1章。 クズと天才
全方位に広がるラブコメの波動
「よしっ、こんなもんかな」
「あっ、優君ネクタイ曲がってるよ!」
「お、ありがとう」
「えへへ、新婚さんみたいだね」
「はは...」
今日は遊嵐学園の入学式当日。
美愛の高校とは入学式の日程が違うため、前日から美愛が俺の家に泊まっていた。
「んじゃ、行ってくる。おばさんに心配かけないようにもう少しゆっくりしてったらちゃんと帰れよ」
「はぁい!いってらっしゃい。ちゅー」
一応言っておくが美愛とはしっかり別れている。
今は仲のいい幼馴染兼セフレだ。
それはそれとして合鍵もぶん取られたし彼女みたいな距離感をしているが...
余談だが春休みのうちに引っ越しを完了させ、美愛に合鍵をぶん取られたものの、連絡なしで勝手に俺の家に入ってくることはない。
一度彩花とセックス中に美愛が勝手に入ってきてプチ修羅場になりかけた件から、勝手に入ると碌なことにならないと理解してもらえた。
俺としては2人には仲良くしてもらいたいのだが、この2人は混ぜるな危険だったようだ...
学園への通学路を歩いて行くと、新入生らしき人の数が多くなってきた。
「ほら!マサ!走って走って!」
「待ってよサナちゃん!早すぎるよ!」
凄い速さで俺の横を横切った女の子が立ち止まり、遅れて横切った男が泣き言をもらしていた。
元気って言葉が擬人化したような女の子だな...しかもめっちゃ可愛い。
男の方は...普通...ちょっと暗い?って感じだな。どういう関係だろうか。
「ちょっと!サヤ!あんたちょっとカズに近いわよ!離れなさい!」
「残念でした。カズさんは私と腕を組めて嬉しそうですよ〜?」
「はぁ!?カズ!!!あんた鼻伸ばしてんじゃないわよ!」
「うっ、うわぁ!やめてくれよ2人とも!恥ずかしいよ...」
今度はハーレムを見てしまった。
男の方は普通...優しそうって第一印象が固定されるような感じか。
先に腕を組んでいた女の子は大和撫子って表現がしっくりくるようなタイプだな。しかし凄い巨乳だな。腕に押しつけて形が変わりまくってる。
後から怒りながらもう片方の腕に抱きついた女の子はなんか...ツンデレの擬人化みたいな子だな。金髪のツインテールで小ぶりの胸にキツそうな顔立ちをしている。
しかしこちらも負けじと美少女だ。
他にも男女の組み合わせを良く見る。
入学前からこんなにカップルが?とも思ったが付き合っているわけではなさそうな距離感。なんだろう...幼馴染的な感じか...いや幼馴染ペアがそんなにいるわけないよな。漫画じゃあるまいし。
「あっ、やっば」
俺が一人暮らしする家から学校は徒歩15分程度で着くので、ゆっくりめに家を出たのだが呑気に周囲を観察しすぎて思いの外ギリギリになってしまった。
仕方なく小走りに移行する。
...さっきからリムジンだったりヘリなんかも学園に向かってる気がするんだけど気のせいだよな...?
無事に間に合い、入学式が始まった。
理事長の挨拶から始まり、
お次は生徒会長の挨拶が始まった。
「まずは入学おめでとう。この学園は全国から色々な生徒が集まるところだ。スポーツの特待生や、芸能関係の人間、裕福な家の出の人間も多い。だが、遊嵐学園に在学中は皆平等に一生徒として扱われることをしっかり理解してほしい。そして〜.....」
クールビューティって言葉がよく似合う美人な生徒会長だな。生徒会と言うものにそんな美男美女なイメージは持っていなかったので驚いてしまった。芸能界に進んでもかなりいいとこまでいきそうだ。
「ありがとうございます。続きまして、新入生代表の挨拶に移ります。首席合格者の、佐藤優君、壇上にお願いします」
「はい!」
実は俺は首席で合格していた。
特待生で入って学費の免除と、ある程度学力を示して平日に急な仕事が入っても公休にしてもらうために頑張ったら、首席になってしまったのだ。
「初めまして、佐藤優です。僕はこの学園の〜...」
「えっ!優様!?」 「あの人知ってる」
「見たことある」 「やば、超イケメン」
「ティーンのモデルだよね!?」
「えぇっ!じゃあ今この学園にティーンの二大看板が在籍してるってこと!?」
「優様×彩花様...尊い...ハァハァ」
「以上で締め括らせて頂きます。
あはは....意外に知ってもらえてるみたいで、嬉しいです。ただの同級生としてよろしくお願いします」
今世の俺も中々有名になったものだな。
壇上に立ってから騒めきが収まらずかなりの回数注意が入ってしまって俺が居た堪れなくなってしまった...
って彩花いるじゃん。爆笑してやがる。
後で覚えてろ....
無事に入学式を終えて、教室に向かう途中で彩花を捕まえる。
「あっ、人気者!入学おめ...いたたたた!いたい!いたいよ優君!」
「ごめん。彩花の笑顔がむかついて」
「ひどい!ひどすぎるよ優君!」
「嘘嘘、よろしくな、先輩」
「ううぅ...そうよ!お姉さんよ!先輩なのよ私は!」
「はいはい」
「馬鹿にするなぁー!」
「あ、あの〜?」
「はい?」
よく見たら彩花以外にもう1人いた。
見たところ先輩か?彩花の友達かな?
「あっ、ごめんごめん忘れてたよ。
優君、この子は萩原 メイ (はぎわら めい)
私の同級生で、親友だよ!
メイ、こっちはよく話してる優君!
生意気だけど仲良くしてあげて!」
「よろしくお願いします、萩原先輩」
「メイでいいわ。よろしくね。
あら、彩花、私が仲良くしてもいいの?」
「うっ...仲良くって言ってもあれだからね!先輩後輩としてだからね!それ以上は絶対嫌だ...ってばか!私と優君はそんなんじゃないから!」
「説得力がないわよ...」
「ははは...」
まぁ別に彩花と付き合ってないしそんなんじゃないのは間違ってないけどな。
彩花とセフレなのは美愛を除けば、俺と彩花2人だけの秘密なので下手に訂正して突っ込まれるのを避けるために適当に濁しておく。
「じゃあ俺教室向かわなきゃなんで、また」
「うんっ!またね!」
「またね」
「...彩花あなた、彼の前だと普段と全然違うわね...」
「仕方ないじゃない!!」
背中越しに彩花がなにか言われてるが、スルー。
スルースキルはクズの必需品だ。
そして教室につく。
1年S組
入試成績上位者30名が纏まっているクラス、ここが俺の入るクラスだ。
そして俺は扉を開けた。
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