神の受け流し

しょうわな人

第1話 いつもの日常からの……

 ふわぁーと大きなアクビをして、玉井能たまいちからは机に突っ伏した。

 頭の中では今日も眠いなぁと思いながら、カクヨムで連載中の異世界ファンタジーのストーリーを考えていた。

 ちからは現在高校3年生で、今は昼休みである。弁当を食べ終え、昨夜遅くまで起きていた為に不足した睡眠を取ろうと机に突っ伏したところだった。そんなちからに声をかけて来る4人の男女がいた。


「おやおや〜、まーた寝るのかよ、ボッチ」

「いつ見てもボサボサの頭ね」

「そろそろ俺達に従う事にしたらどうだ?」

「……」


 最初に声をかけてきたのは生徒会で会長を勤めていた中神理人なかがみりひと。2人目の女子は同じく生徒会で副会長だった八牧理世やまきりよ。3人目は前生徒会で書記をしていた佐伯光義さえきみつよし。4人目の黙ったままちからを睨みつけている女子が光義みつよしの双子の姉の佐伯光代さえきみつよだ。


 ちからは内心でコイツラも暇人だよなと思いながらも無視して寝る。周りのクラスメイト達はまた始まったと思いながらも関わり合う事はない。


「おい、能無のうなし! 俺が声をかけてやってるのに無視してんじゃねぇよ」


 理人りひとがそう言ってちからの机を蹴った。面倒くさいと思いながらもちからは仕方なく反応してやる。


「仮にも生徒会で会長だった奴が学校の備品を痛めるなよ」


 ちからの言葉に理人りひとがキレる。


「あっ!? 手前てめー、何様だっ! 俺に偉そうな物言いをするんじゃねぇぞっ!」


 カルシウム不足だなと冷静に考えながら、顔を上げて理人りひとを見るちから。しかし、滅多に散髪もしない為に前髪でその目は隠れていた。


「何様? 俺は玉井能たまいちからだけど?」


 分かってちから理人りひとを小馬鹿にしたように言ってやる。


「そんな事を言ってんじゃねぇよっ! 手前てめー、いい加減に学校に来るのをやめろって言ってんだよっ!」


 そう、この4人の陽キャグループは、高校2年になってからずっとちからに絡んできている。心の弱い者ならイジメにあたるような事もしてきていたが、ちからはそのことごとくを無かったかのようにスルーしてきたのだ。それが、更に4人を苛つかせるとは分かっていたが、コッチが折れてやる必要は無いので、ちからはいつも面倒くさそうに相手をしているのだ。


「もう3年だし、やめる気は無いな。俺がウザいならお前たちが学校をやめたら?」


 ちからがそう言って、理人りひとが更にキレて言い返そうとした時、ちからを含めた5人が教室から消えた。そして、クラスメイトの記憶からも5人は消えたのだった……

 その両親、親類縁者、戸籍すらも消滅させて……



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る