デスゲームに参加させられたんだけど俺以外の参加者がどこかおかしい

不抜猫

デスゲーム開始だあああああ!!!

 簡単な自己紹介をしよう。俺の名前は辺野モヘジ、現在30歳のニートだ。以上!


「みんな元気かなあ」


 俺はこれから高校時代の友人達と久しぶりに会う予定がある。ニートだからといって恥じらいはない。何故なら俺達は今も深い友情で結ばれているからだ。彼らは友達をニートだからといって責めるような奴らではない。


 「ふむ、集合場所は教室か」


 目的地へと着くと、まだ俺しかいなかった。1番乗りのようだ。なんとなくかつて自分の席へ移動する。そこから教室全体を眺めていると懐かしさが込み上げてきた。あの頃は楽しかったなあ。


「ん?」


 プシュー、プシュー


 懐古していると、突然教室にガスが充満し私は意識を失った。





「皆さんにはこれからデスゲームをしてもらいます」


 目が覚めるとすぐに私の前面のモニターから奇妙なマスクを被った男?が話しかけてきた。


(な、なんだ、なにが起こっているんだ?)


 混乱しながら、部屋を見回すと懐かしい4人の旧友達の姿が目に入ってきた。

 しかし、1人は既に大怪我をしていた。


「お、おい大丈夫か春彦!?」


「お前が目覚める前に、見せしめとしてボコボコにされたんだダ」


 身長3メートルの大男が、晴彦の手当てをしながら説明してくれた。


「デカ男!久しぶりだな!春彦は大丈夫そうなのか?」


「命に別状はないガ、戦うのは無理そうダ」


 俺はその言葉を聞いて一安心した。すると。


「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!」


 全身に包帯がグルグル巻きにされた状態で、春彦は俺に何かを訴えてきた。


「何て?」


「『久しぶり!会えて嬉しいよ』と言っているようでござるな」


「お、おう権左衛門も久しぶり」


 今しがた春彦の言葉を翻訳した奇妙な和風の男、こいつは権左衛門だ。


 そしてもう1人。


「デスゲムニア星人め、文明レベルの低い惑星の知的生命を拉致し、デスゲームに強制参加させて弄ぶゲスと知られているが、まさか我々地球人を標的とするとはな」


 イケメンな男が何か知っている風に呟いていた。


「アルトか?久しぶりだなあ!」


「モヘジ、悪いが、懐かしむ暇は無い」


「みんな、集まってくれ」


 そう言ってアルトはみんなを集めて作戦会議を開く。


「私たちはどうやらデスゲームに巻き込まれたようだ。生き残るためには一致団結する必要がある、これからは互いに隠し事なしだ!」


 アルトはリーダーシップを発揮し、みんなを纏めようとしてくれている。流石だな、昔からできる奴だった。


「そこでなんだが聞いてくれ、私は今までみんなに隠していたことがある」


 ん、なんだ?


「実は俺は宇宙警察のエージェントだ」


 ……こいつ何言っているんだ?


「そうだったのカ」


 神妙な顔で答えたのは身長3メートルの大男、デカ男だ。


「オデも言わなければならなイ、オデは某国が秘密裏に開発していた人造人間ダ」


「情報はつかんでいたが、本当だったか」


 マジか!身長3メートルあるから何か秘密があると思っていたが。いやいやこいつら何言っているんだ?そうなわけないだろう。こんな時に冗談言っている場合か!


「おいやべえよ!言左衛門この二人、頭がおかしくっ」


「拙者は江戸時代の大剣豪の転生者である」


 ダメだった。そもそもお前昔はそんなしゃべり方じゃなかっただろ。


「転生法、完成していたのカ」


「道理でオーラが違うはずだ」 


 おいおい、皆どうしちまったんだよ。俺は心の中で頭を抱えた。


 そうか!せめてピエロを演じることで、このくだらないデスゲームの主催者と観客に冷や水を浴びせようという算段だな。


 だったら任せろ!


「実は俺も隠していたことがある」


 今度はみんなが俺を一斉に見た。


「実は俺は超能力者なんだ」

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