威王の御前会議
東の大国、斉の
「速く救うべきであるか、遅く救うべきであるか、意見を述べよ」
威王の
「救わないことにこしたことはありません」
魏は今なお中原の大国でした。その軍は強く、鋭く、力を蓄えた今となっては、国力は戻ってきていました。
「もし韓を救わなければ、膝を屈して魏の門下に下ってしまいますぞ」
親・韓国派の代表は
「速く救うにこしたこしたことはありません」
双方が主張を繰り広げ、自説を述べました。
韓と魏の国の代理戦争が、斉の王の目前で繰り広げられていました。
韓のために斉が派兵すれば、韓が救われる可能性が高い。一方、斉が派兵を見送れば、魏が有利になる可能性が高い。それぞれの主張は重みをもっていました。
威王は臣下の激論を聞いています。
「もし韓と魏の軍隊が消耗しあわないうちに韓を救えば、我が軍は韓に代わって魏の軍を受けることになります」
田忌が何か言いたそうにしましたが、孫臏はそれを制しました。
「一方で魏には韓の国を
今度は鄒忌が何か言いたそうにしましたが、孫臏はそれを無視しました。
「我々は状況を長引かせるのが上策です。韓との同盟を深く強いものにしつつ、両者が戦って疲れるのを待つべきです。そうすれば、自然と局面は我々に有利になり、尊ばれ、我々の名は輝くでしょう」
「
田忌、鄒忌が何も言わないうちに、威王の言葉が響きました。
斉は密かに韓の使者に兵の派兵を約束し、
韓の
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