなかった。優君だったからこそ、私は満たされたの。
優君はきっと深い闇を抱えている。
誰も、美愛ちゃんも多分わからない、優君にしかわからない闇を。
そしてそれは悔しいけれど私だけじゃ癒してあげられない。
美愛ちゃんも薄々だけどその事に勘づいてると思う。
だからこそ私達は優君を巡るライバルだけど、お互いを尊重している。お互いの邪魔はしない。
私だけじゃ優君を癒せないなら、
癪だけど他の女の力を借りるしかない。
そもそも私浮気相手だったしね。
だから、最近優君が私達以外に新しい女の子を作ったことにも気づいているけど、何も言わない。それで優君が少しでも癒されるなら、いくらでも増えて構わない。その中の一人で私は満足。
めっちゃ嫌だけど!!仕方ないの!!!!
はぁ...明日春日井君に会わなきゃいけないのか...嫌だなぁ。絶対優君にいてもらわなきゃ。
そう決意して眠りについた。今日は泊まって、明日は優君のお家から学校に行こう。
優君の部屋に私のお泊まりグッズはしっかり置いてあるから何の問題もない。
美愛ちゃんのものと、もう一つ増えていたけど、知らないもん。
優君ったら本当に隠す気もないのね...
◇◇◇
「久しぶり、あやちゃん!僕だよ、朝日だよ!」
「久しぶりだね、春日井君。
あのね、悪いけど私は3年生、あなたは1年生なのよ?その馴れ馴れしい呼び方は辞めてほしいかな。てかやめて。ちゃんと境先輩って呼んでもらえないかな?」
「そ、そんな....」
次の日の昼休み、優君に連れられて幼馴染だったゴミクズが私の元にやってきていた。
こんな奴にあやちゃんなんて馴れ馴れしく呼ばれて鳥肌が止まらない。
なんだかごちゃごちゃ昔のことを言ってたけど、全否定してやったら泣きながら去っていった。泣きたいのは私の方だよ。優君の前でお前が勝手に脚色した私を語るな。連絡先も聞かせなかったし、これでもう関わってこないだろう。はぁ、それにしても最初、久しぶり!なんて爽やかぶりながら私の胸の方ばかり見てきて本当に気持ち悪かったぁ。あんなのが幼馴染なんて一生の恥ね。いや、もうこの過去は消そう。
優君が終始苦笑いしているのがちょっと面白かった。
優君、私害虫駆除頑張ったよ。
ご褒美に今日も絶対に抱いてもらうからね。
私は永遠に優君一筋だからねっ!!!!
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