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  • 雪女への応援コメント

    ごきげんよう、新作、拝読させて頂きました、ありがとうございました。
    文章が、とても素敵ですね。
    民話を集録した民俗学の本のようでいて、けれど、お雪さんの切なくて、溢れるような想いがしとおりと静かに伝わってくるような、不思議な、不思議な読後感です。
    愛は、恋は、何時だって当事者に視野狭窄を強いますね。
    見てはいけないものを見てしまう、見つけられるはずの大切なものを見つけられずにる。
    お雪さんは、きっと雪女という、それこそ誰にも縛られず自由に生きていける立場にいながら、常にその身の孤独を嫌っていたのでしょう、その孤独を、己の能力故の寒さのせいだと誤魔化しながら。
    そんな偽りを溶かしたのが巳之吉さん。
    哀しいですよね、触れられたいのに叶わない。
    そんなストレスがおそらく、彼女の心に迷いを、もっと大切なことが本当はあるのに、些細なことに心が引っ掛かってしまったのでしょうね。
    それが別れに繋がる、でももう引き返せない、そして最初で最後の触れ合いに、けれど彼女は一筋の未練を感じながらも、嬉し涙を流したのかと思うと、こちらまで悲しくなりました。
    しみじみと、静かで優しくて、だけど哀しく切ない物語を、どうもありがとうございました。

    作者からの返信

    ごきげんよう、本作、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの『雪女』を飯田風にアレンジしてみました。原作もとても幻想的なんです。角川からも、他の出版社からも出ているので是非。『怪談』あるいは『怪談・奇談』といったタイトルです。
    本作では雪女の気持ちに焦点を当ててみました。きっとこんな風に思っているんだろうなぁ、と想像しながら書く物語は、シンプルに女心を想像するのよりもぐっと解像度が高くて、書いているこちらも不思議な気持ちでした。
    お雪を溶かすことができる唯一の男性。
    女性ってそういうところあるんじゃないかな、って想像します。たった一人、心を溶かしてくれる人がいる(もしかしたらたくさんいる人もいるかもしれませんけどね 笑)。
    でも溶かされるのが怖い節もあったりして、なんて思いながら書いた思い出があります。
    この脚色をしたのは確か大学三年生。心理学専攻でしたがこっそり国文学の講義も受けていて、小泉八雲をテーマにした回で小学生の頃行ったことがある小泉八雲記念館のことを思い出して書きました。そういえば当時から怖い話が好きでした。恐怖の中にある幻想が、魅力的だったんですよね。
    触られたいのに叶わない、本当に小さな引っ掛かりが気になる、けれど最後の最後に、自分のことを預けていいと思える。
    そんな夫婦を、書きました。
    こちらこそ、お付き合いいただきありがとうございました。