そして転機が訪れる
「あ、あの!優さんですよね!
よかったら握手してもらってもいいですか?」
「きゃー!すいません!写真撮ってください!」
「私、ファンです!」
「きゃーかっこいいい!!!」
中学3年生になった俺は道端で声をかけられまくっていた。
あれは中2の冬だった。
基本的に外出する時は友達、または美愛と一緒にいて一人で出歩くことはほとんどなかったのだが、その日は美愛へのクリスマスプレゼントを買うために一人で行動していた。
普段は誕生日もクリスマスプレゼントも二人で一緒に買いに行っていたが、今年はサプライズをしてあげたいと思っての行動だった。
そして近場のデパートで無事に目当ての物を購入し、帰路につこうとした際に有名なファッション誌のモデルのスカウトに声をかけられたのだ。
前世では子供の頃から俺が稼ぎ頭だったこともあり、両親に自分にお金を使わせていることはなかったのだが、今世の俺はバッチリ親の脛を齧って生きている。
正直言って罪悪感が凄かった。
携帯代や友達と遊ぶお金、美愛とのデート代も、プレゼントだって両親の稼いだお金だ。
中学生だから仕方ないのだが、中学生どころか幼稚園児の頃から自分で働いてお金を稼いでいた俺としては現状に若干の居心地の悪さを感じており、その誘いを受けることにした。
勿論未成年なので俺だけでは決めれない。後日また、と連絡先を交換して、雑誌に軽く掲載する街頭スナップ写真の撮影だけして別れた。
前世で芸能人だった俺だが、今世では芸能人になる気は1ミリもなかった。
忙しすぎて美愛との時間がなくなるのも嫌だし、汚い世界だからな....
でもモデルくらいだったら中学生でもできる小遣い稼ぎとしていいな、と思っての選択だった。
前世ではモデルの仕事も数え切れないくらいやったので自信もあった。
家に帰り、両親に相談したが二つ返事で許可を貰えた。
前世の両親のように俺をお金目当てに見られたらどうしよう、なんて不安は正直0ではなかったが、流石は今世のキラキラ両親。
俺達の息子がモデルだー!!!!
流石優ちゃんね!世界で一番かっこいいもの!!
なんて親バカ全開で祝福されてしまった。
正直照れる。
勿論美愛にも相談した。
「えー!凄い凄い!さすが私の優君ね!世界一かっこいいだけあるわ!」
なんて彼氏バカ全開で祝福された。
ただのモデルなんだけどな....
そこからスカウトの人に連絡をして、
後日両親と一緒に事務所に行き、専属のモデルの契約をした。
SNSのアカウントだけ先に作り、先日撮った街頭スナップの写真と、いくつか追加で撮った写真を掲載する1月発売予定の雑誌にアカウントを載せて宣伝するとのことで、本格的な仕事初めは1月に持ち越された。
そんなこんなで迎えたクリスマス。
美愛とお互いの両親と恒例のホームパーティーをした後、俺の部屋で美愛と愛し合い、寝る前にサプライズで買ったネックレスを渡した。
「嬉しい...!本当に大好きだよ優君。ずっとつけるね!あーもう結婚したいぃぃ」
大層喜ばれその日は3回戦までもつれ込んだ。
朦朧として寝る刹那、両親の部屋から母親の艶っぽい声が聞こえてきた気がしたが多分俺達のせいなので何も言うまい。妹がいいな。
◇◇◇
そして来たる1月の雑誌発売日。
俺のSNSの通知が凄まじいことになっていた。
「きゃー!!!この優君かっこいい!やばいー!私の彼氏でーす!!」
「「「みんな知ってまーす!」」」
「美愛やめて....てか通知止まらんのだけど」
「トレンド入ってるよ」
「まじ!?」
学校の昼休みの一コマ。
俺は美愛とクラスメイトによる精神攻撃に耐えながらも鳴り止まない携帯を眺めていた。
ただの街頭スナップのコーナーに大きめに載るくらいだと思っていたが、
専属の契約をしたからか2ページ丸々見開きでキメキメの俺と、事前に答えたインタビュー形式の質問が掲載された雑誌。
反響はどうやら凄まじいようで
中学生!?この完成度で!?
この優って人イケメンすぎてやばい!
即フォローした。
好き。
尊い。
色気がががががが
軽くエゴサした感じかなりの好反応だった。
SNSのフォロワー数も既に1万を越えた。
「とりあえず投稿しておくか」
雑誌片手に自撮りして、
「初めまして、優です。今回ご縁がありまして、ティーンさんの専属モデルをやらせていただくことになりました。今月号にでっかく載らせていただいてます!みんな是非見てみてください!」
投稿。
万バズした。
その後も高頻度で撮影に呼んでもらえ、毎月雑誌に載ることで中3に上がった頃にはすっかり若者に認知され、道端で若い子に声を掛けられるくらいには人気になった。
まぁ前世からの経験でキメ顔、キメポーズに自信があったのもそうだが、なによりも佐藤優がイケメンすぎるのだ。
前世の俺もかなりのイケメンだったはずなのだが、今の俺の前では霞む。
現実世界から現実世界への転生なのでチート能力なんてものはないと思っていたが、この外見がチートなのかもな。
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